「東と西に分かたれ異なる思想と鍛錬を経ても、アスリートとしての矜持は同じ... 死に方が決める生き方を我々に問う再編集映画」ロッキーVSドラゴ ROCKY IV O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)
東と西に分かたれ異なる思想と鍛錬を経ても、アスリートとしての矜持は同じ... 死に方が決める生き方を我々に問う再編集映画
85年公開の大ヒット作『ロッキーⅣ』の再編集版。新規カットが40分程度ある一方で作品尺としては91分→94分なので単なるディレクターズカット版ではなく、同じ素材を使った別作品とも言える内容に仕上がっています。
"米露の代理戦争"という背景を持っているだけにこのご時世での公開ということでプロパガンダ的な匂いを感じて毛嫌いする向きもあるかと思いますが、なかなかどうしてそうした国家間の諍いにNO!を突きつけるアスリートの気骨と己の生の真っ当の仕方を見せつける作品に仕上がっています。
全体として、家族の物語としての側面は短く凝縮させ、その代わりにロッキーの人生と過去を振り返りオーバーラップさせながら、より"ファイター"の物語として研ぎ澄ませた編集版でした。
老境に入ったスタちゃんの手によるテコ入れ作品ですが、それを"年寄りの説教"と毛嫌いせず、オリジナル版のファンにもロッキー未体験の方にも、人生の生き方の一例として観てみていただければ幸甚です。"過去作の再編集版"という立ち位置ゆえ、配信はともかくソフト化は難しいかもしれないのでなおさら足を運ぶ価値有りかと。
コメントする