劇場公開日 2023年3月24日

「個々個々惜しい点はあるが、それでも対抗以上の作品。迷ったらおすすめ。」雑魚どもよ、大志を抱け! yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5個々個々惜しい点はあるが、それでも対抗以上の作品。迷ったらおすすめ。

2023年3月24日
PCから投稿

今年96本目(合計748本目/今月(2023年3月度)31本目)。

本作品、映画の描写からわかるとおり、いわゆる「田舎」が舞台であることはわかりますが、飛騨(エンディングロールで、岐阜県であることもわかる)が舞台なのですね。

これまでの作品でいえば、「SABAKAN」や、アニメ作品になりますが、「グッバイ・ドングリーズ」などと似たテイストで、年齢の細かい差はあってもこの程度の男子がいろいろなその歳の悩みに迷いながら、他の子との交流を描く、という趣旨です。あるいは、どうも岐阜県(愛知県も?)では先行上映していたので、「地元応援枠」という考え方も可能かなと思います(「飛騨」や「岐阜」という語は明示的に映画で出ましたっけ?)。
最後に文化庁の補助金枠であることも表示されますが、それも納得の一作です。

上記であげたような「参考作品」を見てよかったなと思う方にはぜひぜひおすすめの一作です。120分ほどで、展開がわかりにくい(特に方言関係)ということもないし、言わんとすること自体もいくつか幅がありますが(SABAKANのような「当時を思い出す」という趣旨とも思えるし、地元応援枠という見方もできる)、少なくとも文化庁応援枠であることも考えると、極端にわからないということはないし、今週(24日~の週)は本命対抗と作品が多めの週ですが(競馬新聞ではない…)、迷ったら「対抗以上」というところでしょう。

採点に関しては下記を考慮しています。
法律系資格持ちはどうしても気にする点がどうしても多いし、他の作品でも書いていますので…。

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 (減点0.3/特定の行為に関する注意喚起が足りない)

 ・ 路線の上を歩くことは行政法規に触れます(災害時などやむを得ない場合に許されるに過ぎない)。同様にトンネル等に入ったりするのも同じで、特に後者は「行方不明者」を出してしまうので、単に「個人の自由だから」では済まない部分があります。

 この点はあまり注意喚起されることがないですが、実際にJR、私鉄ともにトラブルになった場合の対応が複雑なので(そして、小学生高学年の子がそういう行為を起こしても、運行事業者からの(運行ができなかった、邪魔された等の)損害賠償だの何だのということは実際問題は無理)、この点はちゃんと描写が欲しかったです。
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 (減点なし/参考/駄菓子屋の「詐欺」がどうこうという話)

 ・ ここでいう「詐欺」は民法上のものを指しているものと思われます(刑事上の詐欺罪は、個人が訴えることはできない。あくまでも警察頼み)。

 しかし、民法上の詐欺(民法96条)は、次のように「二段の故意」が必要です。

  ・ 相手方を欺く行為を行ったこと(詐欺の故意があること)
  ・ それにより相手側が錯誤に陥り、誤った意思表示をしたこと
  ・ 上記2点に因果関係があること

 今回の場合、前者の条件を満たしていないので(駄菓子屋のおばあちゃんもある意味で(駄菓子屋メーカーによる)詐欺の被害者であるという事案)、詐欺取消しの条件を満たすかというと微妙です(ただ、錯誤(95条)のうちの共通錯誤を理由に取消し(現行。当時は錯誤は「無効」)を行うことは妨げられないわけです)。

  ※ ちなみにこの駄菓子屋のおばあちゃん、エンディングロールを見ると「駄菓子屋のババア」と書いてあったりしますが…。まぁそりゃそうですが…

yukispica