劇場公開日 2022年9月23日

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「別のドキュメンタリー「ビートルズとインド」、そして「ホワイト・アルバム」を合わせて鑑賞するとちょうどいい」ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5別のドキュメンタリー「ビートルズとインド」、そして「ホワイト・アルバム」を合わせて鑑賞するとちょうどいい

2022年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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萌える

1960年代に活動したザ・ビートルズの楽曲について、代表曲なら多少は知っていても、アルバムを通して聴いたことはないという方が、比較的若い世代なら大半を占めるのではなかろうか。1968年11月に発表された2枚組30曲入りの「ザ・ビートルズ」(通称「ホワイト・アルバム」)を一度も聴いたことがないまま、この映画「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」を観て物足りなく感じたとしても仕方ない。なにしろ、同アルバムの制作前に4人のメンバーが滞在したインドであの曲が、この曲が誕生したという話題がちょくちょく出てくるのだが、対応するビートルズの曲がその都度流れるような親切な作りではないのだから。

「ホワイト・アルバム」を何度も聴いているファンなら頭の中で補完できるが、そうでない場合は、映画鑑賞の前でも後でもいいので、アルバムを通して聴いてみると、映画で語られる内容がより理解できるはずだ。

それと、本作の構成は、ビートルズのインド滞在にたまたま居合わせた青年ポール・サルツマンが当時撮影した写真と、50数年たってドキュメンタリー化しようと思い立ったサルツマン監督が、メンバーの当時のパートナーや楽曲誕生のきっかけになった男性など“ゆかりの人々”を訪ねて思い出を語ってもらうインタビューが中心になっている。どちらかといえば瞑想や精神世界といった話題がよく出てくるのだが、ジョージのインド音楽への傾倒やシタールをラヴィ・シャンカールに教わった話など、当時の音楽的な話をもっと知りたければ、2021年の別のドキュメンタリー「ビートルズとインド」(以前NHK BSで放映され、U-NEXTでも視聴可能なようだ)を観ると、2作の内容がうまい具合に補完しあってちょうどいいように思う。

高森 郁哉