エゴイストのレビュー・感想・評価
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愛なのか
トイレのピエタが(昔すぎてほぼ記憶ないけど)よかった印象の松永大司監督作品。今作は鈴木亮平と宮沢氷魚のゲイカップル役が話題なのか、TOHOシネマズ日比谷は女性観客8割。
関係継続のため鈴木が宮沢へ生活費を渡すことが単なる援交に見えなくもなく、宮沢の死後も母の面倒をみつづけることで、愛の証として成り立たせているように思え、阿川佐和子が死んだら戒名つけて墓も立てるの?とか、どこまでエゴイズムを貫くのか気になった。
話は淡々と進行し、人物に寄った手持ちのカメラもあってドキュメンタリーっぽいのだが、宮沢と一緒の時とは違って鈴木が飲み仲間とはオネエっぽくしゃべるのが違和感。リアルにこういう感じってあるのか?ノンケの自分にはよくわからず、もやもやした。
タイトルの意味を今でも考えています。
鈴木亮平さんが主演の時点で、BLでキャスティングされるタイプでないと感じた。
BLではくくれない、家族の物語。
この前に「ちひろさん」を観て、この後「美しい彼 スペシャルエディットバージョン」を観るチョイス、どうなの自分と突っ込んだ。
浩輔と龍太の恋愛関係は、かなりがっつりなベッドシーンも含めてきれいだなと感じた。
若いサラリーマンが毎月20万渡すって大変なこと、お互いに真摯に想いあっていて、このまま幸せになって欲しいなと願った。
龍太の家族の状況は、なんらかのサポートが必要なレベル。
最初の分岐点は龍太の母親が離婚する時、次は龍太が高校を中退する時。
どちらも、公のサポートを受けるように動けば、違う結末もあったはず。
しんどい時は、助けを求めていい。
そして、元気になったら、今度は困っている人を助けてあげればいいのだ。
エゴイストってタイトルが、内容にそぐわなくて考え込んだ。
浩輔が自分の生活スタイルそのまま、無理せずできる範囲のサポートしかしなくて、龍太を喪ってしまったことを言っているのかな。
例えば、浩輔が40代後半で、愛する人を喪失する体験をしていたら、龍太へのサポートの仕方は変わっただろう。
問題ありありの龍太の環境を放置せず、様々なサポートを利用して、一から構築しなおしていたかもしれない。
もともと、龍太が病弱で、早逝した可能性は否定できないけれど、できることをすべてしていたら、後悔はしなかっただろう。
でも、人間、その時考えられる範囲で最善の選択をして、失敗して初めて学ぶ。
それは、エゴイストとは呼ばない気がするんだよなあ。
こんなふうに観た後も色々考えるのは、楽しいものです。
形
ソフトなBLよりかは規制の入るくらいの描写を携えたBLの方が好きなので、しかも主演2人の掛け合いが予告の時点でとても良さそうだったので公開から1ヶ月ほど経ってから鑑賞。
前半と後半で物語の根幹こそ変わらないものの、全く違う物語へと変わっていく不思議な作品でした。
まず前半は浩輔と龍太のフレンチキスからのハードなベッドシーン。「窮鼠はチーズの夢を見る」ほど激しくはないですが、とても美しいベッドシーンでした。2人の手つきや仕草がとても綺麗で、見てはいけないものを見ているはずなのに、見入ってしまう、そんな迫力がありました。
龍太が一度は浩輔を突き放しますが、それでも龍太が必要だった浩輔が支えるという名目で龍太に付きっきりの生活を送ることになります。生活費を渡す、お客以上恋人未満といったところでしょうか。でも2人は幸せそうで、母親とも一緒にご飯を食べたりと、平穏な生活が続くと思われたのですが…。そこで龍太の死はかなり驚かされました。
龍太が過労で亡くなってしまった後、龍太のために尽くしていた浩輔が今度は龍太の母の生活費、そして生活の面倒も見始め、実の息子の様な感じになっていくのは依存では無く、まさしくエゴもといワガママなんだなと思いました。タイトルの意味が一貫していて、物語の終わりにエゴイストのタイトルが出て来た瞬間は唸るものがありました。
部屋の装飾や衣装なども凝っていて、浩輔の部屋はとても綺麗に纏められており、こういう部屋に住んでみたいな思えるものになっていました。
