そばかすのレビュー・感想・評価
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なんか矛盾
自分は自分、ヒトはヒト、自分らしく生きましょう
価値観。
主人公が勤める保育園でシンデレラの紙芝居をする件が面白かった。確かに私の子供の頃は夢が花嫁さんになることとか、いつか白馬の王子様が迎えに来てくれるとか、平気で言ってる女の子が多かった。
女性にとって結婚が人生の一番の幸せという思い込みは、全てが家制度、男尊女卑的思想から社会に押し付けられてきた価値観なんだろう。女性は結婚して家庭で家事育児、家長である夫を支えていればいいみたいな。
いまや女性の社会進出が進み人生における選択肢が増えて、女性にとっては結婚がすべてではなくなっている。
シンデレラなんて今の時代女性にとって陳腐なおとぎ話でしかないのだろう。確かにおとぎ話だけど。
内向的で自己表現が苦手なかすみは唯一の自己表現の手段だったチェロを弾かなくなり、コールセンターで働きながらくすぶった人生を送っていた。しかし、昔の同級生たちとの再会を機に彼女は徐々に自己実現を果たしてゆく。
やがてチェロがなくても自分の気持ちを素直に口に出すことができるようになった彼女は、自分を理解してくれる人間との出会いの中でチェロを手放し、自身の人生を一歩ずつ踏み出してゆく。
かすみが作った紙芝居のように、子供たちはシンデレラの話を聞いてどう思うのか。それを子供たちに問いかけて子供たちの考えを聞いてみることが教育として大切だと思う。
今の学校教育のようにただ上から一方的に知識を刷り込むだけではネットの言説に簡単に左右される人間にしか育たないのではないか。
子供たち一人一人が疑問を持ち自主的に物事を考えることができるよう導くことが教育として大切なのではないだろうか。偏った価値観を刷り込むのは教育ではなくて洗脳だろう。
「ちゃんとした価値観」の方々に
三浦透子と前田敦子の演技がハマっている。
前田敦子の劇中の叫び、最後に三浦透子が同僚に投げられる一言に映画のメッセージは凝縮されている。
なんでこんな思いをしなければならないのか、という理不尽。
同じ思いの人がいると知るだけで、ま、いいかなと思える気楽さ。
自分は「ちゃんとして」いると思ってる方々に見てほしい。
良い映画でした。
前向きな逃走
ふたつのエピソードで、主人公の架純の人生観が焙り出される妙味。
彼女が語る、合コンでのトム・クルーズの映画のエピソード。
トム・クルーズと言えば、『トップガン』や『ミッションインポッシブル』みたいに、何か目的に向かって走る役が多い。だが、『宇宙戦争』は違う。港湾労働者の彼が、とにかく全力疾走で逃げ回る。
目的に向かって走ることが正しいわけではない。時には走らされている自分を解き放って逃げてやろう。
もうひとつはシンデレラのエピソード。
幼稚園の先生になった彼女が、学芸会で電子紙芝居を作成することに。そのナレーションを彼女の同級生に頼んだところ、男目線のシンデレラの話を変えようということに。
シンデレラは王子様に見初められるために生きているわけではない。そんな申し入れ断っちゃおう。
エピソードの根底に多様性の社会を映し出すのは短絡的だと思う。人並みの目的のために走らされている自分だったら、時には逃げてもいいのでは。人並みの目的が、結婚して安定した生活を送ることだったとしても。逃げることは、必ずしも後ろ向きな行動ではないという感性もあっていいのでは。
架純には恋愛感情も性欲もない。が、そもそも恋愛感情とか性欲は、男目線が創り出した幻想にすぎないのかもしれない。
観ているうちに、三浦透子(架純)と前田敦子(架純の友人)の推しになっていた。私は結構昔気質の男だが。
想定外に、彼女たちの「前向きな逃走」に前のめりになっている自分がいた。
ぼんやりしないで!!
今求められる、ダイバーシティ感
見る人を選ぶようで、実はそうではない作品
トム君といえば宇宙戦争?
テーマは考えさせられるものですが
終始笑いのある温かい作品です
いきなりの「宇宙戦争」の解説?で我意を得たりって感じに
多様性の許容?という点では現実の方が進んでいる気もします(もちろん本音と建前がありますが)
劇中の「シンデレラ」の紙芝居最後までやってもよかったのでは(笑)逆に今の保護者・子供達にはウケると思います
既存の価値観と新しい価値観が渾沌とした今を映す作品
押し付けないで!
前田敦子とか伊藤万理華とか、大好きな女優がたくさん出てるから〜という軽い気持ちで見たんだけど、そういう話だったんだ!LGBTQIAを扱った映画なんだけど、主人公の気持ちが作品にも反映されていて、全く押し付けがましくない。すごく見やすい上に、色々と考えさせられる、素晴らしい作品でした!
