「MCU史上もっとも“心に近い”物語――『サンダーボルト』」サンダーボルツ* oceanさんの映画レビュー(感想・評価)
MCU史上もっとも“心に近い”物語――『サンダーボルト』
「壊れてしまった“ヒーロー”たちへ。そして、心が壊れそうだった私たちへ」
MCUにまた一つ、新しい“心の物語”が加わった。
『サンダーボルツ』はアベンジャーズのような栄光ではなく、どこか片隅に置き去りにされていた存在たち――
後悔、罪、喪失、空虚を抱えた者たちが、それでも誰かのためにもう一度立ち上がろうとする、痛みの物語だ。
「ヴォイド」はただの敵じゃない
セントリー=ロバート“ボブ”・レイノルズ。
彼の中にいる“ヴォイド”という存在は、うつ病を寓話的に描いた象徴だ。
俳優ルイス・プルマンはこう語っている:
「正しい言葉を選べなかったらどうしようと思って、話すことすらできなくなる。
でも、メンタルヘルスのことを話すのに、完璧な言葉なんて必要ないんです。」
彼の“空虚”に支配されそうになる姿、誰にも気づかれず、見てもらえない不安と孤独は、とても苦しいだろうな
笑っていても、普通に見えても、何も感じられない、ただ「ここにいないような」感覚。
それが“ヴォイド”だ。
でも、彼は仲間たちの「私たちがいる」という言葉に救われた。
それは、私がかつて誰かにかけられて救われた言葉でもある。私も患っていたので今作は私自身も救われた作品でもある。
「パパ、わたし寂しい」――それは叫びだった
フローレンス・ピュー演じるエレーナは、幼い頃からレッドルームで暗殺者として訓練され、最初の任務が一生消えない業を背負わせた。
そして彼女が「仮初の家族」として共に過ごしたアレクセイ(レッド・ガーディアン)と再会し、こう言う。
「パパ、わたし寂しい」
これは台詞ではない。
これは、強がって生きてきた少女の“心の叫び”だった。
ハグを交わす彼女の背中には、もう涙を堪えようとしない、ただただ「愛されたい」という願いが滲んでいた。
フローレンス自身もこの役について語っている。
「気分が悪いことを受け入れてもいい。助けを求めていい。
あの映画を通して、自分がそう言えるようになったんです。」
彼女が演じたのは“ヒーロー”じゃない。
助けを求めてもいいと思える勇気を見つける過程だった。
キャスト陣が“魂”で語った、この作品の意味
•ボブ/セントリー(ルイス・プルマン)
うつという空虚をその身に宿し、それでも生きる道を探す。
「見えないものが怖い」と語る彼の演技は、実際の心の闇の描写に限りなく近い。
•エレーナ(フローレンス・ピュー)
強くて賢くて優しいふりをするのが得意。でも本当は、誰かに抱きしめてほしいだけの少女。
•バッキー(セバスチャン・スタン)
「正しいことをしたいと思っているのに、できないかもしれない」
彼の葛藤は、まさに生きるということそのものだ。
•ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)
名声、承認欲求、正義、理想――何もかもが自分を揺るがす中で、「弱さ」を認めることで初めて進み始める男。
•ゴースト/エイヴァ(ハンナ・ジョン=ケイメン)
「私はフォート・ノックス(厳重な金庫)のように閉ざされている」
誰にも近づかせない。でも本当は、近づいてほしいと思っている。
•レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)
過去に逃げてばかりだったが、娘の涙を前に、ついに“父”としてそこに立った男。
これはMCUの“異端”ではなく、“希望の核”だ
アクションは控えめかもしれない。
でも、それ以上に描かれたのは、心の揺れ、孤独、寄り添い、赦し、繋がりだった。
MCU作品としても明確な転換点にある。
監督ジェイク・シュライアー、脚本エリック・ピアソン&ジョアンナ・カロ、そしてSon Luxの音楽が、すべての登場人物の“痛み”に呼応するように仕上げられている。
「映画の音楽がまるで登場人物の1人のようだった」
―監督ジェイク・シュライアー
最後に
“光の差さない闇”に対して救いとは?
『サンダーボルツ』は静かに教えてくれる。
「正しい言葉がなくてもいい。誰かのそばにいること、それが救いになるんだ」
チームになった彼らの姿は、まさに“ヒーロー”だった。
洗脳されていた、暗殺者に育てられた、正義の名を血で汚してしまった、組織に利用された、国家に貢献していた――
そんな彼らが、過去を抱えたまま、それでも“今”を生き直す。
その姿をいち早く観られて、本当に感激した。
観る人によっては、「これってヒーロー映画?」と戸惑うかもしれない。
でも、だからこそ、観てほしい。
これは、あなたの心に、必ず何かを残してくれる映画だから。
「1人じゃない。1人じゃダメ。でも、みんなとならやれるかもしれない。」
そんなメッセージが、きっとあなたにも届くと信じています。
・みんなウォッチタワーから降りて、満身創痍な姿で言い合うシーン結構好き
・ルイプルさんのセントリー、ブロンドオールバック鼻血モノ、ビジュ良すぎ
・フローレンス、ルイス2人の目から訴えかけてくる、表情の演技、勉強になりましたm(_ _)m
そして、ポストクレジット!!なんと!なんと!!
F4のマークが付いたロケットが宇宙から!!ひゃーー楽しみだー!余剰次元ってなんぞや❓
最後、アレクセイがボブに対して『本読んでいるふりか』って言っていたと思うんですけど、実際ボブ役ルイス・プルマンは、趣味に本を読むことってなっているぐらい撮影が全くない時の息抜きやリラックスに読書なんですよね〜それぐらい本好きをネタ❓みたいにされていて🤣面白かった〜なんかいじられキャラだよね完全にサンダーボルツメンバーから見たらさ🤣⚡️
『The New Avengers and Bob will return.』笑っちゃった笑
