「びっくりするほど「アガらない」」ファンタスティック4 ファースト・ステップ しーぷまんさんの映画レビュー(感想・評価)
びっくりするほど「アガらない」
(混むのがイヤなので)基本的に1〜2週間経ってから観に行くのですが、久々の「ファンタスティックフォー」だったので初日の朝イチで鑑賞。
MCUに関してはフェーズ3からはほぼ観てません。
また、コミックに関してもにわか知識しかありません。
実写化されてる「ファンタスティックフォー」も2005年の「超能力ユニット」と続編の「銀河の危機」のみですが、
この二作が面白かったので今回映画館で鑑賞する事を決めました。
で、観た感想ですが……
マーベルファンの方、この映画を楽しんだ方、すみません。
結論からいうと私には「マジで面白さが見つからない」映画でした……
これからいくつかそう感じた理由を書きます。
①世界観の作り込みが甘い
…まず、「ファンタスティックフォー」がヒーローとして活躍している世界である事が提示されますが、
ここら辺は違和感無かったです。
ただ、コミックの生まれた年代などに合わせて「レトロフューチャー」感を「出そうとしてる」のは元のコミック知らない私でもなんとなーく分かるんですが、
それが全然飲み込めなかったです。
パトカーは空を飛んでるのになぜか一般市民の車は普通の車だし、
「レトロフューチャー=近未来的な技術が普及してる昔の街並み」って感じが微塵も無いんです。
なのでイマイチ飲み込めませんでした。
次にファンタスティックフォーのメンバー達が使う技術も、
「すごい近未来的」なのは分かるんですが理屈として「どうなの?」とツッコミを入れたくなる場面が幾つかありました。
特に「ワープ技術」。
宇宙船で宇宙に行って戻ってくるまでの序盤の最後の方、
「ブラックホールの力を利用して敵を撃退しつつ、引力を推進力に変えて(ブースター無しで)ワープして地球に帰還する」まではちょっと「無理ないか?」と思いつつも、まあ良しとしましょう。
気になったのは敵の脅威を回避する為に「地球ごと安全圏へワープする」っていう最初の作戦。
一般市民に向けて説明する為にリード(Mr.ファンタスティック)は「卵」を使って実演してみせましたが、
卵が移動する為には移動元だけでなく「移動先」にもポータルが必要でした。
なのに「敵が簡単に近づけない程遥か遠くに地球という巨大な物体を移動させる」という途方もない計画を立てます。
観た瞬間「移動先のポータルはどうすんの?」と普通に疑問に思いました。
明らかに無理筋ですよね?どこにワープさせるつもりだったの?
その後その計画が頓挫したので「残ったポータルで敵の方をワープさせよう」という計画ですが、
サーチ能力や念力(スーに無理やりお腹の子供を産ませようと操ったり。これは主人公サイドは知らないけど異議を唱えたシルバーサーファーを手を使わず苦しめたり)なども扱う事が事前にわかっていた敵が「物理的に地球に降り立ってくれる」という保証がないまま進めるし、
それにまんまと乗っかってくれる敵も「いや、配下に盗ませればよくない?」としか思えませんでした。
わざわざシルバーサーファーには自分がいる場所から遥か彼方まで「宣告」までさせたのに?
