ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
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原作を読んでなくても「小説を映画化」したのがわかる映画
エンドロールの「貝殻」のイラストがよかった。貝は別の貝とはピッタリ合わないと聞いたことがあるので、テイトがカイア夫婦になったことは“自然だった”と思わせてくれた。
チェイスに贈ったネックレスが家に置いてあったのは、「バレたら捕まる」「バレなければ私は悪くない」と、自然に委ねたのだと思う。“湿地”という場所で自然を直に肌で感じて育ってきたカイアは、自然(流れ)に委ねた。
結果として、家の中からネックレスが見つからなかったのは「警察のずさんな捜査」を裏付け、“湿地の娘がやった”という偏見を外せてないことが証明された。
雑誌編集者との食事会で「自然界に善悪はない」とカイアは言っており、カイアはチェイスに怯えてその地で生きることを選ばず、生き残るためにチェイスを排除する道を選んだ。
1964年という時代、男尊女卑・人種差別の激しいアメリカで白人の若者から身を守るためには、幼い頃から誰にも頼れなかった境遇・弱肉強食の自然・虫たちに善悪などないという考えからも、チェイスに殴られたときから、チェイスは「大事な人」から「虫同様」の価値になった。だから殺した後も平気な顔で人と会えた。自然界では生き残るために当たり前に起きていることだから。
映画もすごく自然な流れで見やすかった。本当、小説見てるみたいでした。
湿地の景色とストーリーがとにかく美しい
サスペンスでもあり、ラブストーリーでもあるんですが、個人的には不幸であるが純粋で賢い女性が自分の未来を切り開くといった映画だと思いました。
父親のDVによって一家がバラバラになり、その中でもお母さんがいなくなった事が主人公の心に深いダメージを与える。
時が経ち、主人公にも恋人ができる、その相手は父親と同じように暴力的な男だった。
孤独に生きることと、恐怖に怯えて生きることは違う。
母は逃げるという選択しかできなかったが、強い女性である主人公はもう一つの選択肢をとった。
裁判中の回想シーンで、チェイスと殺したのはテイトだろうと思わせといて、最後の最後で「ああ、やっぱりそうだったのか。」と納得させてくれる。
後味が最高に良い映画。
魅惑の映画だが、完成度は高くなく
マイノリティを尊重することの大切さ
<映画のことば>
私じゃない、嫌ったのは彼らよ。
私を嘲笑い、仲間外れにし、悪意をもって蔑んだ。
そんな彼らに懇願しろと?
私は何もしない。勝手に裁けばいい。
でも、彼らが裁くのは私じゃない。
彼ら自身よ。
☆ ☆ ☆
それが彼女にとっては至極当然のことであったとしても、人が多く住む市街を離れて、独り湿地で暮らしているということだけで、外の世界で生活している人からは好奇の目で見られ、「変わり者」と決めつけられ、時に軽蔑さえされるー。
地域社会(文明社会)からは距離を置いて静かに暮らしていた少女・カイアが、しかし、自分を包み込む湿地の自然をこよなく愛しながら、その中で生き抜く術と価値観とを身につけた、その生命力のたくましさーそれが本作のエッセンスであることは、疑いのないところだろうと思います。
食料としてのトウモロコシ粉は言うまでもなく、湿地であるが故に船を使わざるを得ない以上、ガソリンや点火プラグなどか必要となり、それ故に、貝を雑貨店に売ることで、現実の文明社会との関わりを否定はできないのですけれども。
そして、ある事件を契機として、彼女がマジョリテイの価値観で裁かれようとする事態に陥ってしまうー。
そういう不条理には、本当に心に痛い一本でした。評論子には。
佳作であったと思います。
(追記)
この町で生まれてから、片田舎のこの町でずっと暮らしてきたと言いますけれども。
しかし、この弁護士は、只者でない。
否、むしろこの町にずっと根づいて来たからこそ、この弁護ができたのか。
いわゆる「マチ弁」(企業の顧問を中心に経済事件などを専門に手がけるのではなく、地域に密着して、地元民の法律問題をひろく取り扱う弁護士)の強みというのは、こういうところにあるんだろうなぁ…とも思いました。
その点も、本作は、とてもとても興味深い一本になりました。評論子には。
<映画のことば>
自然に善悪はない。ただ、生きるための知恵があるだけ。
<映画のことば>
危ないときは、ザリガニの鳴くところまで逃げるんだ。
大どんでん返しは必要か?