ちょっと残念だったのはゲイという設定がオカマに近い造形で作られていたことです。結構違うと思うんですが、全体的に女性っぽい仕草をする男という感じで進められていたので、もっと普通の男で進んだら良かったのになとは思いました。あと物語が思った以上に長く感じてしまい、浩輔と龍太のシーンを気持ち長くしていても良かったのではないかなと素人ながら思いました。
とても純で、エゴイストというタイトルの意味を深く考えさせられる作品でした。公開から1ヶ月経っても興行は上向きです。今がちょうど見頃ではないでしょうか。
鑑賞日 3/13
鑑賞時間 11:55〜14:00
座席 E-1
優れた表現スタイルと、1点の疑問
(完全ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
私は異性愛者であるのでこのような題材の映画を見るのはどうなんだろうとの躊躇もあったのですが、おそらく2023年の代表する邦画の1つになる予感もあり鑑賞しました。
結果、やはり優れた映画で、見ておいて良かったと思われました。
この映画の特に優れている点は、主人公の斉藤浩輔(鈴木亮平さん)と恋人の中村龍太(宮沢氷魚さん)の2人の世界を、ほとんど寄りのサイズでしかも手持ちカメラで表現しているところだと思われました。
その理由は、現在の日本において、本当の意味でのゲイ(あるいはLGBTQ)の世界は、その小さな世界にフォーカスしないと生き抜くことは出来ない難しい現実であることを、2人の世界のクローズアップの画角で表現していたと思われたからです。
この2人の世界にフォーカスするカメラ表現は、一般の日本の現実が本当の意味では彼らの世界に無理解だということを、非常に正確に、今の世界を捉え表現していると私には思われました。
それは、特に彼らの世界の外にいる私のような人間には深く突き刺さる表現だったと思われます。
ところで、1点だけ個人的には疑問の個所をこの映画に感じました。
それは、中村龍太の母親である、中村妙子(阿川佐和子さん)の言動です。
主人公の斉藤浩輔は恋人の中村龍太の死後に、中村龍太の母親である中村妙子に対して、自分のエゴで中村龍太に無理をさせてしまった、中村龍太の死は自分が追い込んで招いてしまったとの趣旨の思い切った告白と謝罪をします。
その時に中村妙子は、斉藤浩輔に対して「謝らないで」との慰めの言葉を掛けるのです。
もちろん、この中村妙子の斉藤浩輔に対する、あなたに責任はないのよ、との思いは、正しい感情だとも言えます。
しかし私は、この場面で中村妙子は<いや、龍太の死は私に責任がある>と伝える必要があったのではないかと思われました。
中村妙子は斉藤浩輔が初めて自分の家に訪ねて来た時に、斉藤浩輔に彼女はいるの?との質問をしています。
またその時、中村妙子は息子の中村龍太に、斉藤浩輔はあなたにとって大切な人なのかと聞いて、それに対して龍太は(私の記憶違いでなければ)明確に答えていないことが後に明かされます。
つまり、中村妙子は息子がゲイであることを薄々感じていながら、そのことについて互いに深く話をしていなかったことが分かるのです。
このことは、母親の中村妙子が息子の龍太がゲイであることを、潜在的には認められていなかったのが理由だと思われます。
(彼女が潜在的にゲイを認めていなかったからこそ、中村妙子と息子の中村龍太の間には率直にそのことを話せない見えない壁があったと思われます。)
ただ私はそのことについて中村妙子を責めるのは一方で間違っていると思われます。
なぜなら私自身もそして一般の多くも、(残念ながら)潜在的には彼らに対する潜在的な拒否感は厳然と存在していると思われるからです。
しかし中村龍太が身体を売ることになったのも、中村龍太が母親の中村妙子に自身がゲイであることを率直に打ち明けられなかったのが遠因となっていると一方では思われるのです。
斉藤浩輔は中村龍太の死に際して、彼の母親の中村妙子に、自分が中村龍太に無理をさせてしまったとの勇気を持った告白と謝罪を行います。
