「そんなにいいかな?役者は良いがね。」エゴイスト ycoさんの映画レビュー(感想・評価)
そんなにいいかな?役者は良いがね。
鈴木亮平と宮沢氷魚の同性愛ものということで、公開前から絶対見たいと思っていた。
BLに興味はないけれど、どちらもゲイのイメージがすぐに湧く。演技力もあるし絵的にも良い意味で対照的。
演技は二人とも予想通りでとても上手い。どちらのタイプも「いそう」。浩輔の友人役は実際にゲイの方のようだが、全く違和感無し。
演出も美術もよく考えられていると思う。性描写もかなり踏み込んだものだったしリアリティがあった(現実は知らないけど少なくともそう感じられた)。
ストーリーについては、「エゴイスト」の意味がよくわかり考えさせらるものではあった。
が、そもそも「死」を扱う際には決して陳腐なものにならぬよう徹底的に細心の注意を払う必要があると思うのだが、それがなされていなかったのが残念に思う。龍太が亡くなった瞬間、なんだかそれまでの素晴らしい演技や演出が水の泡(とまでは行かないかもだが)になってしまったように感じた。「突然死(事故含む)」って便利だよなって。
そもそも母親役の阿川佐和子もそんなに足が悪いような感じがせず、なんだか微妙に違和感がある。「そんなに働けないものかね?」と思わずにいられない。満足な収入が得られないとしても、龍太によっかかりすぎ感が否めない。また、龍太はトレーナーを志しているがそれだけでは食べていけないから「売り」をしていたはずだが、浩輔が援助をしてくれている間はなぜ肉体労働だけになってしまったのか。時間の都合上仕方ないのかもしれないが、設定の詳細が「雰囲気」で作られている感じがする。他の人のレビューで原作にはもう少しくわしく事情が描かれているようなので、機会があったら読んでみたい。
あと、和田庵くんが出ていたのが嬉しかった。鈴木亮平の中学生時代としてかなり良い線いっている。雰囲気のある子だ。この子も将来ゲイの役やってもハマると思う。