はだかのゆめのレビュー・感想・評価
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こう思ってくれてたらいいな、と思い始めたらもう涙が止まらなかった。...
こう思ってくれてたらいいな、と思い始めたらもう涙が止まらなかった。台詞が少ない中で、効いてくるものがある。
観る側に委ね過ぎ……
んーこの映画観てる間、ずっともやもや。セリフ、説明的な表現がかなり少ない。登場人物の時間軸や人の関係性がわからず、終始戸惑いながら映像を追った。前情報なく観るとなんだかよくわからない。
色々な思いを抱いていて感情移入できる方はいいかも。音楽は良い。
特典のポストカードのQRコードで音楽ダウンロードできるのがよかった。
伝えたいわけではなく伝わってほしいわけでもなく
なぜこんな撮り方を選択したのか。どんな人たちがこの作品を作ってどんな意図を隠そうとしているのか。考えるほどこの作品が大切に思えてくる。
なにか、個人的な映画は認められないという事になったの?映画は何かを伝えるためのもの以前に、作者や主人公の個人的な物語を覗き見て、深い部分で何かを感じるものという根本的な事をすっ飛ばしている観客も多い。この映画には、人には意味が無いように見えても、個人にとっては意味のあるものが散りばめられているのに、他者を分からないまま否定するのは悲しいなという気持ち。
意図を拾うのが難しい、高知のロケーションは魅力的
スコアを付けるのが難しい…。こういう静かなタイプの映画は自分のタイプではないし、曖昧なモノをそのまま美しく観れるかと言えばあまり得意ではない。ただ、Q&Aによって咀嚼出来たのは東京国際映画祭ならでは。その中での言葉を交えながら。
本作は曖昧なモノばかりで出来ている。死と生に始まり、作品の定義も明確に当てはまるモノは無いだろう。だが、それを受け入れた時、自身がかけていた色眼鏡のフィルターが取れる。そして作品に新たな色がついていく。生まれながらにイエス/ノーを持つのが自然だった私にとっては、ある種の新鮮さを感じる。描きたい事が起承転結している必要は別にない訳で、それに対して違和感を抱く必要もないのだ。
ただ、その作品が自身に合うかは別問題。言葉が転がっている方が好きな自分にとっては足りない部分が多かった。ノートに書かれた文字が読みにくいまま作品のピースを担っていたり、無意味なモノに意味を持たせたり、委ねられる部分も多い。悪いことではない。ただ、その作家性に惹かれる部分が少なかったまでである。
主演は青木柚さん。すっかり多くの作品で観るようになった彼だが、どこか幻想的な今作においても染まる魅力を感じる。自然と調和しながら、曖昧に過ごしていく姿は惹きつけられる。また、前野健太さんの佇まいも効果的に使われている。なんかいい、それでいいと思う。
東京国際映画祭はそうした消化不良を、意図を汲みながら再解釈できる機会がある側面がある。実際に観て終わっていたらこのスコアにはなっていないはず。つまり、ある程度知った上で観たほうが今作の良さが滲み出るのではないかと思う。
甘いしゆるい。
すぐれたショットがいくつかあるにはあるが、全体に考えが甘く構えがゆるい。もっとも甘いのはいちいち音楽を流すことで、その選曲も正直ついていけない。ベテランが手がけた音響そのものは立派なので、要するに演出側の問題。死の物語なら、沈黙の響きがもっと大切なはず。
照明は最後までぱっとせず、予算をかけられない今の日本映画の象徴という感じ。列車の音や波の音をとつぜん断ち切る編集も調子にのって繰りかえし過ぎていて、いやあ甘っちょろいなあという感想しか浮かばなかった。本来、新聞や映画雑誌の映画評では、こういうテクニカルな問題をきちんと見抜いて指摘するべきなのだ。
センチメンタルなわりに覚悟に乏しい溜息のような映画づくりは今の日本映画の小さな流行のようなものだけど、それが海外で通用するかどうかは作品による。これはたぶんちょっと無理じゃないかな。
生と死について静かに向き合える時間をくれる
必要以上のセリフはなく、美しい情景と美しい音楽がセリフにない部分をやさしく語りかけてくれるような作品。
観る人それぞれに解釈を委ねるような作品で、この作品を鑑賞している最中、どこか頭の片隅で自身の周りの生と死についてゆっくり向き合っていたなと気付かされる。
そんな生と死について静かに向き合える時間をくれる作品だと感じた。
ありのまま、心のままに描く美しさ
東京国際映画祭にて鑑賞しました。
生と死を美しく描いた作品です。
音楽、映像とマルチな甫木元空監督の長編作。高知県を舞台に、四万十川や四国という土地が醸し出すなんとも言えない奥ゆかしさがありました。
セリフ量が少ない難しい役柄を、主演の青木柚さんが繊細に演じられていて素晴らしかったです。青木柚さんのどこかあどけなさが残る最後の時に、この役柄を演じられたように感じました。また、脇を固める唯野未歩子さん、前野健太さんがすごく良い。
そして何より、老紳士の物悲しく、強く、優しい言葉が、心に残りました。ドキュメンタリーのようでそうではないけど、ありのまま心のままに描かれている。今は亡き人と心で対話しながら強く生きてゆこうと思える作品でした。
余談ですが、Bialystocksというバンドの『差し色』という曲がすごく好きで、まさか甫木元空監督がメンバーでVo.だったとは知らず驚きました。
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