「この子にとってこの世界は、美しいもので溢れていたんやと思います。」ひみつのなっちゃん。 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
この子にとってこの世界は、美しいもので溢れていたんやと思います。
滝藤賢一のポテンシャルは想像できていたので、彼が(いや、彼女が)魅力的な容姿や所作を披露することには驚きはなかった。前野朋哉の枠は、ズブ子の名前の通りの三枚目だった。
目を見張ったのは、モリリン役の渡部秀。この役者、知らなかったのだが、もうオネエに成りきってて、乙女の表情や仕草がとても愛らしかった。三人の中でひとりだけ、まだどこか"吹っ切れてない感"があって、その迷いのような恥じらいが尚更愛おしさを増していた。そのくせ、いざショータイムになると見せる踊り子としての矜持。いっきに引き込まれた。
しかし、滝藤演じるバージンの頑なさはちょっと解せない感があった。それに、なんだか映画のテンポが悪く感じた。ロードムービーにありがちな、ご都合主義な設定も多すぎた。それもコメディだと思って流せばいいか。
最後に、「あんくらいのものは穿かせてやらんと。」と言ってあげる母。とても愛情あふれるセリフだった。母親にとって息子は、どんなになってもいつまでも可愛いものなのだろうな。松原智恵子、とっても素敵だった。
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