「確変」光復 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
確変
上映後の監督及び主演俳優(お二人は夫婦)の舞台挨拶にて、監督自ら"希死念慮"を抱えていて、それを宥める方法が、不条理映画の観賞だということ なので、アメリカンニューシネマ、又はATGの様な匂いを感じさせる、いやそれ以上の激辛なプロットに仕上がっている内容である
レビューの表題のように、元々詰んでいる人生から、不幸の確変を引いてしまったプロットは、凄惨な実際の事件一つ一つを連鎖のように繫ぎ合せて作ったという構成力に感服する そしてその極北がクライマックスでの、僧侶に依る顔の上下半分のナタでの切断だろう 色々な予想はしてみたが、あのカットは全く思いつかない事に、果して悔しいのかどうかさえ分らないショッキングなオチである
さぞかし、奥さんの精神状態は如何ばかりかと想像したが、本人曰わく、自主映画故、奥さんもスタッフとして忙しく、そこまで配役の心理描写を深く推考しなかったから精神汚染はされなかったと言うことで一安心である
その後の質疑応答で、自分としては寺に居た小さい女の子は一体誰の子なのかを訊こうとしたのだが、これも野暮であると思い、スルーした それ程、この主人公は真面目で素直、そして儚くも生への執着の強さ故、周囲の人間達の毒牙に懸かり過ぎた だからこそ、『知らぬが仏』に到達した彼女こそ、光が復活したのかもしれない
母親役の俳優の力量をもう少し頑張ってくれたら、今作品の深みが増したのかなと思うのだが、それも蛇足だろう
これを商業作品に出来ない邦画界の狭さに辟易する
ここまで重ねると流石に現実味は薄いですが、一つ一つは似たようなことがあった訳ですから凄いですよね。
母親役の方はまだかなりお若い方で、撮影当時は抗がん剤治療中だったそうです。