劇場公開日 2022年11月18日

「マイノリティを尊重することの大切さ」ザリガニの鳴くところ talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0マイノリティを尊重することの大切さ

2023年9月14日
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鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
私じゃない、嫌ったのは彼らよ。
私を嘲笑い、仲間外れにし、悪意をもって蔑んだ。
そんな彼らに懇願しろと?
私は何もしない。勝手に裁けばいい。
でも、彼らが裁くのは私じゃない。
彼ら自身よ。

☆ ☆ ☆

それが彼女にとっては至極当然のことであったとしても、人が多く住む市街を離れて、独り湿地で暮らしているということだけで、外の世界で生活している人からは好奇の目で見られ、「変わり者」と決めつけられ、時に軽蔑さえされるー。
地域社会(文明社会)からは距離を置いて静かに暮らしていた少女・カイアが、しかし、自分を包み込む湿地の自然をこよなく愛しながら、その中で生き抜く術と価値観とを身につけた、その生命力のたくましさーそれが本作のエッセンスであることは、疑いのないところだろうと思います。
食料としてのトウモロコシ粉は言うまでもなく、湿地であるが故に船を使わざるを得ない以上、ガソリンや点火プラグなどか必要となり、それ故に、貝を雑貨店に売ることで、現実の文明社会との関わりを否定はできないのですけれども。

そして、ある事件を契機として、彼女がマジョリテイの価値観で裁かれようとする事態に陥ってしまうー。
そういう不条理には、本当に心に痛い一本でした。評論子には。

佳作であったと思います。

(追記)
この町で生まれてから、片田舎のこの町でずっと暮らしてきたと言いますけれども。
しかし、この弁護士は、只者でない。
否、むしろこの町にずっと根づいて来たからこそ、この弁護ができたのか。
いわゆる「マチ弁」(企業の顧問を中心に経済事件などを専門に手がけるのではなく、地域に密着して、地元民の法律問題をひろく取り扱う弁護士)の強みというのは、こういうところにあるんだろうなぁ…とも思いました。
その点も、本作は、とてもとても興味深い一本になりました。評論子には。

<映画のことば>
自然に善悪はない。ただ、生きるための知恵があるだけ。

<映画のことば>
危ないときは、ザリガニの鳴くところまで逃げるんだ。

talkie
talkieさんのコメント
2023年9月23日

humさん、コメントありがとうございました。
お互い良い映画をたくさん楽しみたいものです。
また、よろしくお願いします。

talkie
humさんのコメント
2023年9月22日

おはようございます。
非常に印象深い作品でした。
自然の描写に目をみはり、風にのりそこから流れてくるにおいを感じるような時間がありました。
〈映画のことば〉で、あの環境に育った彼女の世界観を思い出しています。
また配信を観ようとおもいます。

hum