「自分らしく生きることの息苦しさと葛藤」そばかす かずくんさんの映画レビュー(感想・評価)
自分らしく生きることの息苦しさと葛藤
恐らくこの映画は賛否が分かれるだろう。
「自分らしく生きることを真に訴える素晴らしさ」か、「終始単調な展開でつまらなかった」か。
僕は前者のタイプ。
僕自身、中学生からゲイだと自覚しカミングアウトもする人にはしている。
大半は「自分らしく生きていい」といってくれるが、それが一番生きづらいことは多分…中々理解されない。
幾らマイノリティを受け入れようとしてくれても、まるで「仕方なく」といった負の感情を如何しても感じて仕舞う。
今日の教育、テレビ、音楽。
理解してくれる人が増えるのは嬉しいが、何故か…こう葛藤が生まれる。
この映画はアセクシュアルをテーマに、淡々と過ぎる日常を丁寧に描いている。
全てすべてが理解出来る。
皆が普通に語る「結婚」、「好きな人」というものをカミングアウトしていない人達の前で隠さなければならない。
わからないわけではないが、「人と違う」というその苦しさを代弁してくれた。
結婚を迫る母と妊娠する妹。
でも主人公はそんな恋愛感情も性的感情もない。
普通に生きるだけで苦しめられる。
それでも彼女は自分らしく生きている。
ゲイとアセクシャルは違うものだが、同じようにマイノリティを抱える人だけでなく、今を悩む人全てに見てほしい。
疾走感というものを常に感じるものではないが、こういう「当たり前を当たり前に生きる」ことが「自分らしく」ということだとわかるだろう。
この映画の中で好きな言葉があった。
「髪は自分の体の一部だから、あんたには関係ない」。
主人公を叱る教師へ向けた友達の台詞。
…一番グサって来たね。
僕も必ず結婚の話が出てくる。向き合わなければならない。
逃げてばかりでも付き纏う「恋愛」の話。
僕も迷ったときはこの映画を思い出し、自分らしく生きたい。