劇場公開日 2022年10月29日

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「エストニアの「お盆」のお話。静謐な美しいモノクロームの映像、神と悪魔が日常的に存在する土俗的な世界観等々、一見所謂難解な映画のようだけど、本質はコメディ(単に喜劇という意味ではなく)だと思う。」ノベンバー もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エストニアの「お盆」のお話。静謐な美しいモノクロームの映像、神と悪魔が日常的に存在する土俗的な世界観等々、一見所謂難解な映画のようだけど、本質はコメディ(単に喜劇という意味ではなく)だと思う。

2023年1月2日
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鑑賞方法:映画館

①日本のお盆と同じ様に(かどうか分からんけど…今までお盆に帰ってきた死者に会ったことないから)帰ってくる死者、悪魔に貰った魂が入っている動く農道具や話す雪だるまのクラッツ、美女や山羊・豚の姿で訪れる疫病、魔女、狼に憑依できる娘等々、エストニアの寒村を舞台にした土俗的かつ幻想的・お伽噺的な世界の中で、恋(愛というより恋だな)の一途さと儚さ・人間の欲深さ/罪深さ/狡さ/愚かさ/いい加減さ/どうしようもなさ/馬鹿らしさ/可笑しさを描き出した「悲劇」の反対に位置する意味での「喜劇」だと思う。
そう思うとなかなか癖になりそうな映画である。
②大概のヨーロッパ映画では、キリスト教に触れることを避けて通れないが、国毎にキリスト教が流布する前の土俗的な信仰が透けて見えるのも興味深い。(日本でも仏教が流布したり神道として整理される前の土俗信仰が未だに各地方に残っているし)

もーさん