湿地帯に取り残された少女カイヤが殺人の容疑者となる。彼女にはアリバイがあるが、ある複雑な行動を取れば犯行は可能であった。しかし、自然の中で純粋に生きてきた彼女にそんな犯行が可能か?
裁判で弁護士が心を打つ弁護をする。湿地帯の女と言って蔑んで偏見を持っていた我々(陪審員も)は、今こそ偏見を捨て純粋に彼女を見るべきだ。
そして、彼女は無罪を勝ち取る。だがしかし。
何で「だがしかし」が必要なのだろうか?
彼女の犯行でなくてもいいと思うんですが。
あの胸を打つ弁護はなんだったんでしょうか?と私は思ってしまいました。
美しい景色、生き物としての客観性と人の知性、言葉はどこか詩的
ノースカロライナ湿地の美しさ、そして最後の鮮やかな大逆転劇で強く印象が残る
オリビア・ニューマン 監督による2022年製作(125分/G)のアメリカ映画。
原題:Where the Crawdads Sing、配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント。
女性動物学者ディーリア・オーエン(1949年米ジョージア州生まれ、ジョージア大で生物学を学びロサンゼルス大デービス校で博士号、同じくジョージア大で生物学学んだ夫と共にアフリカに長年移住)の初めてのミステリー小説(2020、世界で1500万部以上の大ベストセラー)が原作。
原作は読んでいなく、日本語版を視聴。
何より、ノースカロライナの湿地の自然及びそこで生きる生物の美しさ、更にそれらを描いた主人公カイヤ(デイジー・エドガー=ジョーンズ)によるスケッチの精巧さと見事さに心が奪われた。
カイヤは、前途有望な若者チェイス(ハリス・デイキンソン)死亡事件の殺人容疑者ということで登場する。カイヤの、母親は夫の暴力で逃げ出し兄弟更に父親も居なくなり、大自然の中でただ1人、学校にも行かず貝の採取で生きてきた少女という設定には、類型の覚えも無くかなり驚きを感じたが、原作自体の力だろうか物語的にとても面白く、随分と引き込まれてしまった。
彼女の初恋相手がテイト(テイラー・ジョン・スミス)。彼は親切な青年で、カイヤに文字を教えてくれて、図書館で生物学を学ぶことも教えてくれる。ただ、観客の予想通りというか、彼は都会の大学に行ったままで、約束を破って戻ってこない。そこに現れたのが町の有力者の息子でハンサムなチェイス。カイヤは彼と関係を持つのだが、彼はどうやら婚約者もいる様で遊びの相手だった様。
正直、人気者のチェイスが何故凄い美人でも無いエドガー=ジョーンズ演ずるカイヤを誘惑しようとしたのかには、説得力をあまり感じなかった。映画の中でも、取り巻きに不思議がられてもいたのだが、納得がいく説明はなかった気がした。一方、テイトはカイヤ無しでの生活は意味が無かったということで、湿地に戻って来て湿地研究の職も得てプロポーズしてくれる。カイヤ、どうしてそんなにモテるの?とは思った。
とは言え、殺人で起訴されたカイヤの弁護士トムによる法廷劇は、見どころ満点で面白かった。検察は、チェイスが身につけていた貝殻のネックレス(カイヤがプレゼント)がなくなっており、カイヤによる犯行と主張。弁護士役デビッド・ストラザーンの演技が実に見事であり、事件時被告は別の町におり、僅か1時間でバス移動による殺人を冷静に敢行する必要があり、とても無理でしょう。無垢な彼女を容疑者とするのは“湿地の子“と見る偏見からでしょうと、陪審員に強く訴えかける。その結果、めでたく無罪ということになる。
