劇場公開日 2022年11月18日

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「時代背景が今と違うので一概に言えないが、女性の方には共感度はアップしそう。」ミセス・ハリス、パリへ行く yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5時代背景が今と違うので一概に言えないが、女性の方には共感度はアップしそう。

2022年11月18日
PCから投稿

今年334本目(合計609本目/今月(2022年11月度)21本目)。

この映画は、もともとポール・ギャリコ(小説家)の小説「ハリスおばさんシリーズ」の1作目(パリ編)の映画化です(日本では幼児向けの絵本などもありますが、絶品かそれに近いのか、ややレア品の模様)。また、「シリーズ」とあるように、他の場所(モスクワや、さらには国会にまで押しかけるものもある)の作品もあります(日本では、絵本まで含めて今回映画化された「パリ編」しか流通はしていないようです(amazon.comで原文が英語で読める方は除く)。

 ※ 一部資料によると、「モスクワ編」の日本語翻訳小説版が超高価な値段(もちろん、プレミア価格という意味で)取引されている、という情報もあります。

 さて、そういう事情なので、「小説をテーマにした」という意味では実話ではありませんが、小説ベースである以上、あることないことは書けません。

 映画の大筋の枠としては他の方も書かれていますし、大半それにつきる上にそもそも論として小説にあることの映画化なので、あれこれ書いても仕方がないのでそこはカットします。

 一方で本作品は「小説の映画化」という点では「小説に沿っている」とはいえ架空のお話ではあるものの、小説そのものは「当時の社会運動など」をテーマにしているため(前述した小説家のポール・ギャリコは、何らかの意味で「社会性のあるテーマ」の小説が半分、ほかは「動物がテーマ」の小説(猫・ウサギなど)が半分で、この映画自体は前者に属しますが、物語前半でドッグレースが登場するように、「動物」ももちろん出てきます(ただし、この点は後述)。

 映画全体のストーリーを見た場合、「夢をかなえるために、いくら年をとっても活動することの大切さ」といった部分に論点があるのは明らかですが、この当時(第二次世界大戦終了直後の混乱期のイギリス)において、「ディオールのドレスが買いたい」ということでパリに行く主人公の「自由爛漫さ」が素敵です。そのあと、ディオールについてからは、服を作るだの作らないだのといった話に飛び、また、他の方も書かれていますが、元の小説の作者(ポール・ギャリコ)が当時の社会問題などを織り込んで執筆した作品のため、当時の労働者運動(待遇改善、賃上げ、不正な行為の撲滅)など、今でもつながるような内容まで扱われています。

 映画としては丁寧な説明はあるので男女とも十分わかるけど、ディオールのドレスやオートクチュールの話など、どうしても、「男性の私」にはわかりきることができない部分はどうしてもあり、その点では「おしゃれに興味のある20~30台の女性を想定しているのかな?」という気がします。この点では若い女性の方にはおすすめの一作です。

 ※ 映画内では「ドレスの作成に500ポンドかかる」等の発言が出ますが、当時(第二次世界大戦直後)の、ポンド/円の換算レートが不明なうえに、当然、当時と現在とでは物価そのものが違うので、「500ポンド」等が「(2020~2022年の現代において、どのくらいの金額なのか」は不明でしたが、あの一流ブランドのディオールでドレスを購入するとなると、「現在の日本の基準」で考えれば、100万円ははるかに超えるんじゃなかろうか、という印象です(もしかすると、もう一つ0が付く範囲?)。

 こういう事情もあり、ストーリー自体は元の小説の映画化という事情、さらにストーリーも変な方向にあっちこっち飛んでいないこと、また、この主人公の活動にも賛同できる点が多いため、男女問わず楽しめる作品ですが、「趣旨的に」20~30代の女性の方の感想も気になるところです。

 減点要素としては下記が明確に気になったところです。

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 (減点0.3/動物愛護に対する配慮不足)

 ・ ストーリーの序盤で、ドッグレース(競馬ではない。当時はドッグレースが賭けの対象にされていた)の話がでますが、その中の出頭犬(出走「馬」ならぬ出走「犬」)の中に、「疫病にかかっているんだぞ」(だから、その犬の単勝を購入するのはお金の無駄遣いだ)というようなシーンがあります。

 この部分はドッグレースが法律上許されるかという問題もありますが、広く見れば、いわゆる動物愛護の観点で、この当時にイギリスで明確に日本の今の動物愛護法に相当する法律があったかは調査しても不明でしたが、この時代(わずか70年前)であれば、「動物を意味もなく娯楽の用に供してはいけない」「病気であることが明白なら動物病院などで治療させるべし」というのは法(動物愛護法に相当するような、イギリスの法)が要請していなくても一般常識として存在していたと考えるのが普通で、ここは明白に「動物に対する配慮不足」を感じました。

 ただ、この件(ドッグレースの件)も、極論問題が起きないようにすれば競馬でもサッカーくじでも何でもよかったのですが、あえてこういう議論がおきるということは「原作通りです」ということであり、小説(ポール・ギャリコの作品)にあるのであろう、という点においては、「やや配慮を欠くかな」という点はあるにせよ、そこまでの減点はできません。
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 今日(18日)は4本みましたが、明日(土曜日)は「ザリガニ」「ある男」など、ここでも評価が多く、かつ行政書士の資格持ちとしてはどちらもはずせない「法律枠」なので今日から明日(19日)が待ちきれないです。

yukispica