「「キャプテン・アメリカ」というよりは「ファルコン」の話のように思えてしまう」キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「キャプテン・アメリカ」というよりは「ファルコン」の話のように思えてしまう
「シビル・ウォー」でのスーパーヒーロー達と政府との確執や、「エターナルズ」でのインド洋の巨人の残骸や、「ブラック・ウィドウ」での女性暗殺者などは、まだ、記憶に新しいものの、「インクレディブル・ハルク」の続きの話となると、流石に記憶が曖昧で、よく分からないところがあった。
サム・ウィルソンがキャプテン・アメリカを継承することについては、何の異存もないのだが、どうしても、あの高性能な「翼」が目に付くし、しかも、戦闘機やミサイルとの空中戦が大きな見どころにもなっているので、「キャプテン・アメリカ」というよりは「ファルコン」の話のように感じてしまう。
しかも、驚異的な身体能力や、ナイフで刺されても平気な顔をしているところから、てっきり、サムも「スーパーソルジャー」になったのかと思っていると、バッキーとの会話で、そうではないことが分かって、逆に驚いてしまった。
だったら、「盾」を持った「ファルコン」でも良いような気がするし、「キャプテン・アメリカ」を襲名するのであれば、「翼」は、新しい「ファルコン」に譲り渡した方が良かったのではないかとも思う。
日本が、やけに大きく位置付けられているところは嬉しい限りなのだが、中国に設定を変えた方が、物語としてはしっくり来るように思えるので、どこか政治的な配慮も感じてしまった。現実に微妙な関係にある中国との間に、変な軋轢を生じさせるよりは、文句を言わない日本を敵役にした方が、「無難」だという製作者側の判断なのだろう。
クライマックスは、レッドハルクとの一騎打ちで、それなりに見応えがあるのだが、どんなスーパーヒーローでも、サシではハルクに敵わないと分かっているので、どうやってハルクの怒りを鎮めるのかが焦点となってくる。
おそらく、疎遠だった娘が現れて、ハルクとなった父親をなだめるのに違いないと予想していたのだが、まさかの「桜の花びら」には唖然としてしまった。
これでは、もし、別の季節だったらどうやって決着を付けたのかという疑問が残るし、せっかくのリブ・タイラーの出しどころも、間違っているとしか思えない。
新たなアベンジャーズの結成に向けた節目となる作品であることは間違いないが、エンドクレジット後のオマケ映像を見ると、性懲りもなく、マルチバースの話になるみたいなので、まったくと言っていいほどワクワクを感じることはできなかった。