なのでそれに対して中村妙子の方も、潜在的には息子の中村龍太のゲイを否定していたとの勇気を持った告白を斉藤浩輔に対してする必要があったと思われるのです。
主人公の斉藤浩輔は、彼の母親(斉藤しず子(中村優子さん))を若くして亡くしています。
最後の方で映る回想の斉藤浩輔の母親(斉藤しず子)の横顔は、寂しそうで、私の解釈では、斉藤浩輔の母親(斉藤しず子)もまた息子の斉藤浩輔がゲイであることを薄々感じながら潜在的に拒否していたようにこちらには伝わりました。
この映画は、斉藤浩輔と、中村龍太の母親の中村妙子の病室のシーンで終わります。
そしてこのラストカットのメタファーとしては、斉藤浩輔と彼自身の母親(斉藤しず子)との、あるいは中村龍太と彼の母親の中村妙子との、息子がゲイであることに関して母親が本心から認め、2人の息子が世界と和解するラストにする必要があったと思われました。
そのためには、母親の中村妙子が、息子である中村龍太がゲイであることを潜在的には拒否していたとの告白を、斉藤浩輔に対して必ずする必要があったと思われました。
なので個人的には、特に前半は優れた作品だと思われながら、後半にそれぞれの母親に関して曖昧になってしまったのが惜しい作品になっていると、僭越ながら思われました。
点数はその評価となりました。
虚無・退屈
鈴木亮平の演技力はかなり研究されていて流石だった。
が、それ以外が近年稀に見るほどの低評価。
全体を通してテンポが非常に悪く、
ストーリー的な波もないので
非常に退屈なシーンが続いた末に
急いでタイトル回収がされ、
突然タイトルコールで終わる。
思わず、は?って言ってしまった。
テンポが悪い割に、
重要な部分はハショられていて、
それぞれの心情や状況の変化の描写が荒く、
展開がいきなりなことが多い。
例えば、彼が働き詰めで過労死するシーンも、
疲労が蓄積していってフラフラしたり倒れるシーンもなく、急に電話で朝死んでましたって連絡だけくる。
と言った感じで、
置いてけぼりにされたと思えば
突然、お涙頂戴でサクッと登場人物を殺したり、
病院送りにし、納得がいかずモヤモヤする。
じゃあ時間が足らなかったのか?
というとそうでもなく、
無駄な描写の時間は異様に長く、
前半はベッドシーン、
後半は父との食事シーンに無言で手元と皿が映り続けたり(気まずい感じ出すにしても長い)、
お母さんとのやり取りが極端に遅く、
引き延ばした感じがある。
また、個人的に詳細にツッコむとすれば、
お母さんにお金を渡すシーンが頭悪くて笑いそうになった。
「息子さんにもこうしてお金を渡していたんです。」
え?それ言うの?お金渡すことで贖罪するエゴイストはわかったけど、恩着せがましいにも程があって台無し。
あの歳で「あなたは魅力的です。」って言い方しないし、
月20万もらって更にあんだけバイトしてたら
かなり余裕あるはずだし、
詰め込みたいもの詰め込んでチグハグ感。
LGBTQ当事者としても共感出来ず、
主人公が現実離れし過ぎて感情移入もしにくい。
ストーリー、映像において虚無。
いっそ潔く1時間程度にして欲しかったところ。
LGBTQに媚びつつ、
監督のこだわりだけが強く残った作品。
ぶっちゃけ高評価の意味がわからない。
阿川さんに泣かされるとは。。。
鈴木亮平と宮沢氷魚の完全憑依型の演技には圧巻です。
あそこまで、ガッツリディープキスしたり、男同士の濡場を演じれのはこの二人だけでしょう。
鈴木亮平が少しオネエなのが気になったが、あれもやりすぎない程度に幾度となく勉強を重ねた結果なのだと後から知りました。
二丁目仲間達とのおふざけなアドリブ?トークはまさに完璧でした!
中盤早々に氷魚くんが死んだのは、悲しいというかかなり突拍子もなくな感じだったので、涙は出ず。。。できれば二人のハッピーエンドが観たかったというのが本音。
意外たったのが、いつもたけしさんの横でワイワイ楽しそうにしてた阿川さんの演技。
全てがナチュラル過ぎませんか?マジで普通のおばさんというか。。。
途中から、これドキュメンタリー!?って錯角するほど。
カメラワークとか部屋の暗さとか、セリフのボリュームがまさにそれなんですよ。ノンフィクション観てるのかと錯角した人も多いはず?
