ドライビング・バニーのレビュー・感想・評価
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やっぱりこの女優の存在感には計り知れないものがある
エシー・デイヴィスと言えばとにかくパワフルな母親像が目に浮かぶ。観る者の心にいつも確実に、キャラクターの”生きた証”を刻む彼女。その持ち味は本作でも冒頭から全開だ。車の窓拭きで小銭を稼ぐこのヒロインは何者なのか。なぜこのような境遇に身を置くのか。カメラは彼女に渦巻く爆発的エネルギーと共に、自身の抱えた事情、脆さや危うさ、さらにはニュージーランドの深刻な住宅事情を浮き彫りにしていく。最愛の子供たちと一つ屋根の下で暮らしたい。その切なる願いを叶えようとする中で、彼女の前には高い壁がそびえ立つ。まるでケン・ローチ映画のように追い詰められながらも、自分の信じるところをひたすら貫こうとする彼女。時にあっぱれと思いつつ、暴走する彼女に危うさを感じながら、それでもバニーには強烈に引き込まれずにいられない何かがある。いつしかボロボロの車に同乗し、母娘のような関係性を築くマッケンジーの存在感も実に印象的だ。
これが犯罪者の思考回路なのか
本質的には子供思いなだけの母親なのだけど、とにかくやり方がすべて間違っている、そういう人の映画。これ作った人すごい力量だと思う。バニーは一般的にはまったく共感されない人間なのに、完全に見放すスレスレのところでストーリーを作ってる。バニー本人も言ってるけど、怒りのパワーが強すぎる。いったん立ち止まればいいところで暴走する、止めようとする努力すらしない。なぜなら周りの人が私に嫌がらせをするから、って考えるんだね。これが犯罪者の思考回路なんだね。犯罪者まで行かなくても乱雑な生活をしている人たちってこうなんだろうなと思わせる、すごく勉強になる人物描写でした。
ドン底から這い上がれ!
ロードムービーつながりかトーマシン・マッケンジーつながりなのか、源泉は忘れてしまったが、とにかく期待して鑑賞。
うーん、いくらなんでもちょっとバニー母さんが飛ばし過ぎな印象。とにかくバニー母さんのドン底人生から這い上がる孤軍奮闘姿には全身全霊応援したくなるのだが、破天荒の範囲ではすませれないほどの欲望直結行動は明らかに犯罪で、個人的にはどこまでいっても共感しがたく、残念ながら期待を大きく下回ったと言わざるを得ないのが正直なところか。他のキャストもバニー母さんの勢いに気圧されたがごとく、何となくどっちつかずになってはいないか。
予告編やジャケットの雰囲気ではいい感じにアメリカンロードムービーしていただけに、観終えた後のギャップは大きい。
強くて痛すぎる、母親の愛
「娘の誕生日会をしたい」。
それだけなのに、全く空回りする母親の愛が痛い。
子供を育てるのには、環境を整えなきゃいけないのはわかるけど。
親の愛だって、必要だよね。
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ひっかかった2点
・予告見ると、母親と娘が出てくるけど。姪っ子。
ちょっとだけ紛らわしい。
・母親の過去の罪の重さ(刑)を考えると。
娘の年齢が幼すぎる。と思うけど?。
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思いがけない終盤の展開、なるほどそうくるか!の驚き。
【行政の監視つきでしか会えない二人の子供を心から愛する母の”正義”と、行政の”正義”の齟齬を描いた作品。今作は、不器用だが真の母の愛を子供達に与えようとする女性の姿を描き出した作品でもある】
ー 今作の原題は”The Justice of Bunny King"である。-
■”ある事情”のため、家庭支援局の監視つきでしか子供たちと会えないバニー(エシー・デイヴィス)は、家族水入らずで暮らせるよう妹夫婦の家に居候し、道路で車の窓洗いをしながらお金を貯めていた。
ある日、彼女は妹の新しい夫ビーバンが姪のトーニャ(トーマシン・マッケンジー)に言い寄るのを目撃し、ビーバンに手を上げてしまう。
