あの娘は知らないのレビュー・感想・評価
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サンダーソニア色
「好きじゃない男の人としたことあるの・・・」と告げた奈々。これはエロい展開になるかと思いきや、キス以上は進展しなかったような2人の関係。互いに孤独感を抱えた2人が相手をいたわる気持ちもそうさせなかったのだろう。
サンダーソニアが中心となってオレンジ色が強調されていた映像。中島荘の建物もオレンジ色だし、俊太郎の服(何種類も)もオレンジ色。雨の中2人が倒れ込むゴミ袋だってオレンジ色だった。悲しくなるはずの両親が死んだ場所にある手すりもオレンジ色・・・花言葉についてもハッキリさせないところがいいんだろうけど、伊豆の町から離れられない点から「望郷」の意味が強いのかな?
俊太郎は恋人・唯子の死を理解することが目的だったのに、結局どこまでわかったのだろうか。ミステリー要素も感じさせる設定だっただけに、どこか不満も残ってしまい、ついつい気になるシーンを二度見してしまいました。それが俊太郎と奈々が恋に落ちていくのならスッキリするのにな・・・
初島には多分いろいろな伝説があるのだろう。初木姫の物語は養子をとった夫婦が育て上げるものであったが、それを唯子が聞いたのだったら死ぬこともなかったかもしれない。他に唯子がもっと悲しい伝説を聞いてしまったからかもしれない。まぁ、知ってしまったところでどうしようもない。最後には2人とも前向きに生きることを感じられる作品なのだから。
【その後の予想】
キス、添い寝、短期間だったがずっと一緒に過ごしていた俊太郎と奈々。終盤での奈々が見た夢の中で俊太郎は旅館の受付に座っていた。彼女の未来予想図そのもの。諏訪太朗が目配せするところからしても、従業員たちはもう俊太郎を受入れている。
爽やかな別れだったけど、奈々は俊太郎を追いかけるに違いない。多分クリスマス頃、サンダーソニアの花束を携えて。子どもを授からなくても養子をとればいい。
元恋人が死んだ場所に住めるのか?とも考えたけど、死んだ場所は伊東市ではなく熱海市。奈々がそれを伝えたのもこの後の展開の伏線になるはずだ・・・
なんだったんだろう。
両親、そして育ててくれた祖母を亡くしながらも海辺の街で旅館を営む女性。休業中に現れた恋人の死の理由を知りたい青年。
一番最初の印象は、ヒロインは何歳設定なの❔ ってことでした。冒頭の自転車のシーンで高校生くらいかな?と。。。なのでタバコ・酒のくだりが結局背伸びした少女みたいな違和感を覚えて。。。
そして『怪しいものではありません。』のところからもしかして幽霊とか幻想とか実は恋人じゃなくストーカーだったとか最後ホラー的な結末になるの?なんて考えてるうちにホワァ~~~っと終わった。
結局なんだったんだろうか。。。
真相や伏線回収等はっきりしたものが好きな人には向かないかも?
面白かったです。
注意※ネタバレにしてますがレビューにネタバレはありません
良い映画なのに、この映画を表現するいい言葉が見つからない
この1ヶ月ずーっと考え続けてた
1ヶ月考え続けてダメなんだからもうしょうがない
演技、風景、音楽みんな良かった
そして何より他の人にも見てもらいたい、そんな映画でした
評価 4.0
私信
最近ソフトな飲み込みやすい映画ばかりみてたなあ
そういう映画がダメなのでは無くて (むしろそういう映画が無ければ映画業界は成り立たない)
そんな映画ばかり見ていた自分がダメなのです
もっと物語咀嚼力や表現するための語彙力を磨いていかないとなぁ・・・
"愛嬌"
『正面ではなく、どこか上目がちにみえる佇まいが女性の武器である"愛嬌"を思わせることに由来』
という花言葉がある、サンダーソニアを劇中に組込み、それとなくメタファーを溶かした演出を施している。それだけではなく、パンチラインの多さは逆に皮肉的ですら勘ぐるような、観客に”解釈”という試験を問うてるような作劇ですら感じられる
そもそもが芸能事務所が主催の、最初から自身の所属俳優が主役という縛りの中でのコンテスト入賞作であり、前回の監督作の『赤い星』の毒気を随分抜いたマイルドな仕上がりが印象的且つ、事務所の制約なのであろうと容易に想像出来るのは穿った観方か・・・
自分的にはNHK朝ドラ『なつぞら』での元気で強気な性格役の福地桃子が、父親が哀川翔というなかなかの血筋のなかでどんな演技を見せてくれるのかを期待して鑑賞した。
そして、前述の”愛嬌”である。今作のテーマは愛嬌を取り戻す薄幸な女の子のストーリーとしての仕上がりなのである。一寸詰め込み過ぎ(性的マイノリティ、不妊問題、問題を抱えた男女の邂逅)な感は否めないが、その根本は取り残された自分がそれでも日々を過ごす上で何かに縋りながら生きていくことで、希望なんてそんなあやふやな実体の無いものがなくてもやり過ごせる事が可能だということを観客に投げ掛ける内容だ。
ラスト近くの、夢の中での、恋人と死別した男が民宿の受付に座っているシーンは、希望なのかもしれないが、しかしそれは恋愛とは違う一種の”同志”として生活を共にしたいという叶わぬ願望なのであろう。でもそんな願望の火を灯しながら生活を続ける、そんな人生も大事なのだというメッセージを今作品では言葉少なく語っているような気がする。
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