渇きと偽りのレビュー・感想・評価
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静けさと悲しさのサスペンス、原作者の他の作品も読みたくなった
宣伝にあるような「オーストラリアのリアル」という社会的な点については特に何も感じ取れなかったが、サスペンスとしては、いろんな人が怪しく見えて主人公と同様に「こいつなのか」と疑ってはまた他にも怪しい人が出てきて、最後までいい意味で予測ができなくて結末で「そういうことだったのか」という納得感を覚えることができて良い構成だと思った。 全体のトーンとしては、主人公が過去の悲しみを引きずっているのと、乾燥地帯の殺伐とした景色によって、全体的に静けさと悲しみの漂う演出となっている。そのため、ある種淡々とした作品が好きな人は気にいるかと思う。
ぐさりと来る、甘く苦々しい思い出
誰にでもある青年期の淡く甘く苦い思い出を思い起こさせつつ、20年を経た2つの事件。干ばつに渇き切ったオーストラリアの田舎町。 結末を知りたくて引き込まれる。最後には(良い意味で)王道ミステリー小説風な仕掛けが待ち構えている。2つの事件はそれぞれ予想出来なかったかたちで真相が明かされる。 ブラックホークダウン、ミュンヘンのエリック・バナが、捜査官として町を訪れる。実は20年前に事件の容疑をかけられ父親と町を出た、悲しく苦々しい思い出を抱えた、複雑な心情が漂い、これがこの映画のベースになっている。若い頃に背負った悲しい出来事を引きずる苦しみは、20代にはなかなか分からないかもしれない。これを実感出来る人にはぐさりと来る、大人向けの映画である。
また悪い癖が
最近なかった映画館でのクセ。 途中で寝落ちしてしまう。 映画は悪くないくないが、ラスト20分記憶ナシ。 映画の中身としては、豪州の自然環境の厳しさやその土地に生きる人々の心の荒廃など、大変興味深く観賞出来た‼️
観客をミスリードすることに心血を注いだ推理ドラマ
現在と過去の2つの事件を巡って、聴き込みと回想のシーンが延々と続くが、新たな事実は明らかになるものの、真相に近づいているという気配がいっこうに感じられないため、退屈で、あまり引き込まれない。 何よりも、過去の事件に自分がどう関与したのかを、当然、主人公は知っているはずなのに、それが断片的な回想シーンでしか示されないので、フラストレーションがたまってしまう。 それまで停滞していた話が、ラスト近くになって一気に進展するが、観客の裏をかくことに主眼を置いたような結末には、どこか、肩すかしを食ったような気分になってしまった。 過去の事件については、干上がった川の跡から、何か手掛かりになるようなものが見つかるのかとも思ったが、そうした仕掛けもなく、結局、現在の事件との繋がりもなかったとは・・・ 事件の真相に、人間ドラマとしての厚みが感じられないところにも、物足りなさが残った。
干ばつでみんな途方に暮れてるところに事件
過去に起こった殺人事件の汚名を拭えぬまま故郷に帰って来た連邦警察官が、友人の死の謎を解きながら過去の事件とも向き合っていく。 久しぶりに納得のクライムサスペンスですよ。 アメリカでもオーストラリアでも、田舎町の団結した排他主義って怖いのよね。 オーストラリアの干ばつに対するイライラも相まって、ヒリヒリした展開になっています。 ところで、オーストラリアって本当にそんな干ばつで大変なの?ってネットニュースで調べちゃいました。
独特の空気感
舞台はオーストラリア内陸部のど田舎。 閉鎖的な街、干魃が続き住民は疲弊している。 そんな街で凄惨な殺人事件が起こる。 街の独特の空気感が良いな。 閉鎖的、保守的、疲弊した街でないと、この物語は成立しない。 それが上手く描かれ、観客が物語に入り込める。 展開も(定番ではあるが)「疑わしい人物」を複数配置して、観客を飽きさせない。 (おそらく)低予算であるが、面白い作品。
瑞々しい10代の輝きと影
久々にじっくり見ることのできる映画だった。 10代の瑞々しい輝きが切なく、若さゆえ真実を隠してしまった影が描かれる。 主人公は、過去と向き合いながら、事件の真相に迫まり解決。 そして、その後に明かされる真実。あまりに辛いラストだが、これでまた前を向いて生きていけるのではと微かな希望も感じた。
降水確率0%の土地に住む『救いようのない人々』の声無き叫び