それが原因で妹の家を追い出されてしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・後半にバニーが家庭支援局の監視つきでしか息子ルーベンと幼き娘シャインに会えない理由が明らかになるが、前半はそこに敢えて触れていない点が奏功していると思う。
・バニーは息子ルーベンと幼き娘シャインに一目でも会いたいが故に、禁止されている里親の家へ直接会いに行ってしまう。
ー バニーの直情的な行動原理。それは彼女の”正義”なのだろうが、社会の規範には会っていない。故に、息子ルーベンと幼き娘シャインは別の里親に預けられてしまうのである。ー
・バニーは息子ルーベンと幼き娘シャインと会うために家庭支援局に乗り込み、占拠する。そして、建物内を子供たちが喜ぶようにトーニャと家庭支援局のトリッシュと共に飾り付ける。
ー 何とも切ないシーンであるが、家庭支援局のトリッシュの姿に救われる。-
■ここは推論だが、バニーが夫を殺害した理由は子供を守るためではなかったか。出なければ、息子ルーベンと幼き娘シャインがあんなに、バニーに懐いている訳はない。
・そして、占拠した家庭支援局から警察の配慮で息子ルーベンと幼き娘シャインと電話でバニーが泣きながら会話するシーンは、こちらも沁みてしまったよ・・。
<子供を愛しすぎるが故に、社会の”正義”に反してでも、自らの”正義”を貫こうとするバニーの姿は、矢張り心を撃つ。
それと真逆のトーニャの母が、トーニャの言い分も聞かずに、新しい夫ビーバンの言葉を信じてしまう姿の対照的な事。
今作は、不器用だが真の母の愛を、子供達に与えようとする女性の姿を描き出した作品である。>
こんな母親像もあり
一見すると乱暴な無知な母親が暴れているだけの映画だが、逆の見方をするとやり方が分からないが必死で正義を貫き、純真無垢な母親像に描かれている。
ミッキーロークの映画「レスラー」のような作りではあるが、子を思う母親として全く違う映画。
脚本はシンプルだが、演出で飽きなせない工夫が色々。車に仕返しや姪を庇い(実の子供に照らし合わせていたり)
ラストの立てこもりのシーンも最後の最後で生きる希望を与えてくれるキャラ設定にシナリオの良さがわかる。
ロード・ムービーなのかなあ?
ロード・ムービー好物の私はポスターの「ミラクル・ロードムービー」の言葉に惹かれて観に行ったが、確かに車で移動するシーンはあるが、旅では無いと思う。ただ、映画評では良い意味の裏切りだったとのコメントもあるので、まあ好き好きなのでしょう。
What's going on!
いやもう、腹立たしいやら切ないやら。
悪いやつは野放しで、もがいてももがいてもどうにもならなさが見ていて苦しくて。
どこの国も「家庭支援局」って、あんな感じ?
バニーのやり方がまずいのか?
それはそう。
嘘を一つついたら、次々嘘で塗り固めないといけなくなるから。
できない約束も、大きな見栄もあとでくるしくなるだけ。
そうわかっていても、希望のためについてしまう嘘。
でも、人の心の機微は見逃さないところがバニーのすごいとこで。
それで、救われたんだ彼女は。
ドキドキのラストだったけど、ちょっとホッとした。でも。
だれかを頼ってもよかったんじゃない?
声をかけても、よかったんじゃない?
これじゃあ、同じ繰り返しになるんじゃないかな〜と現実的になってしまう自分がいる。
可哀想で終わらないパワー
前科、職なし、家なしゆえに子供から引き離される母。子供の誕生日に、子供にプレゼントを渡したいだけなのに、福祉行政は子供の保護と称して、規則をたてに母を子から引き離す。ついに切れた母は実力行使に踏み切る。
話の展開に引き込まれ、最後はジーンと。
拾い物映画。
自分自分やな、この人
子どもへの愛は解るけど、
この母親は自分の感情だけで動きすぎてて、
共感できない部分が多くって…
ただただ、こどもが不憫で...
妹の旦那は悪いやつだから、あの反撃はいいけども、
万引きや、彼女に何も害を与えていない人への
犯罪まがいの行動はどうなの?!って思ってしまって…
結局、問題は、あまり解決してないような…
もう少し冷静になれる人なら、
もう少しハッピーエンドになっていたのでは?
