「個性とは自分自身の価値のこと。」ひみつのなっちゃん。 与さんの映画レビュー(感想・評価)
個性とは自分自身の価値のこと。
突然訪れる死に対して、
人は生前の秘密を隠す事が出来るのであろうか。
物やデータは捨てられるかもしれない。
けれどその人の個性や価値を消す事は出来るのだろうか。
消してしまって良いのだろうか。
なっちゃんの死によって浮かび上がってくる、
人のアイデンティティの行方。
亡くなった人の個性や価値って、
一体誰のものなんだろうか?
生きている人の価値って誰が決めるのだろう?
ドラッグクイーンという眩い個性の3人が、
地方のお葬式に出席するという人生最大のミスマッチ。
そのシチュエーションだけでも面白くない訳がない。
リーダーの滝藤さんの艶のある表情と葛藤、
渡部さんの現代っ子ぽい感性と美しさ、
前野さんの激しい感情とカリスマ性が
亡くなったなっちゃんとは逆に、
強烈で鮮やかな光を放ちながら
波乱万丈な旅を通して美しく調和していきます。
旅の途中でで出会う素敵な個性の方々との出来事。
ちょっと天然だけど優しいなっちゃんのお母さん。
バージンさんが思っている以上に
個性への偏見を乗り越えてくる地元の方々。
郡上踊りの中でのバージンさんの心の開放。
どれもが、とても楽しく、ほんのり切なく、
そして全てが愛らしい映画です。
極めつけは、
滝藤さんが喪服の上着を肩に掛けて歩く姿の妖艶さ!
これだけでも映画を観る価値があります。
そして最後にお葬式で明かされる、
なっちゃんの個性の行方。
映画は一期一会だと思います。
大きなスクリーンで映画だけに集中して観ることで
感じれる事もたくさんあると思います。
是非みなさんも映画館でご覧頂けたらと思います。
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