「「ラスト・ステップ」にならないといいのですが・・・。」ファンタスティック4 ファースト・ステップ neonrgさんの映画レビュー(感想・評価)
「ラスト・ステップ」にならないといいのですが・・・。
マーベル映画ということで恒例として鑑賞しましたが、全体としては物足りなさの残る内容でした。テーマは「家族の絆」に置かれており、リード、スー、ジョニー、ベンという擬似家族と、新たに誕生した子ども(フランクリン)との関係が描かれています。ただしそのドラマ部分は十分に掘り下げられておらず、CG多用のアクションに押し流されてしまった印象です。
演技面ではスー役のバネッサ・カーヴィがとても良く、スクリーン映えする存在感を放っていました。他のキャストも悪くはなかったのですが、全体に実在感が乏しく、CGで手足が伸びたり空を飛んだりと、肉体性のないアクションが続いたことで、途中で眠くなってしまう場面もありました。
また、最後に登場したドクター・ドゥームとフランクリンは、今後のMCUへの布石と見られますが、「まだ引っ張るのか」という印象の方が強く、次への期待感はあまり湧きませんでした。近年のMCUは『アイアンハート』などDisney+作品も含め、ポリティカル・コレクトネス偏重の傾向が強まっており、本来の物語性やキャラクターの深みが犠牲になっているように感じます。特に、設定先行で黒人や女性を主人公に据える構成が繰り返されることで、物語の必然性よりも政治的意図が目立ち、感情移入しづらくなっているのは否めません。
マーベルには面白い原作やキャラクターがまだまだ多数存在しているため、素材としてのポテンシャルは十分にあると思います。問題は、表層的な流行や正しさに頼らず、真正面からドラマを描く覚悟があるかどうかだと思います。
本作は「ファーストステップ」と銘打たれていましたが、シリーズ全体としてはむしろ「ラストステップ」のような感触もあり、MCUが一つの終わりに向かっている気配を感じました。
鑑賞方法: IMAX
評価: 50点
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