「毒を食らわば皿まで」呪詛 ARSさんの映画レビュー(感想・評価)
毒を食らわば皿まで
主人公のリーは6年前に禁忌を破る。
それを最後の最後まで隠しながら物語は進む。
配信は娘の呪いを解くためにするという目的、
そして映し出される符号。覚えさせられ唱えさせられる呪文。
we come…いやいや途中で気付くでしょう笑
本当の名前は教えちゃいけないのに教えちゃう。その瞬間から色々始まるし…
さて6年前に映像は変わり、YouTuberみたいなリーを含む3人組が村に潜入する時点でリーが妊娠、吐いてるのが悪阻というのを示唆される。名前を授ける云々の話もするのに、村の中で名前決めちゃうあたり頭悪そう。
世界の形は自分自身が決める。
リーはそれを履き違えてる。
自分勝手過ぎる行動の数々、余りにも幼稚。娘にすら盗んではいけないよ?と言われる始末…こういう所にリーの悪い性格や思想が垣間見える。
そして我々は6年前に何があったのかを、沢山の人の死の上で知る事となる。
名前を渡し呪いを共有そして守られるようにする、それが大黒仏母。
符号と祈りの言葉、そして仏母の顔。
全ての謎が解けた時にはもう取り返しがつかない。画面の向こうの我々も名前を渡さなければならなくなっている。
禍福倚伏 死生有命=災難と幸福は交互にやってくる、運命は変えられない
という意味。最高に良い。
「お城が泡になって消えちゃった。」
あのお城も彼等もみんな初めから、きっと運命は決まっていた。
リーが妊娠してる状態で村に行くもの、
地下道へ入り禁忌を破るのも、
里子に出したのに取り戻したのも、
本当の名前を教えてしまったのも、
絶食を言い渡されていたのに食べさせたのも、
生放送で全世界に配信するのも、
きっと全部、運命。
救いようの無い世界で踠けば踠くほどに皆んなを不幸にしていくリー。
それでも最後まで娘を守りたい気持ちは持っていた。
ただあまりにもリーは精神年齢が低過ぎる。
自業自得と言って他ならない。
現在と6年前がごちゃごちゃに映し出される本作、観辛い所もあるが密教ホラー映画ではかなり好みでした。
儀式の細かな所が大変気に入っているため後半部分のみだけでも何度でも観たいと思う出来栄え。
3部作になるとの予定なので続編が楽しみです。