劇場公開日 2023年1月13日

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「マイノリティの心境を描きつつ、誰にでもある劣等感や自分の本心に焦点...」ひみつのなっちゃん。 R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5マイノリティの心境を描きつつ、誰にでもある劣等感や自分の本心に焦点...

2024年5月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

マイノリティの心境を描きつつ、誰にでもある劣等感や自分の本心に焦点を当てた作品。
スポーツでも趣味でも、それをしたいと思って始めるが、ある日それをしている自分に疑問がでる。
この作品はマイノリティとして生きているのに、一般人の前では自分自身の素を出せなくなったパージーの心境とその変化を描いている。
突然死したマイノリティ仲間の自宅も出身も何も知らない3人。
ようやく自宅の場所がわかりそこに忍び込むと、彼の母が訪ねてきた。
自分たちがマイノリティであることを隠しつつ、郡上八幡で行われる葬儀に出席する約束をさせられる。
彼らにとってマイノリティとは隠すべきことなのだ。
東京から車で向かった3人は、道中様々なことを話しながら郡上八幡傍まで到着した。
パージーは一番年上だったが、マイノリティが読み取れてしまうアイヨクの言動にダメだしする。
お世話になったお宅で宿泊して、そこでダンスを披露することになるが、パージーは踊ることができない。
それは今始まったことではなく、ここ最近ずっとだった。
パージーの中には、マイノリティであるが故の人々の視線などが気になるのだろう。
自分自身の心が女性なのに、今でもそれに抵抗している自分がいる。
楽しそうにダンスを披露する二人とそれを楽しそうに見守る人々。
「自分って、一番近いのに、一番見えない」
宿の主人は言う「郡上踊りと同じだな。みんなキラッキラになる」
葬儀ではマイノリティと悟られないように慎重になるが、母のあいさつの言葉でなっちゃんからもらった小さすぎるコンパクトの意味を悟る。 みにくいアヒルの子
そこでようやく素に戻れるパージー。駆け寄る二人。
マイノリティの様子に周りの人が棺から引き離そうとして、棺がひっくり返ると、スカートをはいたなっちゃん。
母はずっと前から気づいていた。「体は魂の入れ物」
素でいい。
素でいいと気づいたパージー。
この旅は、自分探しの旅。
自分を再発見する旅だった。
素の自分が一番輝いていられる。何も恥じることなどない。
モチーフはマイノリティで描いているが、何でもそうだなと思わせるいい作品だった。

R41