「彼女の名前を耳にしたい」ザリガニの鳴くところ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女の名前を耳にしたい
よく聴くラジオ番組で、池澤夏樹&春菜父娘が絶賛していて「ブックマーク」していた原作。遅読で積読が減らない私は、結局今回も「映像化」されたものから先に鑑賞となりました。
で感想ですが、意外なまでに「潔くシンプル」で「美しさが光る」作品です。
シーンは湿地帯の風景を鳥を追いかけながら進みつつ、主人公カイアのナレーションで始まります。まずはこの自然の美しさに目を惹かれます。
そして、発見される変死体から一気に進む捕物がプロローグとなり、そこから回想と法廷シーンで展開していきます。これが過剰な演出を一切加えず、そして淡々と語りながら進んでいく物語はまるで既視感すら感じるほど「古典」で、そしてこれぞ「映画」な仕上がりに惹き込まれます。
おそらく高評価は、単なる「面白さ」への賛美ではなく、「深く感じ入って、強く印象に残る作品性」を讃えるものであると理解することが出来、そして一映画ファンとして喜びを感じます。
さらに、なにより素晴らしいのがカイアを演じたデイジー・エドガー=ジョーンズ。生き抜くために身に着けてきた能力と強い意志を、言葉数少なくも繊細な表情で演じ、とても自然で印象的で且つ美しい。出来ることならこれからの賞レースで「彼女の名前を耳にしたい」と期待しています。
そして勿論、デイジーの演技を惹き立てるのは幼少期のカイアを演じるジョジョ・レジーナの魅力ある演技も忘れてはいけません。素晴らしい。
それにしてもドラマ『ザ・モーニングショー(19)』でも「アンフェアな社会で生き抜く女性」を演じるリース・ウィザースプーンのプロデュース、納得の一本です。今後も彼女の作品に期待が膨らみます。
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