だからこそ、後半からラストにかけて号泣の連続なんですよ(,, ඉ﹏ඉ ,,)
演技してるとか、作られたものという感覚が無くなって、完全にリアルなモノの映像として捉えてしまって、変な感情になって終演後もずっと泣き崩れていました。
大好きだったパートナーを失っても、その家族まで責任を持って愛するのって、とても大事なことだなって実感した。
エゴイストかどうかは、受け取る側の気持ち次第
ゲイカップルの絡み合いの作品としては、『窮鼠はチーズの夢を見る』が刺戟的だった。宮沢氷魚氏がゲイ役を演じる作品の"his"では、過疎地における居場所発見が主題となっていた。本作では、パートナーの遺族への扶養関係づくりということになるのではないかと思った。義母とは少し違い、どちらかというと、自分の責任で命を落とした息子の身代わりに親孝行を果たそうとしているようにも感じた。母親は最初抵抗があったものの、だんだん息子と同じように受入れることができるようになったようだ。押しつけがましい「エゴイスト」だと自分を恥じるような意識もあったのかもしれないが、やはり受け取る側の気持ちが変われば、必ずしもそうではないのであろう。
終始もやもや
事前にたまたま見た鈴木亮平のインタビュー内容があまりに素晴らしく感動し、映画を検索。
読むレビューはどれも絶賛の嵐。。
これは久々に間違いなさそうな映画に出会えたかも♪という喜びで劇場に足を運んだが、
終始もやもや。
鈴木亮平のインタビュー内容からも、かなり丁寧に作られたということは理解していたが、
本題以外のことについて、「なんで?」&「なんそれ?」とZAZZYばりに何度も声を出しそうになることが多すぎて私的には大事なところまで心が掴まれない残念な流れに。
最近何見ても泣けてくる位、涙腺ゆるゆるのハードル激低い私にもかかわらず、1滴の涙も出てくれず・・。期待が大き過ぎた??
恋人の売りを止めさせたいのは勿論当たり前、生活苦の恋人に資金援助も理解できる。
でも月20万?も援助してもらっても、朝晩休む間もなく肉体労働しなきゃ生活できないて
どーゆーこと?売りでも大人気な彼のビジュを生かす高額な仕事が山ほどあるでしょうに。
高校中退で仕事が選べないらしいが、わざわざ廃品の回収やら深夜の皿洗いをチョイス?
しかもあんな働き詰めでボロボロになっている恋人について「売りじゃないから安心~仕事頑張ってね」的に自分は高級ブランドに高級マンションで何も変わらず生活する浩輔、あまりに鈍感過ぎないか?ともやもや。。過酷な労働ではなく、浩輔の人脈生かして何かモデル的な仕事紹介できなかったんかなぁ。現ナマ渡して、売り止めてくれたし解決♪て感じが安易で愛感じられなかったわぁ。ハンドクリーム塗ってあげて満足してる場合違うや~~ん!過労死しますやん?するけど・・。
息子が男性を愛していることも認める理解&愛あるオカンぽい演出なのに売りしてる息子に気づかない所や、やばいほど働き過ぎな息子の姿になんか疎い感覚ももやもや。
同性愛云々の前にあの3人が健康に普通に生活できるように、家計の見直しがいる問題~~。
それぞれが相手に対して愛あるようで結果なんか薄い、て感じてしまったのはまさにそれぞれが「エゴイスト」?てことでゴール!!ならあっぱれ!ですが。
鈴木亮平の役者愛と氷魚くんの子犬感のまぶしさに星2!(笑)
今でこそ性的マイノリティにフィーチャーされる事が多いが、一昔前は(...
今でこそ性的マイノリティにフィーチャーされる事が多いが、一昔前は(もちろん今日でも)ゲイという愛の形に偏見を持つ人、色眼鏡(サングラス)で見る人も多かっただろう。
「愛の形は色々存在する」という言説があるが、色眼鏡さえ取っ払うことができさえすれば愛の形はその本質は同じだということに終盤の龍太母の言葉で気づかされる。
映画の序盤中盤では夫婦の愛、親子の愛という擦り続けられたステレオタイプ的な愛が自然な流れで描かれていた為、ゲイ同士の愛、擬似親子の愛という一見歪な形の愛も本質は同じなのだと気づかせる構成がとても秀逸だった。
自分自身、全く体験したことのない愛を見せつけられても、鈴木亮平の行動原理が理解できてしまう。それは上記の構成によるところが大きいだろう。
氷魚が美しい
予告を見て、てっきり氷魚に裏切られてエゴが出始めて破滅していく、、みたいなストーリーかなーと思ってたけど、全然違った。
