「深夜のドン・キホーテにいそうなフローレンス・ピュー」サンダーボルツ* モアイさんの映画レビュー(感想・評価)
深夜のドン・キホーテにいそうなフローレンス・ピュー
映画開始と同時にスクリーンいっぱいに映るフローレンス・ピューの顔……あれ?なんかムクんでね?しかも首にもシワがクッキリ刻まれてて…えぇ…。
カットが変わり彼女の全身が映るとこれがまたダボダボな衣装のせいもあるのか手足の短い何ともチンチクリンな体型で…キミ「オッペンハイマー」(23年)の時はもっと違わなかった?
偉大なるアベンジャーズの一員だった姉(スカーレット・ヨハンソン)も結構クセのある顔立ちでしたがタイトスーツが艶めかしい抜群のスタイルを誇っていました。それに比べるとこの妹は…いや、まぁ、う~ん…えぇ…。
さらに衝撃なのがオープニングで一仕事終えた後、仕事の悩みを抱えて父を訪ねるシーン。この時の格好がもうなんというか深夜のドン・キホーテなのである。
いやそのゴツいネックレスはどういうアレなんですか…?何故か徒歩でお父さんの家まで来てましたけど絶対そこらに車高下げた黒い軽のハイトールワゴン路駐してるよねぇ!?
あれ、コレMCUだよね?間違えて岸和田少年愚連隊か下妻物語のスクリーン入っちゃった?とソワソワしてしまう程、スクリーンに映るフローレンス・ピューの姿は、寝付けぬ夜にサンダル履きで牛乳を買いに行った激安の殿堂でよく見掛ける女子の姿そのものなのです。
このシリーズ屈指のインパクトを誇る冒頭にかなり心がざわついてしまった訳ですが、いやいやその後の「コレを最後にこの仕事から足を洗うぞ」と決めて臨む姿が実にいいのです。
ちゃんとしたユニフォームを着て装備も万全、戦化粧を施したその顔はやさぐれ感を程よく残しつつもワイルドで精悍な顔つきなのです。このギャップに正直心を掴まれてしまいました。
今までブラック・ウィドウの妹という、それ以上でも以下でもなかったエレーナ(を演じるフローレンス・ピュー)が好きになりました。
私は去年「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(21年)のレビューを投稿し(投稿してから知ったのですが配信ドラマへのレビューはアプリ版では表示されず、ウェブブラウザのみで表示されます。)そこに書いたことですが、正直とんでもないニワカMCUファンです。
さらに言うと「ホークアイ」(21年)からウン?となり
「ムーンナイト」(22年)「ミズ・マーベル」(22年)の詰まらなさを必死に耐えながら視聴し、
「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」(22年)のワンダと家族の物語って「ワンダヴィジョン」(21年)で綺麗に纏まった物を無理やりほじくり返してる気がして納得できず、
「ソー ラブ&サンダー」(22年)は悪くないけど今さら映画でやるべき内容だったのかなぁ?と思い。
「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」(22年)で、わかんない・フォーエバーとなり。
「アントマン&ワスプ クアントマニア」(23年)は普通に楽しめたけど、
MCUに対する熱がすっかり醒めてしまい、それ以降は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3」(23年)さえ未鑑賞のまま放置しています。
上記の「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(21年)のレビューで「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」(25年)楽しみ!みたいなこと書いたくせに、
レビューを書いた後、本作の存在を知り、私の好きなU.S.エージェントが出るのがこっちだったようで、そのこともあり、いざ「ブレイブ・ニュー~」が公開されてもなんか億劫で観に行かなかったのです。
本作に対しても取り敢えず久しぶりに映画館に行くという目標が先にあって、特に予習する事もなく観に行きました。しかもよくよく考えてみるとMCUを劇場で観るのも初めてだったのです。
そんな低いモチベーションが功を奏したのか、本作はかなり楽しめました。「ブレイブ・ニュー~」もちゃんと観に行けばよかった!と後悔するほどに!!
やはりバッキー、レッド・ガーディアン、U.S.エージェントと自分の好きなキャラクターが暴れまわっているのを観るのは単純に楽しいです。それにキャプテン・アメリカ系列のアクションが好きなんですよね。銃弾を掻いくぐって近接戦闘で泥臭く殴り合う!
