マルセル 靴をはいた小さな貝のレビュー・感想・評価
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孤独も痛みもまるごとつつみこむ。
なんだこの心地いい世界観は。物語の中心にあるのは、マルセルともうひとりの主人公である映画作家の孤独だし、SNS時代の弊害みたいなものもちゃんと入れ込んでいる。それでもなお、この映画で描かれる心の交歓は、なんともやさしくて、そのやさしさがそのまま映像に溢れかえっている。あとマルセル役のジェニー・スレイトの声にも。しかしこの手作り感あふれるストップモーションと実写の融合は、さぞや手間暇がかかったろう。実際、もとになった短編を作ったときには監督(作品中でも監督役を演じている)とジェニー・スレイトは実生活でもパートナーで、ふたりの共同作業として始まったプロジェクト。それが、ふたりが別れてもなお作業を続け、それがどんなものだったのか外野にはなんとも判断できないが、胸の奥のチクリとした痛みもまた、ちゃんと作品に反映されている。とてもいいものを見させていただきましたと、座布団に座り直してお礼を言いたくなるような映画でした。
フェイク・ストップモーション・ドキュメンタリー?
一種のフェイクドキュメンタリーのスタイルで撮影されており、合成も違和感がないので、リアリティがある。アニメーションであり実写映像でもある、ハイブリッドな作品で、技術のコモディティ化による現代的な感性によって作られている。今後、こういう感覚の作品は増えていくだろう。アニメーションキャラクターと生身の人間が違和感なく、特に説明を必要とせずに当たり前に共存しているという感覚だ。
マルセルの会話がウィットに富んでいて飽きることがない。カメラの後ろにいる監督とのやり取りは気心のしれた友人といった感じで、映画を観ているこちらに話しかけてくるような構図になっているので、自分もその場にいるような感覚を味わえる。ところで、これが長編アニメーション部門の要件を満たすと判断されたのはちょっと驚きだ。全編の75%以上がアニメーション映像じゃないといけないんじゃなかったか。
可愛いだけじゃない。しっかり織り込まれたストーリー性が胸を打つ。
身長2.5cmの小さな貝が、向けられたカメラに向かって天真爛漫におしゃべりを続ける。そんなドキュメンタリー風のファンタジー世界を、ストップモーションを駆使して奇想天外に撮りあげた素敵な作品だ。何が素敵かって単にキャラや仕草が可愛いからだけではない。彼が一軒家で様々なアイディアを駆使して日常を営んでいく生態が見ていてとても楽しいし、撮影者(人間)と被写体とで織りなされる会話のキャッチボールもナチュラルで、敬意と創造性に富み、互いの間に少しずつ信頼関係が芽生えていくのが手に取るようにわかるのだ。そしてマルセルと一緒に暮らすおばあちゃん貝のふんわりと優しい存在感が最高。イザベラ・ロッセリーニが声をあてるこのキャラは、時にマルセルへ向けて勇気を持って踏み出すことの大切さを教えてくれたりもする。不意に登場するフィリップ・ラーキンの有名詩が、この映画の記憶をいっそう眩く、忘れがたいものへと高めている。
ほっこりします🫶🏽
ストップモーションアニメと、実写の融合と素晴らしい映像化でしたね。
リアルに、マルセルが存在しているかの様。
巻き🐚おしゃべりなマルセルとおばあちゃんの🐚は、お家に住んでいますが、事故で?家族と離ればなれになってしまう。
同居する映像作家のディーンと知り合い、SNSの動画にアップしたら、バズってしまいTV撮影まで来てしまいというストーリーです。
マルセルは、完全な引きこもりです。外は危険⚠️で、安全な家から出たいが出られない。勇気が持てないでいる状況をおばあちゃんは、良く理解していて背中を押してくれます。
そこから、マルセルの世界観では様々な事が起こりますが、少しずつ成長していきます。結果ハッピーな結果になります。
勇気を持ってチャレンジすることや、行動を変えることの大切さを小さな巻き貝が教えてくれてありがとうでした😊
奇妙なのになんだか可愛い貝殻マルセル
なんで貝なんだろ?とは思うけど、まぁそんな事はどうでもいいんだろう。そしてこんな奇妙な存在なのに愛らしく思えるから不思議。吹き替えで鑑賞。
子どものマルセルだけど、どことなく達観しているような価値観を持っている一面もあり、うまくいかない事だらけでも腐ってる場合じゃないなと思わされたり。
マルセルの生活の知恵?工夫みたいな、それそうやって使うんだ。みたいなのが見ていて楽しい。
そしてマルセルの子どもならでは?世間知らず故?たまに核心をつくというか毒気のあるような発言なんかも面白かったり。
ラストはほっこりなエンドでそれはそれでマルセルにはまた新しい発見があったり。
この作品らしい終わり方だなぁと。
基本的には一軒家の世界しか知らない小さなマルセルだけど、それでももっと大きな世界との繋がりを感じている感じが良かったなぁ。
なんかすごい事が起こるってわけでもないし、まったり系の作品なので、なんとなーく眺めるように見たい人にはおすすめかな?
