「恋愛を超えた」エゴイスト るる 移行さんの映画レビュー(感想・評価)
恋愛を超えた
ギャップが凄すぎる。思ってた映画と違っていって良い意味で裏切られた。
前半は、微笑ましくも激しく愛に溢れた男性ふたりの恋愛模様。
後半は、恋愛とかではないなにかを超えた関係性、繋がり、愛。
これが実話なのだとインタビューで見て、こんなにもあたたかな物語が本当に存在していたことにあたたかい気持ちになった
エゴ=利己的(自分の利益や幸福を最優先に考え、他人の利益や幸福を顧みない態度や行動)
たしかに、浩輔は時に自分のエゴで行動していること、たまにあると思った
浩輔は、龍太にたくさんのものを与えてきた。龍太はそれに対して返さなきゃ、と思って、仕事をめちゃくちゃ頑張って、その結果、龍太は亡くなってしまう。
たくさん与えすぎてしまって逆にそれが龍太にとって負担になってしまったのかもしれない。自分が愛だと思ってしてきたことが全て裏目に出てしまい、浩輔はなにが正解なのかわからなくなってしまう。
「愛がわからなくてもいい。受け取った人が愛だと思ったらそれでいいんじゃない?」その言葉が今の浩輔にとってすごく重く響いたんだろう。
龍太を見つめるやさしい眼差し、だけでわかる。愛に間違いないのよ。
龍太がいままでやってきたことを無駄にしたくない。という自分のエゴで、龍太の母の傍にいた浩輔。他人であり、気を遣いあっていたふたりが、だんだん本当の家族のようになっていくのがよかった。
最後の病室のシーンの、「わたしの息子なんです」それを受けて涙をこらえるために捌けて眉毛を書く浩輔が、嬉しかったんだなと思ったし、その場で涙を見せないで隠れて己を律するのが、人間らしくていいなと思った。その他でも随所、人間らしいなと感じる部分は多くてリアリティがあった、(泣きながら水を飲んでむせるところなど)
ドキュメンタリーのような、自然すぎるやり取りがとても楽しいし心地良い。役者の演技がみんな自然。鈴木亮平さんやばい、所作や感情の起伏が細やか。阿川さんの芝居も自然すぎでびっくりした
浩輔と龍太の愛を育んでゆく体当たりはすごいし、売りの面でもかなり過激なシーンもやっていて、役者としての並みならぬ覚悟を感じた。
静かだが、内側に熱いものを秘めているかのような、、やさしくてあたたかくなる映画!とても素晴らしい作品です