そばかすのレビュー・感想・評価
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恋愛感情を持たない女性の「なんでもない」1人の物語
恋愛感情を持たない人をアセクシュアルと言うらしい。そんなヒロインの何でもない物語。その「なんでもない」雰囲気が色々と考えさせてくれる作品。
30歳、独身。親は口うるさく、妹夫婦は騒がしそうだ。無理やりお見合いをして、良い人と出会うが…。メ~テレの映画レーベル、(not)HEROINE moviesの3作目は、欲しがらないヒロイン。いや、それが分からないヒロイン。もちろんそれが悪いとか良いとかの話をする訳では無い。ただ、適齢期とされる30歳に迫る転機は皮肉にも結婚や恋愛なのである。客観的に捉えながら何度もその感情を問い続けてきたカスミの感情をひらりひらりと観ていく。
玉田真也監督のトークセッション付きの試写会だった為、いくつかウラ話を聞くことができた。中でも興味深いのは、作品の7割がワンカットであることだ。舞台畑の人だからとも思っていたが、どうやら意図したモノらしい。そこで流れる空気感、家族や友人との関係で生まれるユーモアが感情を交錯させ、暗いトーンになりすぎないような工夫がされている。私はそこにある言葉を重く受け止めてしまったが、割と周りは受け入れたこともあってか笑いにも変わっていた。良し悪しではなく、それだけ普遍的で人間のユーモアが強いのである。そこがワンカットと相まって爆発していく。実に面白い反応の数々だ。
主演は三浦透子さん。『ドライブ・マイ・カー』を始め、何かと飄々とした姿を連想するが、この作品では実に表情が多彩。喜怒哀楽が全面に出た、彼女の主観が覗く作品になっている。共演には前田敦子さんや伊藤万理華さん、佐藤玲さんに北村匠海さんといった豪華なメンツ。静岡のロケーションもあり、見応えと柔らかさが効いていた。
自身のあるべき姿のために立ち向かうことが全てではない。だが、受け入れてくれる人を待つことも悪くないのかもしれない。自分を保つためにすり減らしても良いことはないのだから。ダサい走り方でも、今を懸命に走ればきっと見えてくる。
AV女優のマエアツ
30歳の蘇畑佳純(そばた・かすみ)は、チェリストになる夢を諦めて実家にもどり、コールセンターで働きながら単調な毎日を過ごしていた。
妹は結婚して妊娠中、 父は鬱で休職中、バツ3の祖母は思ったことをなんでも口にし、母は、佳純に恋人がいないことを嘆きいていた。
恋愛したいと言う気持ちが湧かない佳純は、恋人が居なくても寂しくないし、十分幸せだが、周りは信じてくれなかった。
ある日、海辺で同級生の真帆と出会い、彼女のストレートな生き方に共感し、一緒に暮らそうとするが・・・というような話。
多様性の世の中だから、LGBTQや恋愛感情の湧かない人も居るだろう。そんな女性を演じた三浦透子が素晴らしかった。
伊藤万理華、坂井真紀、も良かったが、前田敦子が本作でもなかなかの女優ぶりを見せてくれた。
三浦透子と並ぶと前田敦子が可愛く見えるのは不思議だが、服のセンスも役に合ってて素敵だった。元AV女優役なら濡れ場も見たかったかな。
今年の映画初め
恋愛感情ってそんなに大事ですか?
22年公開の日本映画、12月に良作が続々と封切られて嬉しい悲鳴でした。ラーゲリ、ケイコ等々。
今作はもう見終わった途端に「ブラボー!」って叫びたくなった程に素晴らしかったです。
主人公のように恋愛感情が起こらない人のことを“無性愛者”とか“アセクシュアル”って呼ぶらしいですけど、それも少し違うような?そもそもそれって異常なことなんですかねぇ?
まっすぐに自分の人生を生きる主人公(そばたかすみ=そばかす)を三浦透子さんが演じていて、「ドライブ・マイ・カー」のときは寡黙でしたが今作では台詞も多く等身大の30歳をナチュラルに体現。
元AV女優役に前田敦子さん。最近のあっちゃん、驚くほどいい女優さんになりましたねー。作品選びも素晴らしいです。
主人公の家族に坂井真紀さん伊藤万理華さん三宅弘城さん。お見合い話をもってくるお母さんも結婚して妊娠している妹も良かったですが、ちょっと心の病で休職中のお父さん役の三宅さんがすごく良い味になっていました。
マイノリティを受け入れましょう、って上段に構えて言ってくるのではなく、あくまでもフラットにそして誠実に描いています。シンデレラのビデオ紙芝居、もっと見たかったな。
多様性の時代と言われていますが、そろそろ自分と違う価値観を「おかしい」「異常」と捉えるのをやめませんか?
