「嘘にも色々」NOT BEER おでぐさんの映画レビュー(感想・評価)
嘘にも色々
全員嘘つき!とデカデカ書かれたポスターに通夜の晩偶然集まった遺産を巡る4人の騙し合いにどんなワクワクが詰まっているのだろうかと楽しみに鑑賞しました。
嘘と聞いて、あっと驚くようなどんでん返しがあるエンタメ映画を期待したけれど、そうではなくこの映画は【嘘】をテーマにした人情物語でした。
全員が違う『生きていくための嘘』をつき、それらがほろほろと解けるように真意が明かされていく。
主軸はコメディタッチでありながら、それぞれの心情を明かすシーンでの静けさとの対比が素敵でした。
舞台作品的な温度感が映像に残っていて、そのシーンに映っていない人物達の描写が見えてくる、まるで舞台そのものの様な生きた映画。
【嘘つき】【騙し合い】の単語に釣られて、鑑賞後に『騙された!!!!』と膝を打つ爽快感を想像するとコレジャナイ感・肩透かし感がありますが、身勝手な、人のための、都合のいい、あらゆる嘘を通して人の優しさを感じる映画だと思います。
「思っていたのと違う」という与えられた印象すら【嘘】だったのかなと思うと、あらゆる全てが【嘘】を基軸に出来上がっているのは見事だなぁと思いました。
そう感じて見る2回目は違った視点で見れそうなので、また見に行きたいと思います。
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