って、それじゃあ映画にならないかー。
後半の追い上げが凄い
「レスラー」と「ノマドランド」「パーフェクトワールド」を足して3で割る感じ。前半は主人公達のキャラターを描くのが精一杯でなんだか疲れるし眠気を誘う。しかし中盤やっと物語が動き出しドライブする辺りから一気に物語が進み号泣を誘う。
シナリオが良く、演出、撮影も人物を綺麗に見やすく撮るのではなく、リアルに日常を描いていて感情移入できる。
予算のあまりない作品だが、クオリティーは非常に高い。
主人公設定も絶妙で、完全ないい人ではなく、人間臭く、不器用で頭が悪い。でも一生懸命に生きているし、何より子供達の事を考えていて感情移入しやすい。
他のキャラクター達もしっかりと役割を果たしていて作品の完成度はかなり高い。
糞は糞
バニーがあまりにも無軌道すぎて、冒頭から厭な予感しかしない。だが意外にも後味は悪くない。
ニュージーランドにあっても糞は糞。ただ日本と違い、行政が子供たちを護ろうとするあまりに、というのが信じられる辺りが救いなのかもしれない…
とても愛が深くて優しい人なのに。
ニュージーランドの映画は初めて観たかも。
そしてこれはワクワクドキドキのロードムービーと思って観てはいけない。そもそもロードムービー?なの?
事情があって子どもと離れて暮らしているバニーだけど、彼女の願いはとてもシンプルで、子どもと一緒に暮らしたい、ただそれだけなのに、それだけのことを叶えるためにありとあらゆる努力を重ねるのに、何をやっても裏目に出て上手くいかない。とにかく全てが裏目に出ていく。
その切望に別の問題が絡まって更に問題が複雑になり、行き詰まっていく様がとてもしんどい。
とても愛が深くて優しい人なのに、幸せになれないのが辛かった。
個人の人間的な生活の保障をするための国の制度であろうけれども、その人の本当の問題、真に助けて欲しい所までは手を差し伸べることはできないのだなということを学んだ映画だったな。
たくさんの人に観てほしい、そしてバニーとバニーの分身のような彼女が少しでも幸せなその後を過ごせることを祈ります。
エッシー・デイビスの肝っ玉母ちゃんに男泣き👍
エッシー・デイビスの出演している映画はこのところ立て続けに公開されていて、ベィビーティース、トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング、ニトラムに続いて4本目でした。全部観ました。
でも、主演作は初めて。
ニュージーランド製作映画。
エッシー・デイビスはオーストラリアのタスマニア出身なので、高速道路のインターチェンジの舞台はオーストラリア?30年前にニュージーランドに行きましたが、オークランドを除けば羊だらけの国たった。こんな混んだインターチェンジあったかなぁ?時代はグローバルに変遷し、格差社会がニュージーランドにも及んだことはショック意外のなにものでもありません。
ニュージーランドのマオリ族と思われる親切な大家族家族も出てきたし、窓拭きの同僚のアフロヘアーのお兄ちゃんはちょっとムロツヨシ風だった。
面接を支援する貸衣装のお姉さんはLEGBT?面接の衣装をサポートしてくれるシステムは斬新で、正装した彼女に不動産会社のオジサンがつられるのはなかなかよいプロット。
ビニーがとっさに自己紹介する場面。
リジーじゃないよビニーでしょ
頭の回転早い。
そんな人が車の窓拭きやってんのが不思議なのですが、それには深い訳があって、そこがみそ。
マンションのキーの暗証番号を咄嗟に覚えて、トーニャのシェルターに活用。記憶力、運動神経抜群の40過ぎのオバサンの大活躍はとても気持ちがいい。
トーマシン・マッケンジーはニュージーランド出身で、ナイトシャラマンのオールドやジョジョラビットや戦前のロンドンのキャバレーを舞台にしたホラー映画ナイトインソーホーに主演している才媛。トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャングでもエッシー・デイビスと共演していました。
昔から、オーストラリアの女性は強過ぎるので、オーストラリアの男はゲイに走りがち。
ニュージーランドは昔から日本人女性がひとり旅に行って、現地で職を得たり、結婚することが多いので、東洋系の役所の女性も自然に感じられたけど、中国系。ニュージーランドがこんな殺伐とした世界になっているなんてショックでした。
作品中の挿入歌も好みの曲で、涙を誘う。