映画ネタとして「宇宙戦争」をもってくるセンスもいいし、誰もが共感できるような爽やかさ軽やかさもまとっていて秀逸の一本になっています。
或三十路女の恋愛観の、いっときの心のスケッチ
異性に対する恋愛感情や性的な欲求を、全く持ち合わせていない或三十路女が、母親から強制的にお見合いさせられたり、元セクシー女優の女友達との交流、日常の保育士としての仕事ぶりを描いた作品です。
この映画のテーマは、「『女性は結婚して家庭を築くのが幸福である』という価値観を、主人公を通じて否定することによって、女性の真の幸せとは何か?」と、社会に問いかけをしている所にあるように思いました。
少子化が深刻な問題になり、社会保障制度の維持が危うくなりつつある現代の日本において、この映画は「害虫」のような立ち位置に有ると思わざるを得ませんが、結婚してもシングル・マザーになる女性(中には、経済苦に陥り自死する人もいます)が後を絶たない現状を考えると、「結婚の価値」について真剣に考えさせる、問題提起の作品のようにも思えました。
この主人公の女性の生き方に共感する方も多いと思いますが、ただし、なにぶん職業が保育士であり、このまま先、経済的な自立は難しいと思われ、この主人公も「将来は価値観を変えて婚活に一生懸命になるのでは?」という含みを、この作品は暗に持たせているような気もしました。
この作品を選び観た人の喜び
多様性はなにもLGBTだけじゃない
2023年劇場鑑賞18本目。
そばかすって三浦透子にあるか?と思っていたら そばた かすみさん、略してそばかす。劇中一人もそんな呼び方してません。
ポスターでタバコを吸っていますが、序盤に吸うシーンがあるだけで、後は喫煙シーンは出てきません。正直タバコ吸うのかと思って今週観たいのたくさんあるし、観るのやめてもいいかなと思ったくらいなので、このポスター失敗だと思います。湯切りのザル持ってる写真とかにした方が動員数上がるのでは。
同性愛とかそういうのでなくて、恋愛感情もいうものが欠落しているというそばたさん。どういう風に結末を持っていくのか最後まで引き込まれました。あれ?前田敦子二番目にクレジットされてたよな?あれ?友情出演の北村匠海、一瞬うとうとした時に出番終わったか?と思った頃にどちらも出てきました。
自分も彼女欲しいなとは思っていますけど、そこまで本気で恋愛しているわけでもないし、今の生活を変えるのも面倒だなと思っているので、もしかしたら自分もそこまで恋愛感情というものを持っていないのかもしれないと思いました。
男と女の到達点は恋愛感情。それは刹那でナンセンスだと優しく教えてくれる。
多種多様なマイノリティについて表現される作品が多い昨今。
少し大袈裟だったり、誇張的だったり、わざとらしかったりするなか、
自然でフラットな表現が
とてもリアルで、とても好感的で
なんだか泣けた。
だって日常ってそんなにドラマチックじゃないもの。
だからこそ小さなズレが気になったり、イライラしたりするものだ。
三浦透子 さんの心の動きに正直な細かな表情がとても繊細で、
前原滉 さん、前田敦子 さんも魅力的で
北村匠海 さんの存在感が素敵な余韻を見事に残してくれた
恋愛感情は“本能”ではなく“文化”
だからこそ、その感情理論が理解できないことは、不理解なことでは無い。
だって
決して愛そのものが欠けている訳ではないのだから。
新時代のシンデレラは馬車には乗らない。
これは想像以上でした。私はめっちゃめちゃ好きです。30才のソバタカスミはアセクシャルで他者に恋愛感情を抱かない。でもそれは特別なことでは決してない。そもそも何が正しい、間違いという問題ではない。人付き合いがうまい訳ではないけど、気が合えば誰とでも仲良しになれる。
心に傷を持ちながら日々進んだり戻ったりの父。性的マイノリティを隠して生きる仕事仲間。そしてどこかで今日を生きている自分と同じ価値観の誰か。優しい人達が作る世界の中で、カスミが生き方を身に付けてゆく。
シンデレラは王子と結婚しなくてもいい。あの家を出てひとりで逞しく生きてゆくのもいい。大切なのは自分の価値観を受け入れてあげること。自分に優しくしたっていい。
チェロの音色に乗って多様性という名の様々な生き方が彩られてゆく。カスミが今日も笑って過ごせていますように。素敵な1本でした。
女性の経済的な自立
今でも男女別で平均的な賃金を統計的に計算すると、男性のそれよりも女性のそれは低めに出るようです。
これだけ、雇用の分野における男女の平等ということが言われていても。
それは、あからさまに男女別で賃金格差を設けている企業が多いということではなく、今でも女性は補助的・臨時的な仕事で働く人が多いことによるものでしょう。
しかし、結果として手取り金額の結果だけからいえば、女性の賃金が男性のそれよりも低いことには間違いがなさそうです。
『甘いお酒でうがい』を観たときにも思いましたが、それでも、こういう映画が作られて、彼女のようなライフスタイルを選ぶことができるようになってきたということは、それなりに女性の経済的な自立も進んで来ているのかなぁ…という思いはあります。評論子には。
もっともっと、いろいろな映画を観たいという想いを掻き立ててもらえた一本にもなりました。評論子には。
ソバタだからソバカス?
逆に普通じゃないって何?
ほのぼのとした雰囲気の中から
世界に溶け込んでいると思いきや
他の植物よりも下に見られてしまう(軽蔑されている)ように感じられる
まるで雑草のような主人公
出る杭は1本だから打たれる訳で
他にも同じような出方をしている杭があれば
そこまで気にせずに生活をすることができる
多少雑でも杭が上手く刺さっていなくたっていいじゃないか。
まほちゃんが父親に歯向かうシーンは感動しました
父親ってムカつくわあ
自分の感性に見事突き刺さりました
タイトルが?
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