「労働者こそが王様」ミセス・ハリス、パリへ行く とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
労働者こそが王様
美しい綺麗なドレスとゴミであふれ汚い街、そして人の温かさ。まさしく人間のあるべき"美"徳。今を生きるぼくらは人の親切を信じられない…例えば呑兵衛でゴキゲンなホームレスたちを見れば"お金を盗まれるのではないか?!"と危惧したり、ディオールのアトリエに主人公が突撃しようものならマダム・コルベールみたいに場違いだとキツく当たる人ばかりじゃかいのかと予想したり。
"透明人間" 最高にチャーミングなレスリー・マンヴィル、ノリノリなイザベル・ユペールの"マダム"対決?! 夫が亡くなっても"ミセス"。オートクチュールや唯一無二なハイブランドの抱える宿命・命題を、何者でもない主婦=親切すぎるかわらいらしい庶民な主人公が痛快に打ち破っていく!それらが可能になったのは、もちろん"待ってました!"となる受け入れる側(作り手、供給)の本心くすぐる人としての姿勢やその仕事を通じて叶えたいこと、自己と夢の実現。かゆいところに手が届く感覚で、人々を喜ばせる気持ちを忘れてはならない存在意義。
その中で"お飾り"として、自分の本心や理想とは切り離されたことに忙殺されていた若き女性の自己実現と恋の行方。理想と現実、なんとも心温まる作品だった。
P.S. 原題は"ス(s)"の音でさらに韻を踏んでいてナイ"ス"
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