っていうかこの種族?って貝だけじゃないんだ…って衝撃。
4月、新生活を送るみなさんへ
苦難にみまわれつつも、自然体で軽やかとしなやかに乗り越えてゆく貝のマルセルが魅力的だった。
そんな本編、大人の絵本といった仕上がりか。
可愛いキャラクターをめでるもよし、深読みで人生哲学に触れるもよしだ。
人は変化を恐れるし、冒険にリスクはつきものだが全てが最悪に終わると決まってもいない。祖母にも押されて少しばかりの勇気を振り絞ったマルセルは、
そうして飛び出した安全地帯の向こうで世の中とのかかわりを築いてゆく。
そのかかわりという広がりの、他愛ない明るさがいい。それこそ4月、新生活に入った人に見てもらいたい、きっと大丈夫と囁きかけるような物語だった。
この優しさと力強さと、一抹の寂しさが入り混じったラストは、
冒頭からでは想像もつかない。
途中、マルセルに移民や難民をだぶらせたが、それはたぶん考え過ぎだろう。
何故、貝なの?
監督のディーン・フライシャー・キャンプとマルセルの声優ジェニー・スレイト夫妻が思い付きユーチューブで短編を披露したら大ヒットし7年かけて長編化したそうだ。
夫妻がなぜ貝が主人公のファミリードラマを創りたかったのか、しかも片目の巻貝という気味悪くもあるキャラクターにしたのか、貝の少年と祖母との会話は詩的で哲学っぽくて意味深、これなら普通の少年と祖母の物語で描いても良いのに奇抜さにこだわりがあったのでしょうか。確かに最初から、これはドキュメンタリーと断っていたから薄いドラマ性でもついていけたのは奇抜な設定故に興味が持続できたのかもしれません、まさに多様性の時代の珍作ですね。
ストップモーションと実写の合成
体長3センチほどの小さな貝がマルセル、お祖母ちゃんのコニーと住んでいる。
この家にやってきたディーンは映像作家で、マルセルの話すことが斬新で面白いため、動画をYouTubeにアップする。
マルセルはとても率直なので、時々はドキッとしたことを言ったりする。
ストップモーションと実写の合成だが、アイデアにあふれている。
なんて可愛いらしく愛おしい存在なんでしょう
吹替えで鑑賞しました。
貝のマルセルが愛おし過ぎました。
車で酔ってしまって吐いちゃう度に「ごめんね」って謝るんだけど
声優さんの演技が上手過ぎて⋯思わず謝らなくて大丈夫だよ〜
って声をかけたくなります。
あとこれをツッコんだら映画にならないんだけれど
動画を撮っている人間、もっとマルセルに協力しろよ!