のっけからゲイの世間話に笑かせられたと思ったら、婚姻届を二人で書いて壁に貼って幸せを噛み締めるとか、笑えない現実にふぅ〜ってなったり、現実のLGBTQの切なさを痛感。
亮平の部屋が、また人間味のない部屋で。
コンクリート打ちっぱなしの壁、コーヒーしか淹れないキッチン、リビングにドーンっと大きいヴィンテージソファと全身鏡。
亮平らしさはどこにもない。センスがいいだけの部屋。
これがまた孤独さを感じさせるのよ。
前半は鈴木亮平と氷魚のラブラブイチャイチャを延々を楽しむ作品で、シングルマザーを助けるために高校中退して売春をしてると告白する氷魚、氷魚を独占するために愛人契約をする亮平。
月20万円で足りない分は昼夜働く、という生活に。
(184cmあってあの美貌で亮平が雑誌の編集者だったら、氷魚をモデルとか編集部で働かせればよかったのにー。なぜあんな昼夜働かせるの??いや、働くところまで甘えられないってことなんだろうけど)
これが男女だったら、結婚して扶養に入れて、ってできるのにね。むむむむむむむ。
男女の愛は世の中的に決めたルールで繋ぎ止められるのに、お金で繋ぎ止めるって方法になってしまうのね。
それも愛なんだけどな。
車も亮平に買ってもらって納車、初めてのドライブって日の朝、過労か寿命か氷魚がひっそり死ぬ。
氷魚のお母さんの阿川さんが、まぁ自然な演技で。
ここからは自分の亡くなった母と阿川さんを重ね合わせて氷魚の分まで息子のように。ゲイなだけに、息子でもあり親友でもあるような不思議な関係に。
そんな唯一の心の安息場の阿川さんも最後膵臓がんのステージⅣで入院。
氷魚の死後、お金も渡してなにかと面倒みていた阿川さんに同棲を持ち掛けたらやんわり断られ「まぁ、そうだよね…」って納得するも、いやここも男女ならさ、結婚して義母と住むって普通のことになるわけよ。むむむむむぅ。
後半、阿川さんの病室でボケちゃった同室のおばあちゃんに毎回「息子さん?」って質問されて、亮平はいつものとおり「違います」って言うところを食い気味で阿川さんが「そうです、自慢の息子なんです」って言い切るの、泣けちゃうな。んもう。阿川さんったら。
で、〆のシーン、酸素マスクつけてる阿川さんの手を握りながら、そろそろ帰ろうかな、ってしたら「もうちょっといて?」って甘えてくれた阿川さん、ここここここここ、嬉しいよね。
仲良くなっても、ずっとどこか遠慮してた阿川さんが、甘えてきてくれたんよ。ほんとの息子みたいに。
ここで終わらせるの、好きよ。
最初は氷魚、次は阿川さん、孤独だった亮平がこの親子に出会って感じたものは、愛だったんだなぁ。
亮平は、お金で繋ぎ止めてるのはのエゴだと思っていたけど、この親子には、ちゃんと愛が伝わってたんだよね。LGBTQ、って言葉さえなくなる日がくるといいな。愛は自由なんだよ。
あ、途中のゲイ友とVOGUE WALKを真似しながら歩くところ、アメリカドラマのPOSEを思い出した。POSEの頃から少しは良くなってると思うけど、まだまだだよね。
テレビでクチコミは全部見る、って言ってたのでこれも見られるかもしれないので謝っておきます。呼び捨てにしてごめんなさい。愛の表れです!
エゴという愛のかたち
これはゲイの物語ではなく、ただの恋愛映画だと思いました(いい意味で)。
愛し合った2人の人間の物語が、たまたま男同士だったわけです。
こういう物語にありがちな、当事者があからさまな差別を受けるシーンが無いのはとても良かった。
今どき日本でそんな差別受けるわけないやろ。みたいなつっこみが入ることはありません。
この映画に付くこの高評価からして、本当に日本は差別の少ない良い国だと感じさせられました。
そして、鈴木亮平の、そこまで成り切るかと思わせる演技は本当に素晴らしかったです。
他の俳優さんの演技も素晴らしかったですし、セリフや間の取り方がリアルさを追求した感じでした。
振られても自らのエゴで龍太を愛し続け、その結果、龍太を死なせる結果になる。
それでも、龍太が愛していた母を自分の母と重ね愛し続けたのも浩輔のエゴであり、浩輔の愛のかたちだったのでしょう。
終盤に浩輔が突然帰省したのは、父にカミングアウトしたかったからという解釈でいいのでしょうか?