ここら辺はご都合主義だらけでしたね。もしくは「敵の能力」に対する説明不足。
で、ポータルの前まで「おびき寄せた」まではいいとして、
なんで目の前で子供とダミーを置き換えてるんだよw
「目眩し」したってサーチ能力があるんだからバレるに決まってるだろww
で、最終的に子供を手中に収めた敵をそのまま超能力でゴリ押してポータルまで押し込み、最後は子供を寸前のところで奪い返して寝返った「元」敵キャラのシルバーサーファーが突進してダメ押しの一手で敵が(どこか知らないところへ)飛ばされて戦闘終了。
一言で言うと「ハラハラ」も「ドキドキ」も「ワクワク」もしないんですよ。
どこかで観たような展開と先が容易に見える話運びのせいで。
唯一ほんのちょっっっっとだけ驚いたのは「スーが敵を能力でごり押して後退させたところ」。
あそこは「母は強し!」と思わせたんですが、
「能力の過剰な行使で力尽きる」って描写に説得力が無いです。
リードがピンチの時は「リード用に作った伸縮自在のスーツですら破けるほど引き伸ばされて身体に負担がかかってる」ってシーンがあったのでまあ良いんですが(にしたってリードってあんなに手足しか伸びなかったっけ?身体があんま伸びてるように見えないんだけど…とも思ったけど)、スーの場合は「身体に負担がかかってる」って描写がないから「踏ん張ってる」だけにしか見えません。
2005年版のだと能力の使いすぎで鼻血が出てしまいブラックアウトする…って感じでしたがそういう描写がないので緊迫感がありませんでした。
②キャラの言動に感情を揺さぶられない
…ここら辺は良いところもあったのですが、悪い所が目立ちました。
まず良いところから言うと、「ファンタスティックフォー」全員が各々で対策や分析を進めようとするシーン。
特にジョニーは「考え無しで無鉄砲なだけ」のキャラではなく、
「お調子者だけど閃きと分析力を駆使してシルバーサーファーの正体に迫る」というシーンが入ってて良かったですね。
他の面々も「ヒーローである前に宇宙飛行士という知力・体力が優れていないとなれない職業である」という部分がある程度展開に活きるように話が進んでいたのはプラスポイントでした。
ただし、スーの言動の一部には納得が行かない点も……
それを話す前に彼ら4人を取り巻く「民衆」の言動がお粗末かなぁと。
これは前述した「世界観」についても通ずるところですが、まず「スーの子供を渡さないと地球が滅ぼされてしまう」という点、
「地球を喰う過程で子供を攫えば反乱分子も排除できて邪魔も入らないし先に地球の大部分食っちゃえばいいんじゃね?」っていう敵へのツッコミは置いといて、
「子供を渡せば地球の危機が回避される」っていう点を多くのメディアが公然と「彼らはなぜ子供を手放さないのか」と批判するとか有り得ますか?自分が同じ立場になったらそんな事言えますか?
「一部の民衆が抗議に押しかける」までは良いんですがメディアがそんな非常識な行動を公然と後押しするって展開が全然現実味が無さすぎて無理でした。
メディアにも悪い所は現実にも有りますが「超えちゃならない一線」くらいあるでしょうよ。
で、スーの話に戻ると、
リードが「最悪の事態も想定して策を練らないと….」とか言ってたらいきなり噴き上がって「子供を渡す事考えてたでしょ!」とかヒスり始めます。
で、「誤解だ」と言っても聞かずにちょっと夫婦喧嘩になります。
「このくだりいる?」ってのは百歩譲って置いといても、
その後あろうことか「子供を宇宙人に引き渡せ」と怒って自宅のタワーまで来た民衆の前に出て行って軽くスピーチしたらその人達黙って聞いてるんですよ。
終いには涙流して感動してる人までいて。
せめて「リードとスーの口喧嘩からリードが策を思い付いて、それを声明として出したらみんな理解してくれた」とかで良くない?
なんでごく少数の人達(しかも子供の命を犠牲にしろと言ってる人達)の前に子供連れてくんの?
危ねぇだろ。
あとスーが透明化でお腹の子をリードに見せるんですけど、
あんなに大きくなってるのに赤ん坊が「逆子」なんですよ。
能力の有無とか放射線の影響とか調べる前にまずそっちを心配しろ!w
それ以外のスーのキャラ造形とかは悪くなかった気がするんですがねぇ……
③アガるバトルシーンおよびアクションシーンが足りない
…これは前日に映画館で観たのが「スーパーマン」だったからかもしれませんが、アクションシーンが少ない気がします。
特に「猛烈にテンション上がるようなアクションシーン」と、
それを盛り立てる為の「カタルシスをもたらすシーン」が。
物語もわりと作戦通りに進むし、伏線もそんなに「あ、ここで効いてくるのか!」って納得させられるのは卵のシーンくらい(その卵のシーンも前述した通り飲み込みづらいし)。
シルバーサーファーの言語を解読して正体を暴いてそれをシルバーサーファー本人に突き付けるシーンもその前後に「すごいアクション」をしてくれるわけじゃないから肩透かし感が凄かったです。
こんなところかな?
「MCUはつまらなくなった」とか言われてますが、
私は近年のMCU作品観てないので正直そんなのどうでもいいですし、
本作のインタビュー記事でスー役のヴァネッサカービーやジョセフクインが炎上してましたが、
「余計な事言わなきゃ良いのに…」とも思いつつ「これはファンに対する言葉選びを間違えたな」くらいにしか思ってませんでした。
ただそんな事どうでもいいです。
とにかく私の中では「面白くない」。
それだけですし、それが残念でした。
ポスクレも「はいはい出てくるならアンタだよね」って感じで、
エンドロール後は
「何見せられてんだろ…」
「別に往年のファンじゃない奴からしたらアニメ映像見させられてもアガらんよ、隠し要素があるとかなら分かるけどそれもにわかファンや新規ファンじゃ分からんし」
って感じです。