って所々イラっとしました(笑)
マルセルの声に癒されるので元気がない時に観かえす映画になりそうです。
【小さくてお喋りな貝のマルセル。或る事が原因で家族と離れ離れになるが、勇気を持ってTVのトーク番組に出演し、家族と再会する冒険と成長を描く“実写×ストップモーションアニメ”モキュメンタリー作品。】
ー まずは、この映像作品を発想した映像作家ディーン・フライシャー・キャンプ(本人役で出演もしている。)の才能には敬服する。
そして、小さくてお喋りで好奇心旺盛な貝のマルセルの靴を履いた可愛らしい造形も素晴らしい。-
■マルセルは体長2.5cmのおしゃべりな貝で、祖母のコニーと一軒家で暮らしている。
以前は家族たちと暮らしていた。が、当時家に住んでいたマークとラリーサが喧嘩別れした際に、マルセルの家族たちは身の危険を感じマークのスーツケースに逃げ込んだのだが、マークはそのスーツケースを持って家を出て行ってしまったのだ。
ある日、マルセルは新しく家に越してきた映像作家・ディーン(ディーン・フライシャー・キャンプ)と出会い、離れ離れになった家族を捜すため、彼の協力を得てYouTubeに動画をアップする。
すると一躍人気者になり、以前から見ていたTVのトークショー”60ミニッツ”から出演依頼が来る。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ストップモーションアニメは好きなジャンルなので、結構観て来たがまさか実写とミックスさせる作品が公開されるとは、ビックリである。
・今作の魅力は勿論、マルセルの可愛らしい造形と、好奇心旺盛な姿や、祖母コニーを気遣う優しい姿である。
・マルセルの事がSNSに拡散し、彼と祖母が戸惑うシーンなども現代的で何だか可笑しい。(今作では、それを皮肉っていない所も、好感が持てる。)
<TVのトークショー”60ミニッツ”に出演した事で、ラリーサと連絡が取れマークの家に駆け付けるディーンとマルセル。
そこで、引き出しの中で出会ったマルセルの大勢の家族たちとの再会のシーンは良かったな。
今作は、作品発想の素晴らしさと共に、小さな貝のマルセルが祖母コニーの死を乗り越え、勇気を持ってTVのトークショーに出演し、家族と再会する成長物語でもあるのである。>
もはや現代アートさぁ♥
piece と peace だね。
『はぐれた一部じゃなくて、大きな絵の一部だから、この音で、世界の全てと繋がる』
主人公やおばあちゃんはシンメトリーを保っていない。シンメトリーを保っていない幼さと、二つ揃って1つと言うピースの意味が含んでいるのかなぁ?
僕はこのキャラクタを見て、ムーミン谷の冬に登場する『ちょこちょこ走りのサロメちゃん』を思い出した。彼女は独り、海泡石の電車の中で泣く。
『歌詞は分からたいけど、スポーツの始まりの前にうたう歌。』
『どんなスポーツを見る?』と続けて聞く。おばあちゃんは
『ボールをネットみたいなのに入れる。そして真ん中からすぐ出してまた、始める。おかしいのよ』
『個人的な感想はテレビはインターネットに負けました』と言っているように感じた。60MINUTESってアメリカのドキュメンタリー番組でかなり際どい内容を放映している。日本には無い。
その番組がマイケル君の話に飛びついた。なんか異様だよね。
つまり、日本で言えば、どこかの街がライトアップされた話がテレビのニュース。なんか異様だよね。
テレビなんてそんな物何だよ。
現代アートは表現出来ないなぁ。だって、時間はかかるし、人件費等の経費もかかる。そもそも、LIVEが出来ない。がしかし、テレビでやっている
LIVEは本当にLIVEなんだろうか?
そんな事、この映画見て思った。
アナウンサーがAIなんて薄気味悪くない?僕の家にはテレビないけどね。
世界観は好きだけど
ドキュメンタリー風ファンタジーなのがちょっとおもしろい。
愛おしい小さな世界。
よく喋るマルセルはちょっとした哲学者みたい。
おばあちゃんやディーンの暖かさも心地よいです。
ミニチュアとか、パンのマットレス、コンパクトのベッドなどの見立てとか好きだが、
声が可愛いマルセルのビジュアルが気持ち悪い。
引き出しを開けたらたくさんの貝がわらわらいる、って、仲間が見つかってよかった、というよりは、やっぱりきもちわりい!!