また、カメラマンに浩輔が撮影してもらうシーンは、どういう意味があったのか、分かりませんでした。
中盤、若干単調といか、だれた感じがしましたが、素晴らしい恋愛映画でした。
丁寧に描かれた美しく危うい関係
この作品のタイトルに「エゴイスト」を持ってくるかあ…!と観終わった後色々考えてしまった。
見方によっては浩輔の一方的な献身的ともいえる愛情。
龍太とその母に対し、金銭も時間も惜しみなく与える様子とその危うさを個人的には終始ハラハラしながら観ていた。
こういう関係は与える側も受け取る側も試されており、一歩間違えば精神の対等さがなくなって関係が破綻してしまう。
浩輔と中村親子がとても尊い関係を築いていたので、余計にその関係が壊れてしまわないかといらぬ心配をしてしまう私…。
結果的にそれは杞憂で、ちゃんと浩輔は、そこにエゴが入っていることを自覚していて、龍太もお母さんもそこを理解した上でちゃんと感謝しており、そこは本当に良かった。
心の拠り所だった母を思春期に亡くし、都会に出てからはファッションを鎧としてまとって生きてきた浩輔。
そんな彼が「エゴ」「愛がわからない」といいながらも、ちゃんと深く龍太とその母を愛していること、そうしてそうすることで浩輔自身も救わるストーリーになってるのが良かった。
何度も言うけど一方的な献身を伴う関係はとても危うい。そこをちゃんと自覚的に描いてくれる作品で良かった…。
浩輔さんが裏切られたら私たち(観客)はちょっと立ち直れない…。
あと印象的だったのは、本作はセリフやモノローグでほとんど語らないという点。その代わりに登場人物の表情にめちゃくちゃフォーカスする。
この映画の7割くらいは鈴木亮平さんの顔周りのショットを観ていたんじゃないかと錯覚するほど(実際錯覚でもないような気もするがどうなんだろ)。
静かに、丁寧に人物を描写する作品だなと思った。
しかし主演2人(鈴木亮平さんと宮沢氷魚くん)の色気はすさまじいな…。スクリーン越しに彼らの首筋から漂うフェロモンにあてられてしまった。
平日昼間ながら割と埋まってる劇場の観客が女性率9割だったのも面白い。
あと出番もセリフもはそこまで多くないのに柄本明さん(浩輔の父役)良かったなあ。静かで素朴ででも色んなものを包み込むような器のような役者さんだなあと改めて思う。
浩輔と2人で夕飯食べるシーンは泣きそうになってしまった。
男性とか女性とかの問題じゃないんですね
ゲイの映画ということで
なんとなく
敬遠していたのですが
衝撃のラストと聞いたので
知っちゃう前に観ておこう
と思い鑑賞
ゲイとかの次元で敬遠していた自分が情けないほど
二人の恋人同士役が
セクシーだったりピュアだったりで
人間の愛を感じました
あとは
衝撃のラストと聞いてたので
どちらかが自分のを切っちゃうとか
殺しちゃったりしちゃうのかな
と思ってたので
逆にホッとしました
今でもあの二人の笑顔が頭に焼き付いてます
エゴは誰かのしあわせにも、救いにもなれる。
驚きました。浩輔(鈴木亮平)と龍太(宮沢氷魚)の物語だと疑わなかったので。
この作品は浩輔と龍太の母妙子(阿川佐和子)との物語でもありました。
前半は浩輔と龍太の物語です。
「できることなら何でもしてあげる」それが浩輔の愛の形でした。龍太が性的な仕事を脱し、龍太と持病を持つ妙子の生活を守るためには金銭的な援助しか解決方法がなかった。龍太は関係を続けるために頼らざるを得ないとしても、至極心苦しかった。それゆえ限界まで過労を続けてしまった。
疑問に思ったことでもありますが、意図しない破局を除いて「2人の間にあったしあわせ」だけが描かれます。
全体通して龍太の胸のうち(浩輔を好きになる過程、金銭援助されていたときの感情)があまり描かれませんが、原作が自伝的小説だったため安易に龍太の心情描写を脚色しなかったのではと思います。事実として龍太の胸の内に気づけなかったことも結果としての過労死(濁しているし濁すのが作品として正解に思います)に結びつく演出だったとすると、なんて誠実な作品だろうと思いました。