クソ継父の車のルーフを壊して、すわりしょんべんのアナーキーさがもう最高❗
こうゆうのを「激怒」と言うんだよ‼️
映画史に残る名場面に認定トライ。ニュージーランドはラグビー。オールブラックスだもんね。
エッシー・デイビス最高~👍
来週もう一回観ます。早々に予定入れました。また涙で睫毛をびちょびちょにしたい。
トーマシン・マッケンジー主演風の作りで、あかるいロードムービーを予想させるフライヤーやポスターの裏切り具合も最高。邦題にも騙されたけど、騙され甲斐があった。
そいで、こんないい映画をかける映画館がこんなに少ないなんて、理解できましぇ~ん。
母親の愛と行政の対立
まずは母親(女性の母性?)に感服。男親だったらあそこまでは…😓十人十色ではあるが…
行政はどこの国でも杓子定規かと思ったが、この作品では思いやりというか人間らしさが良かった❗日本は行政サービスについては最低で、税金を払う価値すらないと思うのは、僕だけではないだろう。自民党に政治を委ねること自体がリスクであることを理解できない日本人が多いこと…。
このままでは日本は衰退しかないと思わせる一本でした。
予想外の展開に戸惑いながら引き込まれてしまった
主人公がついていない話というと奥田英朗の小説「邪魔」や「最悪」が思い浮かぶ。そんなことになる遠因は自分にもある。でもなんでこんな目に遭わないといけないんだって展開。こっちもつらくなる、でも目が離せない。
本作はそんな奥田英朗の小説を連想させる作り。2人の子どもと離れ離れで暮らすバニー。子どもと暮らすために住居の確保をめざす中事件が起きるという展開。
バニーの子どもたちに会いたい気持ちはわかるが、ルールを守らないところやきわどい軽犯罪の数々は共感できない。そして後半の展開はまったくの予想外。イカれてるんだけど、物悲しい気分になって、後半の息子の言葉に少し感動したりして。でも、ラストになぜか爽快な気分になったりする。全然ロードムービーらしさはないのに、たしかにロードムービーかもと思わせる。ニュージーランド映画だからなのか、不思議な鑑賞体験だった。
なかなか抜け出せないシングルマザーの貧困、子どもたちを誰が誰から保護するのか、原題にある彼女の正義とは、そんなことを考えさせられる映画だ。
抑えられない怒りが自己破滅へと向かわせるのか
作品後半に主人公や子供に起きた過去が明らかになっていくのですが、とにかく主人公であるバニーは常にイライラ、怒りの表情を浮かべっぱなし。子供に対する愛情の深さは理解できるものの、その行動の一つ一つに「それはやっちゃアカン方だろ!」とツッコミを入れたくなるほどの逆張りぶり。
破滅へ向かって一直線、とても作品紹介に書かれている「ユーモアたっぷりのロードムービー」には感じられず、主人公への共感も芽生えにくかった。
それでもラストに近付くに連れて姪っ子の境遇が交わることでバニーの人を思いやる優しさや、自分が正しいと思う方向へ行動する姿に理解できるようになってきた(これは支援局の女性職員が良いアクセントになったと思う)
貧困から抜け出せない世の中の仕組みや恵まれない(であろう)であろう子どもたちを護る「正義」は国が違っても共通するものがあると考えさせられる作品でした。
地上最強のおかん、現る!!
PVを見た印象は親子の逃避行を描いたロードムービーかと思いました。車に乗ってニュージーランドを転々とするシーンは確かにロードムービーでした。しかし、この作品は「愛娘の誕生日を祝う」という、母親として「普通」の行動が最大のミッションなのが今作の肝。
前科のある実母が里親に預けている子供達に会うために行政の細かいルールやホームレスという状況の中で必死に生活している様子は「普通」のことでも主人公バニーからしてみれば高い壁であると実感できるストーリーでした。
「ただ誕生日を一緒に祝いたい」という強い願望がニュージーランドを騒然とする様は、まさに圧巻でした。「すべてを敵に回してもよい」という愚直に突っ走る彼女の行動にはアッパレ。
ジャケ写サギ(笑)
ジャケット画像から『テルマ&ルイーズ』みたいなロードムービーを想像してたら、
全然ロードムービーじゃないし、思ってたのと違った(笑)
肝っ玉マザーのドタバタ劇です。
この主人公、あまり好感もてません…
期待してたんだけど、残念なガッカリ作。
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