「少年たちが皆良い味を出している」雑魚どもよ、大志を抱け! tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
少年たちが皆良い味を出している
主要な7人の子供たちのキャラクターがしっかりしていて、それぞれを地で演じているような少年たちも、皆良い味を出している。
乳がんを患う母親、無理やり塾に行かされる主人公、ヤクザの父親の暴力に苦しむ友達、映画監督になることを夢見るもカツアゲの標的にされる友達と、盛り沢山の内容で、いったいどのエピソードが膨らんで行くのだろうと、成りゆきを見守った。
結局、クライマックスは採石場での決闘となるのだが、反発しあっていた2つのグループが、共闘を通じて仲良くなるという展開は、それはそれで面白い。
それぞれのグループのリーダーの力関係を窺いながら、両者を渡り歩く少年の存在も、大人の世界の縮図のようで笑わせる。
ただ、最後は、やっぱり、少年たちによる映画作りの話にしてもらいたかったと思う。
せっかくの「地獄トンネル」も、今一つ活用し切れていないように感じてならない。
多用される長回しも、手持ちカメラが動き回り過ぎて船酔いしそうになったし、少年同士が思いの丈をぶつけ合うシーンも、あまりにも長くて息苦しさを感じてしまった。
悪ガキたちのイタズラも、どう見ても動物虐待で共感できず、何よりも、「郷愁」を感じんことができなかったのは残念だった。
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