劇場公開日 2023年3月24日

「映画弱虫日記」雑魚どもよ、大志を抱け! ぐちおさんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画弱虫日記

2023年3月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

3/4の飛騨市先行上映会で
お先に拝見しました。

飛騨市の方に向けた開催ではあったけど、
一時的に飛騨に住んでいた自分もお邪魔しました(?)

ネタバレは無いはずですが、
これを読んでくれた人が観てくれるように願います笑

2回連続で今回観させて頂きました。
めちゃくちゃ良かったです。
(足立監督にもこのイントネーションで伝えた)
拝見するのを楽しみにしてたんですよ。

日本版『スタンドバイミー』とか最近流行りですかね。『サバカンSABAKAN』でも言われてたので笑
でもこの作品は日本版とか、ちょっと違いますね。
『雑魚どもよ、大志を抱け!』と唯一無二の映画だと思います。

物語は多感な時期に差し掛かる男の子たちの友情と葛藤と別れの物語。それを取り巻く大人たちの物語です。

まず、子供たちがメインの映画でここまでそれぞれの役が引き立っている、確立されてる映画ってありましたかね。
どのキャラも埋もれてなくて、存在感があって。
何よりそれぞれのキャラがしっかり観た人の心の中に残ると思うんですよね。とても新鮮でした。

メインの7人の子供たちもうち2人はほとんど初めてのお芝居だったみたいでそれも感じなくて。
主演の池川くんの表情豊かなお芝居と、西野役の岩田くんの佇まいも良かったです。
でも、田代くんかなあ。
『タイプじゃねえよ』、そんな一言にも味があってドキッとして痺れました。隆造素敵でした。

劇中のシーンとしては長回しが多くて好きでした。
長回しいいですよね。雰囲気が途切れなくて。
オープニングクレジットではワクワク感を覚えました。仲間を集めてさあ本編の流れが。
ラストの重要な掛け合いのシーンでも1カメの長回しで痺れました。瞬と隆造は芝居超えてました。
それをやらせる監督も、その期待に応える俳優陣もしっかり信頼関係があってのこそだなと思いました。

ストーリーとしては、原作も読みました。
映画では序盤の瞬の感情の起伏が弱いのと、西野のエピソードが少し少ないけど、
『地獄トンネル』や瞬と隆造の関係にフォーカスを当ててるので同じ物語でも映画と原作ではまた違う方向から物語を楽しめて、どちらもチェックするべしと思います。

でもこの作品を見て思ったんです。
なにかを背負ってる子供って絶対にいるので、
自分も少なからずそっち側で。
大人になるとそっち側なのか、こっち側なのか。
もうどっち側なのか分からなくなったりするけど笑
それを引きずって大人になってる人もいるので、色々考えさせられました。
でも、普通というのは普通であるがゆえの大変さもあると思うので、今もグルグル頭で考えてます笑

その彼らの奮闘を観た後でエンディングにかかる、
インナージャーニーの『少年』は
本当に鳥肌ものなのでこれはマジで良かったです。
『14の夜』キュウソネコカミも最高ね。
これよこれって感じが流れます。
早く配信でも何でもしてほしいエンドレスリピします。

あと、劇中はオール飛騨ロケ。綺麗です。
めちゃくちゃ綺麗です。
飛騨古川歩いてると全部がセットか?と思うほどに劇中に出てきます。絶対に観光したくなります。
監督もトークショーで
『飛騨市のみなさんの協力が無ければ完成しなかった』
と仰っていて、地域全体で取り組む映画製作の素晴らしさも今回で感じました。

長々と書いてしまったけれど、
当たり前にあるようだけど、当たり前じゃないものを描いてるのかなと思います。
そこにあるものはきっと当たり前じゃない。
大事にしないと簡単に手から溢れていくような。
毎日キラキラしてるんだぞ!
そんなメッセージを感じました。

大人はもちろん小学校高学年、中学生にもしっかり刺さる物語じゃないかな。
連続で観たのに、1度目と2度目でだいぶ観る視点も感想も変わったのは自分でも意外でした。
観れば観るほど気づきもあるし、自分の気持ちの変化でまた捉え方が大きく変わる映画だと思います。
自分にはかなり刺さってしまって笑、
また観に行きます。

大手シネコンとかで上映される映画では無いです。
でも、男の子たちも将来有望ですし、
最近の流行りの口コミなどでロングランとかになったらいいな。
公開はまだだけど、映画ファンは早めに観て‼︎
そして、たくさんの方に愛される映画になりますように。

ぐちおさん