「意識し過ぎの最近マーベル」ファンタスティック4 ファースト・ステップ HGPomeraさんの映画レビュー(感想・評価)
意識し過ぎの最近マーベル
本作、CGアクションにおいては流石の見ごたえでしたが、残念ながらあまり面白さを感じませんでした。
まず本作に対する先入観として、前作劇場公開の、ジェシカ・アルバさんとクリス・エヴァンスさん共演のファンタスティック4を鑑賞した意識を持ちながら、新たな新作を鑑賞した気持ちがあります。
さて本作、ファンタスティック4自体が歴史深いとはいえ、導入での世界観や物語の説明が「はしょり過ぎ」と感じた。
何となく、あーそうなんだと解釈できますが、全然物語に引き込まれませんでした。
そして、展開が「ご都合過ぎて」全然感情移入できませんでした。
①妊婦を宇宙に。さらに自然分娩。
②ユニークな表現として地上の超常事件は他のヒーロー?に任せているが、世界規模の災害が訪れた時、ファンタスティック4しか出演しなかった。あり得ない。
③地底人の扱いが適当過ぎた。重要な立ち位置に有ったと思うのだが、地底人代表の存在感が「モブキャラ」レベルで名前さえも思い出せない。
④ギャラクタス、星を丸ごと破壊(捕食)するような存在が、何で簡単に侵入者を逃がす?重要な子供も。
何かしらの意味の説明があればまだ良かったのだが、無し。
⑤帰還しての記者会見で、息子を渡せば助けると言われたが拒否した事を、あんなにも簡単に演説するのは違和感があり過ぎる。
それに対するアンチ・ファンタスティック4の描き方が、中途半端な反乱を見せられている気分になった。
なぜなら、そんなアンチを納得させるスーの演説もご都合過ぎた上、説得に応じるのが簡単すぎ。
⑥シルバーサーファーを女性に設定した意図が、多様性やオリジナル作品としても許容範囲なのは良いとして、ギャラクタスの唯一の従僕としての戦闘への参戦や、バックストーリーの重厚感を増すための映像が簡単すぎて、しかも登場がいちいち中途半端だったため感情移入できなかった。
※これは、前作ではシルバーサーファーの存在感がしっかり描かれていた為、余計に目立ってしまった。
⑦ギャラクタス、なんで地球の数倍以上も大きい惑星を捕食する存在なのに、地上のしかも一部地区相当の大きさで攻め込んできた?
※これも、前作のギャラクタスの存在が偉大過ぎたのも加味される。
※しかもそんなギャラクタスに対抗できたのが、実質スーの能力だけ。で、なんでスーの能力に彼(ギャラクタス)はそんなに弱い?なんでー。
※偉大な子供を滅ぼさないために力を加減していたとかいうなら、数秒間での映像だけでもいいからそれを表現しないと曖昧にしか見えない。
⑧最近のマーベル映画、次につなげる「うたい文句」が「必ずあり過ぎ」て、逆に薄弱になりつつある。
なぜならば、投げっぱなしでどうとでも編集できるレベルのご都合と少しでも期待感を持続させるためだけの手法に落ちているから。
※サンダーボルツのあのEC後の匂わせも、本作には一切絡みを見せなかった。これは、確実にアベンジャーズのような長作への布石をフライングで見せつけただけに留まっている。
このマーベルの、すべてのマーベル作品を一つにつなげる常套手段が最近暴走しているように思える。
なぜならば、本作もサンダーボルツも、内容が薄弱なのだ。
サンダーボルツも最後の終焉が精神に訴えかけて、しかもそれがご都合的に、しかも簡単に解決してしまう何とも深みのないクライマックスだったし、本作も全編通して「雰囲気」だけ楽しんでもらう「製作者が造って見せたかった」だけの映像の「切り張り」だった。
私は全盛期の「アベンジャーズ」を面白く鑑賞していましたが、ただ、その後現在までの作品の見せ方が、わずかな繋がりを全作品に盛り込んで余りに無理矢理、関係のない作品まで鑑賞させて稼ごうとする意地の悪い構成になり過ぎていると思います。
アベンジャーズの時系列の作品集は、ひどい。
多すぎる・関係なさすぎる・無理矢理すぎる。
「繋げること」(集金)を第一に考えた制作は、そろそろ止めた方がいいと思う。
サンダーボルツ、ファンタスティック4の2連続作品で、内容の薄弱さに気が付いて方向性を見直す大事な時期が来たのではと思えます。
DCの最新作「スーパーマン」と比べてかなり劣っていると思います。DCは新しい作品を好出発できた状況で、マーベルはちょっと右往左往してしまっている印象です。
エンターテインメント映画としての人を楽しませる映画を、またマーベルには制作してほしい。一昔、あんなに面白い作品を世に沢山放出してくれたんだから。
残念。今後に対する期待感が無い。
あのラスト、緊急事態で出動するシーンのベビーカー接続不備の映像、何も笑えない。
意味なく長いし、比例してアラーム音が不快だったし、人命にかかわる緊急事態じゃないの?と最後の最後まで「見せたいだけの映像」を見せられた気分になってしまった。
逆に言えば、その思いを払拭させてくれる作品の登場を期待したいです。
CGは、良かったです。