結婚とか恋愛とか、誰かを愛し、愛されることが女性の全て?1人は孤独で寂しくて可哀想?そんなことない!価値観を押し付けられる主人公が、何故かすごく愛おしくて、すごく感情移入してしまう。ドライブ・マイ・カーの時より、三浦透子の良さが生かされており、初っ端からグイグイ引き込まれちゃいました。テイストとしては「勝手にふるえてろ」とどことなく似ているんだけど、本作の方が圧倒的に共感度が高くて好印象。誰も強くない!だって人間だもの。
なにか大きな出来事や変化がある訳では無いんだけど、笑えるシーンだったり印象に残るシーンがたくさんあって、色んなエピソードが上手に構成されているとても丁寧な作品。いい意味で日本映画っぽくないというか、かと言って外国映画を見ている感覚じゃないんだけど、すごく上品で、監督が劇団の主宰だからか舞台っぽい雰囲気が感じられた。ココ最近の映画では段違いで居心地がいい作品でした。
語りたいシーンは沢山あるんだけど、個人的には告白を受けるシーンがお気に入り。ちょっと目を覆いたくなるようなキツい場面でもあるんだけど、そんな状況で主人公の佳純(三浦透子)が必死になって「君の思っていることとは違うんだ!」と弁護しようとするその姿が、なんだか共感出来て微笑ましかった。楽しかったことは事実。一緒にいて笑ったことも事実。ただ、恋愛感情が湧かなかった。それだけなのに。
音楽も映像も非常に綺麗で、ずっと心に留めておきたい一作。宇宙戦争でトム・クルーズの走る姿が好きだと言った主人公に、また共感。そんな本作もまた、走る姿がカッコイイ。今泉力哉監督っぽいシチュエーションボケみたいなのも楽しかったし、そこから深いテーマにすっと移り変わっていったのも秀逸で最高。キャラクターもまたいちいち面白くて、人間臭くて、みんな自分の夢だったり目標だったりに向かって走っていて、爽快で超気持ちがいい。
昨年は「彼女が好きなものは」だったが、今年は本作。世界はクソみたいだけど、ひとりじゃない。世の中、まだ捨てたもんじゃない。こういう生き方したいな、と思える人物が主人公含めてたくさんいて、背中を押してくれるというよりも、そっと隣に居てくれる、そんな映画でした。見やすくて、笑えて、勇気づけられ、ちょっと感動できて、考えさせられる、素晴らしい作品です。ぜひ、映画納めに!
このタイミングで年間ベストワン候補作をぶち込んでこないで
年間ベスト20まで決まっているつもりでした。それを乱す玉田真也監督の新作。主演はドライブ・マイ・カーでブレイク、今年一番のTVドラマ「エルピス」でも印象的な役を演じた大好きな女優、三浦透子。見終わった瞬間に3万円払っても惜しくないと思いました。
事前知識抜きに観て下さい。ネタバレにならないよう、唯一申し上げると、ダイバーシティに関する単行本10冊を凌駕する1本と言う表現が適切かと思います。
前回ご紹介した岸井ゆきのさんとともに、三浦さんも美人ではなく、どちらかと言うとファニーフェイス。しかし、ラスト近くでチェロを弾く姿の神々しい美しさと言ったら、筆舌に尽くしがたいです。
そして、役者になってからこちらも大好きになった前田敦子さんに久しぶりにスクリーンで会えたのも嬉しい。相変わらず、悪魔的に美しく可愛く、そしてまた幅を広げる素晴らしい演技。脇役ももれなく魅力的です。
脚本と演出が満点。冒頭でトムクルーズ主演のある作品が、伏線として張られますが、映画の最後にみごとに映像表現として炸裂し回収されます。僕はすぐスクリーンに飛び込んで行きたくなるくらい、心を揺さぶられました。
すでに休暇中の方は、今日すぐに!そして自営業の方は「申し訳ありませんが、店主事情により午前中のみ休業します」と張り紙して映画館へ駆け込んで下さい!強烈に、強烈に、おススメします。
世の中の片隅に生きてる全ての人に届け。
恋愛感情を持たない主人公が親からお見合いをセッティングされ意外と良い出会いがあったり、中学の時の同級生と再会したりして、葛藤したり居心地の良さを感じたりする話。
私もこの主人公よりかは恋愛感情ある気がするけど、昔から自分の中で恋愛の重要度が最底辺だし、胸がときめくほどの相手に出会ったこともないし、もはや老後の不安とか他人からの印象とか全部なければ第1希望はずっと1人でいたい人間。だから今作凄く嬉しい部分もあったけど自分は佳純と比べると圧倒的に他人を受け入れられないだけな気もした。
主人公の佳純は恋愛感情がないからこそ、誰に対しても平等で自然で、ずっと人と人が好きになるってどういうことかを考えてきたからか他人を慮れる配慮が高い。一線を越えないから良い意味でも悪い意味でも他人に干渉しないので、佳純といると居心地が良いんだろうなと思う。合コンでなんだかんだモテたり、人生迷い中の真帆が佳純と迎合するのも頷ける。
まさに自分に足りないところだよ。だから自分は恋愛感情がないのではなく、他人を受け入れる窓口が狭いからそこまでの気持ちになれないのかなとも思った。異性でも同性でも自分が許せないことをされた時のシャッターの閉じ方が早すぎるんだろうなぁ(笑)
恋愛をしない人って往々にして逃げてるとも思われがちだけど、佳純はトム・クルーズの逃げてる姿が好きだと言う、どこまでも世の中の片隅に生きてる人に寄り添う映画だなと思った。
性自認は途中で変わったり大人になってから自分の中で決着がつくものなのだから、人を好きになれること自体が遅い人もいるし、それがずっと来ない人も、途中から全く無くなる人もあって良いと思うんだよ。私には佳純が若干、トム・クルーズについて力説する佳純の気持ちが少しわかるという後輩くんに今まで持たなかった何か違う感情を持ったようにも見えたんだよね。
こんなこと言ってると歳とってから困るとか、結局ごちゃごちゃ言って逃げてるだけと思う人もいるかもしれないけど、この世のどこかにいるこの私の気持ちを理解してくれる人に届け。
多様性には無関心でも‼️❓他人の価値観に干渉するべからず‼️❓
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