「本作のレトロフューチャー的世界観と、家族的な関係性を受け止めることができれば、祝福に満ちた作品となる一作」ファンタスティック4 ファースト・ステップ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
本作のレトロフューチャー的世界観と、家族的な関係性を受け止めることができれば、祝福に満ちた作品となる一作
レトロフューチャー感満載の映像は、原作(コミック/アニメ)の雰囲気を忠実に踏まえているんだけど、これだけ後継作品が登場した今に本作のデザインに触れると、「なんか『フォールアウト』っぽい(ユニフォームの色味も似てるし)!」という認識上の逆転現象が起こったりします。
それを、古臭いなあ、ではなく、こういうのが観たかった!と興奮し、いきなり展開する主人公たちの家族的な関係の描写から、「ほら、君もこの輪の中に入りなよ!」というメッセージを受け取ることができた人にとっては、本作は単に楽しい以上の満足感をもたらしてくれる作品となるでしょう。
本作は、2005年から続いていた『ファンタスティック・フォー』シリーズのリブート版ということで、前シリーズとの連続性はありませんが、その分新旧の比較という楽しみ方もあります。
前シリーズよりも鮮やかな青味を強調したユニフォームが示すように、全体的にあえてつるっとした画調ですが物語は決して甘いものではなく、例えば特に彼らの仲間意識が人々の非難の対象となる経緯は、いわゆる「炎上」、「誹謗中傷」として現実世界でも頻出する事態と重なり合います。その分ギャラクタスは潔いまでの悪役っぷりを発揮しています。
ファンじゃないとよくわからない経緯で、敵役ギャラクタスの配下、シルバーサーファーの配役が話題になっていましたが、その役を務めたジュリア・ガーナ―は、複雑で苦悩に満ちた役を素晴らしいアクションも交えて演じていたこともあり、実は本作で一番光っていたかも。『アシスタント』(2019)では黙らされたけど、今回はそうはいかない!という心の声が聞こえてきそう。
コメントする