その後カイヤはテイトと結婚し、湿地の生物たちを本にして何冊も出版。当初テイトが怪しいと思っていた私だが、どうやらそれはハズレで、事故ということらしいと納得するのだが、最後に静かな大逆転劇があった。
自分も上手く騙されたと、思わず拍手を送りたくなる幕切れであった。見ている時は気が付かなかったが、主題歌はあのテイラー・スウィフト作詞作曲による書き下ろしのものだそう。
監督オリビア・ニューマン、製作リース・ウィザースプーン、 ローレン・ノイスタッター、
製作総指揮ロンダ・トーレフソン、 ベッツィー・ダンバリー、原作ディーリア・オーエンズ、脚本ルーシー・アリバー、撮影ポリー・モーガン、美術スー・チャン、衣装ミレン・ゴードン=クロージャー、編集アラン・エドワード・ベル、音楽マイケル・ダナ、オリジナルソングテイラー・スウィフト。
出演
デイジー・エドガー=ジョーンズカイア(高橋雛子)、テイラー・ジョン・スミステイト(近松孝丞) 、ハリス・ディキンソンチェイス(小林親弘)、マイケル・ハイアット(斉藤こず恵)、スターリング・メイサー・Jr. (楠見尚己)、デビッド・ストラザーン(牛山茂)。
美しすぎる自然の描写
なせか満足度の高い映画
そもそも主人公のひとり語りってどうにでも説明できちゃうから映画の質として低いと思ってるし、それに加えて俳優たちのシンプルすぎる演技、深みのない人物描写、途中見るのが辛くなって流し見してたけど、見終わったらなぜかすごい満足感。復習モノが好きってのもあると思うけど不思議な映画でした。湿地の娘のあまりの洗練さも見終わったあとはまあ良いかと思わせるほど。湿地の住人といえばペーパーボーイ 真夏の引力という映画のニコール・キッドマンとマシュー・マコノヒーが圧巻でしたね。あんな美男美女なのにザ・ホワイトトラッシュという様を見せつけてくれました。この主人公の女の子もあの味が出せればもうちょっと印象変わったかも。
そうきたか〜
途中から展開読めるけど、なるほどそうきたかーって感じでおもしろい。
父がこの子と2人になってから性的虐待しない展開でほっとした。
何かで読んだけど、この子が本当に好きだったのはあの貞操を捧げたDVおぼっちゃんで、やっぱ帰ってこなかった奴のことは一生許せなかったんかなって、しっくりくるなぁ。
最後は湿地と共に眠りについたのも…。
湿地がジメジメしてて、わーめちゃくちゃ虫がいそうって何回も考えてしまうし、あんまり美しいって思えないので、何度も観たい映画ではないですけど面白かったです。
🇺🇸の病巣。🦞が鳴く鳥になりたいと。。。
内容は、舞台はアメリカはカロライナ。1969年に起きたチェイス殺人事件の深層に迫る被疑者・主人公カイア(湿地の娘)の話。果たして彼女はチョイスを殺害したのか?殺害していないのか?!印象的な台詞は『自然に善悪はないのかも、生きる為の知恵よ』自分の絵画が認められる様になって会食での一言。食事を摂りながらの話はかなりキツくて笑いました。そして『彼等が裁くのは私ぢゃない。彼等自身よ!』との叫びは上手いミスリードだと感じました。この問題提起の内容のすり替えは、BLM等過去多数の例あるアメリカの民主正義のなせる技だと感じます。大多数の人が深く思いを寄せる所に切り込む問題提起は面白くも感じました。印象的な場面は『そして父も去った』簡単にサラッと流されましたが、あの土地に固執し続ける原因は父親も排除したのかも?!何て考えてしまう怖さがあります。戦争体験で性格も人格も変わってしまった父親の表現が伝わり戦争後遺症の悲惨さと戦争を逃れた内地に潜む人のバイアスも分かりやすく描かれていた所が面白かったですし、対照的にヤンキーチェイスの様なベトナム戦争時代に兵役拒否した若者の心模様が垣間見れて面白いのです。