『ミツビシバシ』
三菱車の言い間違いだが、かくもかなり可愛さが炸裂していて、その愛くるしさは近年稀にみるのではないだろうか 約2.5㌢の主人公という設定も自分が鑑賞した映画では最小であろう
"貝"というメタファーにしているが、手の不自由な男の子が、あるとき厄災により家族郎党を一片に失い、年老いた祖母との二人のみ生き残った世界で、逞しく生活を営む健気な人生をドキュメンタリー型式で描く作劇に仕上がっている作品だ
とても素直で、何事にも諦めない、そして明るさとウィット、皮肉を織込むクレバーな頭脳、ましてやエンターティナーとしての素質の垣間見えは、観客だれでも愛さずにはいられない演出にぐうの音も出ない
それを、実写とストップモーションアニメの融合という、かなり手間の入る手法により作劇してみせた、本当に頭の下がる作品である
ところどころのストップモーションの粗さも今作品に於いては却ってピッタリ当てはまるマジックでグイグイとストーリーテリングが動いていく 何より、主人公の閃きやアイデアを具現化するその頭の良さに感心することしきりなのである 決して四肢欠損は哀れむべき存在ではなく、だからこそアイデアの引出を多層的に用いる可能性を秘めている事実を今作品に於いて紐解いているのであると感じる 出来ない事があるから出来るようなアイデアを科学的に解き明かす ピュアな探求心と、それを育む家族を描いた作品としてこれ以上の題材はないのではと強く感じる 結局、一族郎党探しはネットでは探して貰えず、しかしチャンスとしてCBSドキュメント(60ミニッツ)《→学生時代、夜中酔っ払いながら良く視聴していた》 から取材と、同時に不幸な出来事として祖母への暴力が重なり、消極的に陥ってしまう主人公に、それでも孫を信じて奮起する祖母の姿勢に涙を堪えずにはいられないシークエンスは絶品である ハッピーエンドを演出しつつも、周りに与えた影響(撮影者の心の変化)も含めてエンタティナーとしての完成形を提示してみせた今作に多大なる賛美を贈りたい
ジャンクヘッド及びマッドゴッドのパペットは30㌢前後と比べると遙かにその小ささが解るはず 表現出来る幅は、目の動きと足 とはいえ、それ以上の演技をみせた今作に止まぬ拍手を送りたい、いや本当に・・・
マルセルの声がカワイイ
今年21本目は大垣コロナで鑑賞
兎に角マルセルの声がカワイイ
ヘタに吹き替えで声が変わってしまったりしてたら、この声が聞けない可能性もあったので字幕で本当にラッキーだったと思う。
話がゆったり進みBGMも聴き心地良く
まったりとした時間が過ごせた
残念だったのはパンフもグッズも何も無かった事くらいか。
優しい世界
今年のアカデミー賞長編アニメーション賞へのノミネートで知った本作。ファーストルックを見た時は、へんてこに見えた主人公の貝・マルセルが、映画を観終える頃には可愛くて愛らしくてしょうがないキャラクターになっていました。
なんで貝が靴はいてるの?
なんで歩くの?
なんで喋るの?
その辺の不思議な世界観の説明は一切なく、冒頭からすぐにマルセルのドキュメンタリー撮影をする映像作家の同居人視点で話が進行します。その潔さがとても良かったし、変に説明的ではなく、ひたすらこの優しい世界に没入することができました。
おばあちゃんと2人で暮らすマルセルが、ひょんなことからSNSで注目を集め、離れ離れになってしまった家族を探していく…。マルセルやおばあちゃんがお喋りしたり日課をこなしたり、日々暮らしているのを眺めているような作品なのですが、温かくて優しくて、ちょっと切なくて、丁寧に造られた作風も相まって、ほっこり癒される作品でございました。
あの優しい世界に私も行きたいな。
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