劇場公開日 2023年3月31日

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「構築してきた他者との繋がりは合理性だけでは割り切れない」わたしの見ている世界が全て BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0構築してきた他者との繋がりは合理性だけでは割り切れない

2023年4月15日
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鑑賞方法:映画館

我が身と主人公の考え方にシンクロする部分があったため(超合理主義で超個人主義という点で)、勢いで鑑賞。
結果、現時点で今年観た邦画のうちNo.1満足度の作品となりました。いや、素晴らしい。よく82分でこんなにキャラも性格も立ち位置も違う4人の兄弟姉妹を、描き切られたものだなと。
繰り返し申し上げます。
82分!
長いから良いって訳じゃないんだぞ、邦画界!
※もちろん例外もあります。

そんな訳で、単純な家族映画と思いきや、田舎町あるある事情を土台に複雑な兄弟姉妹の背景と、そこに伴う周りの人々との繋がりも非常にうまく盛り込まれた作品でありました。
特に好きなのは長男ですね。
家族の前ではイキがっていますが、お願いと言われたら断れない(風に生きてこなきゃいけなかったんだろうなという)性格と。その布団いつ干したのさっていう、あの部屋。どうでも良いですが、長男の部屋が1番客が来た時に駆けつけやすい場所にあったのも、個人的に田舎の店あるあるな感じでポイント高いですね。
本当にキャラ立ち半端ない。
この長男と、訳ありで帰ってきた長女、それにニートの次男の前に爆撃機(嫌な言い方で申し訳ないが、もうそれしか言いようがない)のように飛来する主人公。
結果的に自分がスッキリすればいい、という視点で動くので、まあ嫌われまくる。
でも、自分が嫌われてるということが、多分あんまわかってないんですよね。自分がやってることが正しいと思い込んでるので。

結果的には最良の選択。
ただ、それって人としてどうなんだ?

…うん。
なんか、本当にこの作品を通して、いろいろと反省してしまった。
なお、この作品の素晴らしいところは課題提起するだけでなく、ちゃんと答えに導いてくれるヒントをくれるということ。

忙しさと合理性のあまりに、他者との関係性を損得で勘定したり、数字でカウントしたりするような習慣がある方に、是非ご覧いただきたい映画だと思いました。
重ねて言います。
82分。
でも得られる教訓は一生モノ。

BONNA