もうMCUでは空飛べて目や手から怪光線出せないと話にならないよ!ってレベルの中で自分たちはどう戦っていくのか?その現実に直面するシーンが本作にもいくつかありましたが、急造の凸凹チームが反目しつつも協力してその難問を突破していく様が時にユーモラスに、時にスリリングに描かれていて良かったと思います。そしてこの他者との圧倒的な実力差は今後も付いてまわる問題です。これからは他のヒーローたちやヴィランたちとどう渡り合っていくのか?そういった点も今後の楽しみとなりました。(単純に力のあるヤツに丸投げって方法以外を期待したいです!)
またこの作品がゴールデンウイーク映画なのも実にいいのです。
日本ではここ数年のゴールデンウイーク映画の覇者は「劇場版 名探偵コナン」シリーズです。30年目を迎えようとしている長寿シリーズとは思えない勢いでシリーズ歴代興収成績を年々更新しており、もう正直怖いです。
その強さはご存じの通り「アベンジャーズ エンドゲーム」(19年)でも太刀打ちできない程で、別にMCU系の作品も興収的に失敗はしていないのですが余りに眼鏡のガキンチョ探偵が強いので、少し見劣りするのです。
なので私の中ではゴールデンウイーク公開のMCU作品は“敗戦処理”枠というイメージなのですが、これが本作の冒頭でエレーナが自分の仕事を「尻拭い」と称するのと妙にシンクロしてしまって、とても味わい深かったのです。
ただやはり1本の作品としてはかなり大味です。単体作品での最終決着が割とアッサリなのはMCUのある意味伝統ですが、やはり出し惜しみしてる感があるのでもっとクライマックスの盛り上がりを意識して欲しいのです。本作では最後よりちょっと前に盛り上がりのピークが来てしまった感じがしましたので尻すぼみな印象になりました。
それと主要キャラクターが多いこともありキャラクターの掘り下げがやはり雑です。メインのエレーナに関しても父親であるレッド・ガーディアンとの和解シーンがかなりベタで、こういうセリフ言っとけば親子のわだかまりも消えるだろ!ハイ、次いってみよ~!というなんともインスタントな感じです。確かに私は本作でエレーナを好きになりましたがそれは演者であるフローレンス・ピューの役作りのインパクトによるところが大きいのです。
また世間に対して後ろ暗い日陰の仕事をしてきた彼らが一念発起して表舞台へ躍り出ていくという展開には胸が熱くなります。そして彼らが本当に世界に認めてもらえるかは今後の活躍次第という含みがあるのもとても良いと思うのですが、けれどもうワンクッションあっても良かったかな?と思うのです。
というのも今回のメンバーで私が一番好きなのがカート・ラッセルの息子演じるU.S.エージェントなのですが、彼の何が良いかと言えば「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」で自分の理想と現実の乖離に苛まれた彼は精神的に追い込まれ常にピクピクしている危うい状態に陥るのです。このいつ爆発してもおかしくない危うい状態の彼が私はすごく好きでしたので、もっとこの状態の彼が他のヒーローたちを引っ掻き回す展開が観たかったんですよね。
U.S.エージェントのスポンサーであるヴァレンティーナ自身は結構いろんな作品に登場して暗躍していましたが、そこに彼の姿は無く、本作で久々に見られる!と思ったら結構もう自分の境遇を受け入れて落ち着いてしまっていたので(暗い方に)、その過程をもっと見たかったなぁ~と、すごく残念でした。
ですが先に記したとおり基本的にはかなり楽しみましたし、久しぶりにMCUの次の展開にも興味が湧き、溜めている作品も鑑賞しみようかな?とシリーズに対して前向きな気持ちにしてくれたので、個人的にはとても良かったです。
共感どうもです。
ピュー、脚短いですね。いいんです。格闘技やる者は細くてひょろ長い脚じゃダメなんです。
MCU全然観ないので誰が誰やら判らないけど、ピューを観ていれば良かったので、まぁ満足でした。
こんにちは
何をご覧になるのか
とても楽しみにしていました。
「サンダーボルツ*」
でしたか。
タイトル、ツカミはッチリですね。
「深夜のドンキホーテにいそうなフローレンス・ビュー」
全然ノーマークだったのに、そのタイルで見たくなりました。
やさぐれた感じの映画いいですね。
アメコミもたくさん見て割には何にもわかってなく。
楽しい紹介ありがとうございます。
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