「原作を読んでから映画を観た感想」エゴイスト ペーニャさんの映画レビュー(感想・評価)
原作を読んでから映画を観た感想
主演の鈴木亮平もスタッフも原作と題材に「酔っているな」と感じた。
脚本家も原作から映画に起こす事での再構築をして欲しかった。そうでないと原作を薄めた再現VTRになってしまい、映画という表現手法を使う意味がない。
圧巻だったのは阿川佐和子。
多くの登場人物がドキュメンタリー風に薄められていく中で彼女だけが圧倒的な映画の中における実存感とリアリズムを感じた。
原作にあって映画に欠けていたのはまさに
タイトルにもある「エゴイストのエゴ」である。
原作者の業や想い、慚愧に堪えない沸るような怨念にも近い後悔の念という原作から感じ取れた
「エゴ」がこの映画からはスッポリと抜け落ちている。なぜそこまで原作との乖離が起きてしまったのか?を考えて辿り着いた答えが「恥」の感覚だった。原作者の持っていた「恥」の感覚がエゴに繋がりストーリーが発展していく肝になるのだが、恐らく制作者側にその肝心要の感覚が理解できていないから大事な部分が抜け落ちているんだろうなと思った。
コメントする