彼が欲しい。彼を救いたい。その想いからくる愛情が結果として死を招いてしまったことを自分のエゴだったと悔恨します。鈴木亮平さんの通夜のお芝居は見ていられませんでした。現実に起きたことなんですか…?もう人生立っていられないですよ、、、
お芝居は現実を観ていると錯覚するほど自然で、丁寧に丁寧に積み重ねられていると感じとれる。鈴木さんは勿論ですが、宮沢氷魚さんが本当にもう、本当に本当に。眼差しや口角の動きには想いが溢れていて、こんなに無垢でまっすぐなお芝居をされる方がいるのですね…その才能の尊さに思い出しただけで涙が出そうですし大ファンになりました。これからもお芝居たくさん見たいです。
後半です。浩輔と妙子が援助金の入った封筒を差し出し・返しを繰り返すシーンは、この作品が本当に丁寧に作り込まれていることを感じさせてくれます。単調になっても不思議でない単純な動作に、2人の葛藤が、言葉少なに表情や動作の重みから伝わってきました。振り返るとあのシーンが物語の分岐点だったように思います。その役割を強く印象に残す演出とお芝居が素晴らしかったです。
はじめは浩輔の援助に妙子も戸惑いながら、徐々にお互いの心地よい距離感を図り、共通の愛する人を亡くし残された者として、2人だけの関係を築いていった。
そして、いつか浩輔と妙子の関係は終わってしまうんじゃないか。そう思わせる随所のミスリード描写が上手かった。浩輔は自分の気の済んだところで援助をやめる、エゴをそんな展開にも集約していくのではと思わされましたが、タイトル「エゴイスト」はそんな表面的で生暖かいものではありませんでした。
終盤、見舞いにくる浩輔が再び息子と勘違いされる所で妙子は「自慢の息子です」と返す。
その言葉を受けたあとの震えながら眉を描く浩輔のシーン、本当に凄かったです。
ラストシーンでは、浩輔の善意に後ろめたさを感じていた妙子が、末期が近いと悟り「まだ帰らないで」と浩輔に声を掛ける。
懺悔の気持ちもあって妙子への援助を続けていたと思います。幼い頃に実の母親を亡くしたことも効いていると思いました。母を重ねていたのかもしれない。そして龍太との関係を無かったことにしたくなかったために。
でも愛情深い浩輔は、妙子のことも愛していた。善意ではなく愛情だと妙子に伝わったと感じられるラストでした。
あの瞬間をラストにしてくださったからこそ、エゴが誰かのしあわせになることも、救いになることもあるのだと思わせてくれました。阿川佐和子さん、包み込むように優しく自然体なお芝居をされていて本当に素晴らしかったです。最上級の評価を受けて欲しいです。
エゴイストという作品が生まれたからこそ、日本のエンタメ業界が前進すると思える作品でした。映画館で見れて良かったです。
ゲイです。彼氏と観に行きました。
ゲイ当事者です。
彼氏と日比谷で鑑賞しました。
鑑賞し終わって、正直…
『???』と、彼氏と話し合いながら帰宅しました。
なぜなら、
まるで、過去の自分達を観ているようで、
『あ、なんか、懐かしい!』気分になっただけでした。
冒頭に、
『彼氏と婚姻届けを書いて壁に飾る!』
みたいな台詞があったのですが、
見終わって、
『そうか!俺らゲイは好きな人と結婚は出来ない。もし、異性愛者同様、好きな人と結婚ができたら、相手の両親の面倒を見たり、寄り添ったりはするだろうな。でも、結婚を結ばなくても、やれそうだよね!』
と思っただけで、
特に何かメッセージがあるようには思えませんでした。
性描写は見慣れているから、
『他の観客の方々、大丈夫かな?』と
心配になりました。
しかし、
そもそも、俺らも男女の絡みなど、
見たくないコンテンツが
小さい時から街に溢れていました。
大人になるにつれて慣れたから、
今となっては何とも思わない。
だから、
『皆さん、慣れてくださーい!』と思いました(笑)
一箇所、非常に共感できるシーンがありました。
彼氏と帰宅しながら、
『あのシーンは、共感できるね!確かに、あーやってスマホをいじって、追いかけた経験はあったね!』と…
ストーカー(=自己都合)
あっ!だから、エゴイスト??
