ノベンバーのレビュー・感想・評価
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狼、山羊、黒豚
宮崎駿の世界観をダークファンタジーに、違うか、勝手なイメージで未鑑賞ながらチェコの『マルケータ・ラザロヴァー』に近い雰囲気を、アンジェイ・ズラウスキーの『悪魔』を思い出したり、年寄りたちを映す映像がタル・ベーラの作品を観ているようで、一番近いのはロバート・エガースの『ウィッチ』が鮮明に、陰鬱で重苦しくて小難しい、そんな感じで物語があるかと思いきや全体的にポップな感覚の印象を、十字路での悪魔の契約はロバート・ジョンソンか、オマケに「ひょうきん族」に出て来る懺悔のオッサンみたいなコミカル描写、棺を乗せた馬車のすれ違いは素敵に思われ。
御伽噺のような映像の美しさに魅せられ、不思議な世界観と緊張感が途切れてしまう場面の数々に笑わせられ、残り過ぎる謎を楽しみながら次作にも期待してしまう監督ではある。
暦の上では
「ノベンバー♪」
日本人の半数が「ノベンバー⁉何月だっけ⁉」となる単語だし、エストニアといえば元大関「把瑠都」と料理?
画が徹頭徹尾シャープで美しいのでポスターにしたいくらい
話自体は「花王 愛の劇場」みたいな話で難しくはないが、前半はやや退屈なので、劇場で観るのが吉
ハロウィン映画
当たり前に死者、悪魔さらには疫病神とも身近に暮らす世界。そんな世界のラブロマンスはさぞ美しいのだろうと思いきや……。
モノクロームな美しい画面の中に醜悪な現実を叩き込んでくるイジワルさ滲み出る本作。ラストの悲劇のヒロインになりたくともなれないやり切れなさがまあ切ない。
渋谷はハロウィン(という名のコスプレ)で賑わうが、本来のハロウィンとはこの映画のような趣旨なのであろうなと思った。
民話・神話を絡めたダークな恋愛模様
自分は、映画を観る前はなるべく情報を入れずに観るようにしている。だから本作冒頭で怪しき物体(「クラット」と呼ばれる使い魔だとか)が登場した時点で、「?(ハテナ)」の嵐に襲われた。
舞台となるエストニアには、亡き先祖を追憶する「死者の日」とやらがあり、死者はその日に遺族の元に帰って過ごすという風習があるという。日本で言うお盆に近い。
寒村に住む住民は、クラットを使って隣人から物を盗み生活する。その村に暮らす娘リーナは、青年のハンスに想いを寄せるも、ハンスはドイツ人男爵の娘への恋心を募らせ…という、民話・神話を絡めたダークな恋愛が展開するが、本作ほど鑑賞前に情報を入れておけばよかったと後悔した作品はない。
初見では分からないから何度でも観たいと思わせる。初見時に「?」の嵐が吹く作品は、『イレイザーヘッド』然り『ブレードランナー』然り、後年カルト・ムービーとして評価されている。最近観た『マッドゴッド』同様、本作も間違いなくその系譜にあると思う。
「全てのものには魂が宿る」という、所謂アニミズムを具現的に描いた一本ともいえる。
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