配信開始日 2022年8月26日

「世捨て人の老人が少年の純心に触れて心を取り戻すスーパーヒーロー版"アルプスの少女ハイジ"  秘められし過去の宿業と自分が生き残った意味に苦悩する暗い怒りが大爆発!!」サマリタン O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世捨て人の老人が少年の純心に触れて心を取り戻すスーパーヒーロー版"アルプスの少女ハイジ"  秘められし過去の宿業と自分が生き残った意味に苦悩する暗い怒りが大爆発!!

2022年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 "スタちゃん主演のスーパーヒーロー映画"ということで、スタちゃんのアクション映画としてもスーパーヒーローものとしてもなんとも中途半端でビミョ~だった『ジャッジ・ドレッド(1995)』の苦みを思い出してしまいますが、本作ではスーツと武器を装備したスーパーヒーローとしての活躍譚は遠い過去のものとして大胆に省略し、世捨て人となった彼の経緯と少年との交流を描くヒューマンドラマに重きを置きつつ、要所で老骨に鞭打っての骨太肉弾アクションを披露してくれます。
 総括すると、"やりたいことのユニークさはわかるし、アクション映画としての要点はまずまず押さえてるけど、細かい部分の詰めが甘い"というところでしょうか。それでも、スタちゃんが苦手としてたSF作品の中では完成度として健闘したほうですし、先述の通り、スーパーヒーロー映画の体を取りながら昨今のスーパーヒーロー映画に苦言を呈したような内容はなかなかの野心ぶりだと思います。
 結末のどんでん返しや善悪の煩悶というテーマの連続性を考えると、もしかするとドラマシリーズの長尺で描いたほうが生きた作品なのかもしれません。
 ともあれ、スーパーヒーロー映画好きにもスタちゃん映画好きにも、それぞれ観た人に何かしら刺さるところは有るかと思いますので、既に観た方も未見の方も噛み締める余地のある作品だと思います。

O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)