印象的な映像は、アバンタイトルのアオサギが湿地〜浜辺〜沼地まで全景を説明する様に見せてくれる自然の風景が美しく驚きました。最後まで見ると鳥になって自由になりたかった主人公・ザリガニの魂の泣き声が聞こえて来そうで文学的で感傷深い正にカタルシスの解放。『湿地の奥にあるのが本当の沼・ザリガニの棲家』サルオガセモドキの様な着生植物も朝夕の陽光も全てそれだけで素晴らしく、大自然それだけで楽しめました。何よりもザリガニ🦞は鳴かないのですが、硬い殻に覆われたザリガニが鳴く様に人造国家アメリカ🇺🇸の声なき声を代弁するような攻め具合が叙情的に表現されて良かったです。内容が内容だけに子供には見せづらいのが難点ですが非常に実験的で面白い作品だと思います。自分は4回程観ましたが何回見ても面白い作品だと感じます。また原作も読んだみたいと思わせる映画です。
ラストの描き方が残念
真実に驚きは無し
目に優しい映像は好きでした
殺人容疑者は湿地の女。裁判で明らかにされる彼女のすさまじい過去。 ...
良かった…
おすすめされて観ました!
個人的にハッピーエンドが好みなので、最近よくある「ラスト数分のどんでん返し」みたいなのが苦手なのですが(最後まで何があるか分からなくてドキドキするから落ち着かないと思ってしまう)、それは置いておいて良い映画でした。
あの貝ネックレスを取ったのって、疑われないように、もあるだろうけど、カイラのことを本当に好きで、そのままの彼女を見てくれて、自然のことも尊重してる気持ちからではなかったと分かったからあなたには付けてて欲しくない、ふさわしくないから返して!みたいな気持ちもあったんじゃないかなぁと、観て一夜明けてから思いました…。
カイラ亡き後日記を見つけたテイトの顔ね…。そしてそれを湿地に葬りさる、湿地は全てを受け入れる。あれをどうしたらいいか分からなかったのか、愛なのか。
でもカイラのテイトへの愛もまた本物ではあったと思う。
町の人から蔑まれて、ずっと天涯孤独で自然の中で自然と共に過ごしたカイラにとって、自然の方が身近で、生きる為にはカマキリのメスがやるようにオスの命を奪うことはむしろ自然なことに思えたんだろうなと。
ボンボン息子(名前忘れた)のお母さんすごいいじわるに見えるような演出であったり町の人が偏見たっぷりなように描かれてて、カイラが善人、町の人が悪みたいな構成が出来てたと思うけど、やっぱりカイラ殺人は犯してた。その上で「湿地の娘」カイラのことをあなた(視聴者)はどう思うかと問われる気持ちのする映画だったように思う。
ボンボン息子も誰にも本当の自分を理解してもらえないけどカイラだけはみたいな、彼女に自分の理想とか願望を押し付け投影してたんだと思う。風のように自由なカイラが羨ましくもあったんだろう。でも自分のモノにならないから癇癪でのあれかなみたいな…。ないわ…。
男の人とか社会とかにひたすら翻弄されまくっててほんとに見てて痛々しかった。
タイトルの意味は、お母さんが言ってた、殴られた時?お父さんがやべー時はザリガニが鳴くところまで逃げなさいってやつからだと思う。逃げなさい隠れなさいってことで、お母さんはそうした。カイラはそれもしたけどそれだけじゃなくて牙も向いた。
映画の中で彼氏たちはカイラを町の人の1人にさせようと試みたりしたけどカイラと町の人の間には心の深いところに超えられない壁があったんだろうね。
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