終了間際に行ってきましたが、滑り込みでも映画館で観ることが出来て良かったです。 オーストラリアの広大な乾燥地帯。 どこまで行っても水のない地域と、孤立する民家。 特に“昔からそこに住む人々”と“新参者”が住む地域は明確に分かれているらしく、後者は思いっきり郊外。 延々と映る真っ直ぐな道は、主人公とその友人達が歩んできた終わりなき絶望の道にも感じられました。 なお、事前に過去と現在が交差してかなりわかりにくい描写と聞いていましたが、確かにそう感じられるところがある一方、犯人を追い詰めた時の描写は現在の描写に過去のあの場面が被ることで、客に(なんでそいつ助けんのさ?!)と思わせる、ある意味主人公のやるせなさが伝わってくる良い演出だったと思います。 オチが◯◯◯◯◯行きだったのは思わず笑ってしまいそうになりましたが。あの人の怨念かな。 正直、主人公が歩けば証拠品に当たると言うか、ちょっと出来過ぎ感のある展開でしたので、映画にするよりは数話のドラマにした方が良い印象はありました。 ただ、映画だからこそオーストラリアの大自然が映えると言うか。そこに住まう人々の物理的な孤独感も捉えやすいと言うか。 主題歌、死ぬほど素晴らしいです。Under The Milky Way。The Church というバンドの曲をエリー役のBebe Bettencourtさんが歌っておられるとのことで。 これ、劇中とラストで流れるんですが、ラストで流れた時に曲の意味合いが全然変わるんですね。 すごく重い。 雨が降らない→作物が育たない→産業が死に絶える→人口減→蝕まれる人々の精神と財布事情。 比較的元気で希望を持っている人々は新参者ばかり。昔からいる人達は荒みきっている。 この町の3年後は一体どうなっているんだろう? 正直、私がアーロンなら2度と戻りたくはない。そこにエリーの影があったとしても、もう希望はどこにもないのだから。
干ばつ被害と人々の不安を描くミステリー
個人的な話かも知れませんが、観るのが非常に珍しいオーストラリア映画である「渇きと偽り」を観に行きました。「クロコダイルダンディー」以来かも。 内容的には、雨不足で干ばつに悩まされるオーストラリアの穀倉地帯の地方都市で起こった親子心中事件に疑問を持った連邦捜査官のアーロン・フォークが、自らのティーンエイジャー時代に関係した同級生の殺人事件と絡めて、2つの事件の謎を解いていくというものでした。刑事の子供時代の事件や出来事と現在の事件が絡むミステリーと言うと、定番としてしばしば見かけるパターンですが、本作の特長はカラッカラに乾ききった大地の風景の映像が、何となく観る者に不安感を抱かせる点にあったように思います。 「オーストラリア」「干ばつ」というキーワードで検索すると、2010年頃から問題が表面化しているようで、これに伴って小麦の収穫量が減少し、世界的な小麦価格の上昇の一因にもなっている模様。そうした現実社会の背景があるため、登場人物が総じて暗い表情をしており、ささくれ立った感情を暴露しているところもすんなりと受け入れられてしまう創りになっていて、物語の土台の部分が非常にしっかりと創られているように感じられました。 肝心の謎解きの部分に関しては、字幕を追っていて自分が気付かなかっただけなのかも分かりませんが、主人公が真犯人にたどり着くきっかけが、ちょっと唐突な感じでした。やはりミステリーは、観客なり読者なりに対しても謎解きが出来る材料を事前に与えてくれないと、あまり爽快感は得られないので、ちょっと残念なところでした。(もう一度見直せば材料が与えられているのを確認出来るかも知れませんが。。。) いずれにしても、干ばつ被害に遭う中、不安感満載の人々の心情を上手く描けていたことを評価して、★4としたいと思います。
題名はDRYだけではなく、LIEは正解だなぁ
一つの事件が過去の自分の事件と繋がるのは、 友人と郷土の縁によるものだろう。 その鍵はドライではなく、ウソなのだ。 嘘が複雑に連鎖して多くの人を傷つけ回る。 正にこの映画は、 過去の事件も現在の事件もドライではなく、嘘だ。 映画の邦名で、 こんなに的確なのは本作以外に経験はない。 渇きと偽り 渇きだけではサイレン映画だなぁ
これはお宝作品!見応えあるサスペンス
主人公が生まれ育った街で起こった痛ましい事件と彼が10代の頃に経験した悲しい出来事(事件)、二つの事件が交錯する。 複雑で難しいけど、かなり見応えのある重厚な物語。 閉鎖感漂う小さな田舎町、1年近く雨が降らないこの街で起こった不可解な事件を紐解いていく…。 “渇きと偽り” 偽りだらけ まさかのあの人が…です。
久々に洋画らしい洋画だった( *˙ω˙*)و グッ!
