劇場公開日 2022年12月16日

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「大共感。親であっても自分の望まない人生を押し付けられたくない。私は映画があれば一人でも生きていけるけれども、確かに何処かに同じ思いの人がいると知ることは勇気を貰えるな。」そばかす もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5大共感。親であっても自分の望まない人生を押し付けられたくない。私は映画があれば一人でも生きていけるけれども、確かに何処かに同じ思いの人がいると知ることは勇気を貰えるな。

2022年12月25日
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鑑賞方法:映画館

①シネリーブル梅田は「空中庭園」のあるビルに入っているので、映画館を出た途端、クリスマスでもあるせいか、カップルの長蛇の列。これが世の中のメインストリームの姿なんだな、と思いつつビルを後にした。
②三浦透子が実力発揮、映画を一人で支えられる女優になっている。
“恋愛や結婚なんてどうでもいい”と言うから友達だと思っていた男から好きだと言われた時のリアクションのリアルさには舌を巻いた。
彼女は決して悪くないのにコンプレックスから謝ってしまう気弱さ。男の方も傷ついたかもしれないが、同じ思いを共有できる友達と考えていたのに裏切られた彼女もショックだったろうに…
③私も因習深い田舎に育ったので、親はもとより親戚や周りの人達は「人間は結婚するのが当たり前。結婚していない人間は半人前」と考える人ばかり。心の中では反発していたけれたども、見合いの話がくれば気弱さから断れず何回かしたが結局こちらから断ってばかり(イヤなものはイヤと言えば良かったと今では反省。相手に悪かったなあ、と。何様だと思われただろうなあ。)。40を過ぎると流石に見合いの話も無くなってホッとした。恋愛をしたくなればするし、結婚をしたくなればするからほっといてほしいというのが正直なところだった。色々あったけれど、結局一人で生きていくのが自分にとって一番楽だからそういう生き方を選んだだけ。“一人は寂しいだろう”とか“年取ったら一人は寂しいよ”とか言われるけど、大体「一人だと寂しい」という事自体理解出来ない。そういう意味では変わっているのだろうけど、これが自分だから仕方ない。だから佳純の気持ちはよくわかる。“I know exactly what you feel.” ってところだな。
④佳純とは違う観点からではあるが、マジョリティーから外れた者を許容しようとしない・理解しようとしない世間というものに対してキッパリと物言う真帆も清々しい存在だ。前田敦子がこんな良い女優になるとは思わなかった。
⑤佳純と真帆とで改作した「シンデレラ」の紙芝居、最後まで観たかったな。でも、途中で怖くなって止めてしまう佳純の気持ちもよくわかる。私だったら、今の歳であれば“最後まで行ったれ”と思うだろうけれど、若かったらやっぱり止めるだろうなあ、
しかし、「シンデレラ」等の白馬の王子様ものが{男視線}で、“王子様にめぐりあって(選ばれて)メデタシメデタシで人生が終わるわけが無く、その後の人生の方が大変なんだよ”という真帆の見方は私もいつも心の中で思っていることで全く同感。まあ、おとぎ話に噛みついても仕方ないんだけど。
⑥子供達の親の動揺は分からないでもないが、真帆の父親の代議士候補の言葉には腹が立つ。“多様性は分かるが、子供のうちには先ず基本的な価値観を教えるべきでしょう”って、「基本的な価値観」って何?子供のうちから世の中には多様な価値観があることを教えないといけないんだよ。年取って頭が固くなってから(特に四十過ぎたら死ぬような目にでも逢わなければ変えることは殆ど無理)では遅いんだよ。
私の通っていた小学校は地域がら「同和教育」の授業があって、「日本人が日本人を差別している」という事実というか現実社会にショックを受けて、生まれや育ち、階層・階級、人種、障害、今の言葉でいうとマイノリティーということ等々では絶対に人を差別しない、と強く思った。一応この歳までその思いは変わっていない。

もーさん