と、笑い合いながら帰宅しました。
『なぜ、エゴイスト?』
無理矢理、タイトルの意味を見つけ出す会話をしていました。
ゲイのお友達が見当たらない方々に観て欲しい作品です。だから、期待を込めて『星5』
愛もエゴイズムも括ることはできないの
総じて愛と言ってしまおうか。しかしながら愛とはと問われたら私は答えられない。物事をどう受け止めるか、どんな見方をするかで愛もエゴイズムの意味も変わるだろう。
この映画は単なるゲイの物語ではない。事実を元にした物語であるようだが、ゲイの2人が紡ぎ出す物語である事でこの題の意味や感じ方がゲイでない自分には余計に引き立ちそれぞれの心情を身近に感じられた気がする。所々で感情が溢れて泣けた。
ベッドの上の龍太の母親のまだ居て欲しいと言った言葉が印象的だった。
愛を愛として伝えることの難しさを感じた。それは簡単で困難である。
余談だが、セクシャルマイノリティを少しは理解していると思っていた自分が情けない。同じ、だと。自分の世界とは何も違わない人間同士の繋がり。思い知らされた。(それでも理解には程遠いのだろう)
映画から感じそこから少しでも新しい感覚知識を得られるって、映画って本当に素晴らしい。
冒頭のシーンから鈴木亮平の演技の自然さ上手さと役作りに驚かされた。
おすすめ映画。
演技上手かった。
全く情報がないまま、ポスターを見ればどんな感じかわかる。くらいで観ました。描かれた世界の事や実話である事なども知らずにみましたので、最初の30分くらいはバイブル的な?このまま続くの?た疑ったのですが、そこから思わぬ方向へ、悪い人が出てこないし、批判的な部分が少なく、悲しいながらも、最後はなんか良かったです。
接写でのカメラカットに接写の自然な撮り方がとても良かった。それに負けない演技でしたね。居酒屋のシーンは少しだけはが出てましたけど、食べるシーンボトルキャップの閉め方まで上手かった(^^)
本当のエゴイストは母でしょう
まず、この映画を観て「時代が変わったなぁ」というのが、一番の感想です。
こういう題材の作品が、一流の俳優さんや映画製作者によって、本当に丁寧に作られ、それが一般公開されて、様々な人達が特別な思いで観に来る。異性愛以外の形を、もっと知りたいと真摯な気持ちで、足を運ぶ人が普通に増えたからこその、この映画の誕生と感じました。
全編が自然で、それは大切に繊細に描かれていましたが、性描写の部分は特に印象的でした。
異性愛者が愛し合い、高みに達する姿と、同性愛者のそれに、一体何の違いがあるのかと、静かに、そしてパワフルに問いかけられた思いです。
それにしても、タイトルのエゴイストとは、一体誰を指してのことなのか、と考えていましたが「あ。この人ね」と、最後のショッキングな終わり方で見えた思いです。
自分も子(息子)を持つ母なので、そんな自分とも重ねて見てしまいましたが、そもそも自分の体調のせいで子供に進学を断念させ、お金を工面させてきたあの親は、一体どんな顔をずっとしてきたのかと思いました。
高校を中退させた我が子に、自分の経済負担まで背負わせ、それだけの金銭がどこから発生しているのか、知らん顔を決め込める母親だからこそ、最後は浩輔のことを「息子です」と、病室の人に話して、帰ろうとしている彼に、「帰らないで」と拘束するなんてことが、できたんでしょうね。
息子のみならず、他人の浩輔まで縛りつけてるシーンの只中で、突如画面が切り替わり、エゴイストの文字が浮かび上がって、終了。
私にとっては「この人ですよー、表題の人は」と言われたようにしか、思われませんでした。
龍太を死なせたのは自分だと、泣いて謝る浩輔に、もしもこの母親が自分の責任と罪を認めていたのなら「この子を長年酷使した私が、息子を死に追いやった。謝るのはあなたじゃない」と、悶絶するほど泣いて詫びて後悔をする筈だと感じました。
龍太を死に追いやったのは、浩輔ではなく、負担を息子にかけ続けた母親ですね。
とはいえ、阿川佐和子さんの演技と存在感は、とても素敵でした。
今まで観てきた邦画の中で、多分この映画が一番好きです。
リアルとファンタジーと...
映画館で見るべき作品だというのはCMですぐに分かったので見に行きました。
期待以上に良かったです。
リアルとファンタジーと古さを感じた。
これ以降は批判に感じるかもしれませんがファッション紙の編集者がテントハウスに住んでいる設定は早々にリアルではなく
一方で支払う金額は10万だったりテントハウス住んでたらもっと払えるよね。とこのあたりは残念ですね。
話の展開が良く鈴木亮平さんの演技が素晴らしかった。ぐっと引き込み早い展開も違和感なく話に入っていてける。
売りに関してはあー聞いたことあるなって感じですがこの設定に古さを感じたが龍太の家には貧困のリアルが描かれているが
売りやるには年齢行き過ぎてないかなと思ったり。
リアルでない部分とファンタジーの部分が入り混じってます。
浩輔のコンプレックスと尽くしても尽くしても認められなかったり最後に認められたり
だんだんと話の展開はすすみます。
終わり方も良かったです。
その先は分かるでしょ?といった演出はとても効果的でよい作品でした。
あと隣りに座ってたゲイがクスクスずっと笑っててうるさかったわー(笑)
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