ハリウッドのドンパチ超大作ではない、いかにも洋画っぽい洋画を見られて良かった。内容も面白かった。 最後に主人公(連邦警察)が誰かに撃たれて、そこでエンドマークかと思ってちょっとハラハラしてた(-_-;)
枯れゆく大地が人々から奪っていくもの
オーストラリアの田舎町。連邦警察官のアーロンは、親友ルークの無理心中事件の葬儀に出席するために故郷に戻って来た。干ばつで広大な農場は枯草ばかり。町民はどこかよそよそしい。しかしルークの両親は、事件に納得がいかないので調べて欲しいと言う。アーロンはまじめな新人警官とともに調査をすることになり、故郷とずっと関係を断っていた理由である昔の事件とも向き合わざるを得なくなる・・・ 雨が1年近くも降らないなんて自分には想像もつかないです。農業は大打撃、かなり危機的状況です。しかしあまり緊迫感を感じないのは、もはや諦めムードなのか、補償金も出て、苦しいながらもなんとかやっているからか、厳しい現実から目を背けている様にも見えます。 死んだ少女はとても美しい。昔は水があった所も完全に乾ききって、ひび割れた大地は、涙も、嘘や後悔の記憶も呑み込んで、いや吸い込んで、なお干からびています。 惜しかったのは、雨がずっと降っていなくてこの町はどうなってしまうのかという不安が、人々にどう影響しているのかの描写が足りない事です。たぶん気温も高いんでしょうが、ハエの羽音がしたくらいで暑そうなそぶりも無いので、一体何℃位なんだろうと思いました。もっと、喉がひりひりするような感じがあれば良かったです。回想部分は美しいんですが、ちょっと重点を置き過ぎかな。
見応え充分、続編が楽しみ。
一年近く雨の降っていないオーストラリアの田舎町を舞台に、現在と過去の二つの事件が交錯して、、、。 良くできたミステリー(原作)を、奇を衒うことなく映像化すれば良い作品になることを証明してくれた作品。 こういったテイストの作品が好きなので、とても見応えがあった。 原作は英国推理作家協会賞受賞のジェイン・ハーパーのデビュー作The Dry。邦題「渇きと偽り」がいい。内容、雰囲気をイメージさせてくれる。さすが早川書房。 それに比べて、予告やポスター、チラシなどに使われている全く伝わらないコピー「至高のクライムサスペンス」が、足を引っ張っているのか、観客3人だった。残念。 エリー役の女の子をはじめ、過去パートの若者4人が輝いていた。 続編が製作中とのことで、すごく楽しみだけど公開されるかどうか心配。是非とも公開してほしい。 エンディングに流れる「under the milkyway」が切なく哀しい。ずっと耳に残っているが、有名な曲だったんですね。
嫌な部分をぎゅっと煮詰めた
重厚なミステリー&サスペンス。 伏線の張り方も、視線のそらし方(ミスディレクション)も上手い。 私にはすごく面白かったし、めちゃくちゃ見応えあるけど、興行的には難しそうな地味で渋い映画でした。 田舎町の偏見に満ちた閉鎖性、温暖化・旱魃による農業の衰退、DVアル中ジジイの殺意など、今のオーストラリア(の辺鄙な衰退地域)にあるダメな部分をぎゅーーーっと煮詰めたような内容。 シドニーや、キャンベラ、メルボルン、ブリスベンなどの都市部や、農地でも未だ水が潤沢な地域には関係がないだろうけれども、日本同様に「田舎」ってところによっては病んでる場合もあるのかな、と考えさせられました(日本は都会もなかなか病んでますが)。
少し変わった内容だけど推理ものとしてはおすすめ
今年291本目(合計566本目/今月(2022年10月度)5本目)。 今日はこちらなどをチョイスしました。 原作の小説があるそうですが、知らなくても映画の展開が丁寧なのでかなり見やすいほうになります。また推理物なので、誰が犯人だの何だの書き始めるとどうであろうがネタバレであり、それらは全部カットします。 舞台が「極端に雨の降らないオーストラリアの内陸?の土地のある集落」という事情で、日本でもときどき「雨が降らなくて取水制限」ということはあっても、映画内で扱われているような(もっとも合成CGだとは思いますが)極端な状況にはならないし、ここはオーストラリアなどをはじめ起きうる土地ならでは、というところではないかな、と思います(その点で、やや地理的に美しく、オーストラリアへの旅行といえばシドニーだのメルボルンだのというのが多いなかで、こうした「地味な」場所を扱ったのは良かったかな、というところです)。 推理ものなので最後は個人(視聴者)との勝負になりますが、他の方も書かれている通り、やや推理にあたって不親切かなぁ…という点はあっても、一応「そんなどこにも書いていないことを言われても困る」ような状況にはなっていないので(どうしても海外作品なので翻訳字幕を介しても、ある程度文化を求められるなど違う点は多いです)、そこは判断はわかれそうですが、かといって「極端に変」でもないし「少しひねればわかるかな?」くらいの難易度に収まっています(なお、推理ものによせた関係で、(日本でいう)刑法や刑事訴訟法といった法律ワードは飛んでこないです)。 採点にあたっては特に差し引く要素がないのでフルスコアにしています。
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