劇場公開日 2022年10月7日

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「正しい人間関係とあいさつ通りの世界」42-50 火光(かぎろい) 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0正しい人間関係とあいさつ通りの世界

2022年10月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2022年。深川栄洋監督。結婚後数年の、売れない役者の妻と脚本家の夫の中年カップル。妻の発案で不妊治療に取り組むことになるが、同時に、妻の父親が難病で倒れたり、同居する夫の母と妻の折り合いが悪くなったり。親族との折り合いやお金の都合にあくせく動く夫は、次第にストレスをためていく、という話。
ストレスをためていくといっても、どこまでもいい人である夫はどこまでも丁寧で正しく親族に接しているし、夫婦喧嘩はあるものの、感情的しこりが残ったりしない。毎食の「いただきます、愛しているよ」のあいさつの通り、変わらない感情世界を変わらないように生きている人々。誰もが周囲の人々に認められ許されている。
厳しく言えば、鬱的な症状を呈した人の治療過程や承認欲求を得られず自殺思慮の傾向がある人への啓蒙映画か?と思ってしまった。メジャーな感覚を再認識するという意味で。マイナーな感覚を抱く人物がいないこと、関係が変わらないこと(変わらないことを求めていること)など、見ていて息が詰まってしまう。映画ってこういうものだっけ?
現実の夫婦生活や脚本づくりを映画に織り込んでいるらしいので、フィクションとリアルの融合といった側面があるのだろう。そこがうまく表れればよかったのかもしれない。

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