グッドバイ、バッドマガジンズのレビュー・感想・評価
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成人雑誌というカルチャー
「僕なんか16時間も生殖器見てますよ」という台詞が色んな意味で業界の事や、あんな事そんな事を想像させますね。
主人公である詩織は希望した部署ではなく、成人雑誌の編集をすることになる。急成長というべきか、業界への染まり方が早かった笑
主人公の成長物語と思いきや、途中からテーマが変わっていくけれど、とても内容の濃い勉強になった作品でした。
四字熟語が止まらないシーンはとても面白かった。
エロ本より愛をこめて
横山翔一監督作品脚本作品初鑑賞
脚本は他に『スマグラー おまえの未来を運べ』の山本健介と当作品プロデューサーの宮嶋信光
カルチャー雑誌編集希望の新人編集者がエロ本の編集に配属されてしまった話
ありがちな話
今はなき英知出版の『ビデオボーイ』にも若い女性編集員がいた記憶が
スポーツ新聞のアダルト面も女性が担当していたりすることもままある
エロ本にDVDのおまけがついたあたりから本そのものがつまらなくなった記憶がある
あの頃から既に出版不況だったのかな
コンビニからエロ本がなくなったらしいが今ではそれらしきものが置いているがあれはなんだろうか
安野モヨコ原作菅野美穂主演の『働きマン』のような話ではない
エロ話でどれだけ笑えるかどれだけ楽しめるかそこがこの作品の生命線といえよう
箸が転がってもおかしい中高生ならウケるだろう
半世紀くらい生きてると感受性が低くなったせいか全然笑えない
それならば文学的見地からアプローチ
SEX SEX SEXうるせーよ
カトウシンスケなどごく一部以外見慣れない出演陣
PG12のため視覚的にはさほどエロくはない
岩井七世演じる向井の妻が包丁を持って騎乗位はじめるシーンが印象的
配役
新人編集者の森詩織に杏花
元スチールカメラマンの編集者の向井英にヤマダユウスケ
若手編集者の酒本信満に西洋亮
成人誌を扱う第3編集局局長の河田に山岸拓生
出版社営業部の渡奴誠二に菊池豪
営業部を見下す編集部員の羽賀大に西尾友樹
羽賀の部下の編集部員の杉戸にタカハシシンノスケ
羽賀の部下の編集部員の八剱に長野こうへい
中途採用された髭モジャ新人編集部員の戸塚陽に善積元
営業本部長の黒岩に山口大地
会社で寝袋を持ち込み泊まっている編集部員の宮沢健一に木村知貴
サブカル誌副編集長から異動してきた編集部員の徳山道夫に大迫茂生
女性向け成人誌発行を夢見る編集部員の澤木はるかに春日井静香
詩織の大学の先輩で編集部員の伊勢崎義一郎にカトウシンスケ
出版社社長にグレート義太夫
元AV女優の作家のあさひなハルに架乃ゆら
向井の妻で元モデルの向井愛子に岩井七世
海外向けに日本の今を紹介するYouTuberにジューン・ラブジョイ
地方在住の老人にあらい汎
AVメーカー・プロデューサーの中津川に草野康太
AV監督に尾倉ケント
メイクに秋乃ゆに
AV女優のマヤに真矢みつき
第二編集部BL班の松田に中島愛子
中華料理屋の娘にきみと歩実
情熱と哀愁
2018年、愛読していたカルチャー誌の出版社に就職した詩織だったが、配属されたのは成人雑誌の編集部。戸惑う彼女だったが、先輩らの指導のもと一人前に成長していく。しかしオリンピックを機に、成人雑誌の主戦場だった大手コンビニは、取り扱いをやめたため。
ぼかしだらけの編集部内に笑えますが、裸はほとんど出てきません。成人雑誌と言えども売れる紙面を作ろうという情熱と、普通の雑誌以上に生き残りが大変になってきた哀愁がひしひしと伝わります。
エロ雑誌版の「ハケンアニメ」説もある、お仕事ムービー
たしかに主演の杏花と吉岡里帆が重なる部分がある。
ともかく頑張り屋。
倒れるまで仕事に打ち込む。
私は結構、仕事に根性ある人とか頑張れる人を尊敬してるし、
自分もそうありたいと思っているので、森詩織(杏花)の頑張りには
共感した。
3局部門に分かれている総合出版社に入社した森詩織は、
なんと3局の「エロ雑誌(男性向け成人雑誌)」の配属になってしまう。
持ち前のやる気で、半年後には別人のように、卑猥なタイトルを
機関銃のように口から連射する怪しい迫力の耳年増だ。
しかし、2019年。
東京オリンピックの開催が決まった東京は、オリンピックを見に来る
外国人観光客がコンビニのエロ雑誌を見たら
「恥だ!!」
と、コンビニ各社がまず封を付けた。
そして自粛となり次々と本のコーナーからエロ雑誌は消えていくのだった。
出版社業界の不況とも関わりがあり、世の中の流れに抗えない宿命とも
言えますね。
ただBLコミックは人気でよく売れてるし、
グラビアアイドルの写真集とかも結構売れてる。
森詩織の出版社がどうして雑誌の出版方針を根本的に
見直したりしないのかが、不思議だったし疑問に思った。
(廃止を視野に入れてたんだろうね)
それにしても森詩織ちゃんの「エロ本愛」は何なんだろうね。
若い身空、可愛い女の子なら、毎週デートに明け暮れるとか、
旅行、ファッション、グルメ、英語、映画、コスメ・・・
あらゆる部門の出版物があるのに、
よりによって
「エロ本、エロ雑誌!?」
よっぽど内なる欲求と言うか、エロに開花したのかな?
それも実践ではなくて、「書く方向・・・」
書きたい人だったんだろうね。
この映画、若い可愛い女の子が主役なのが「ツボ」
エロ雑誌の衰退していく悲哀が、胸を打つ異色作でした。
それにしてもアイデア次第で面白い映画が撮れるのですね。
まったくもって日本の映画はガラパゴス化が凄い。
この映画、裸及びエロ描写は一切ありません。
そこも英断だと思った。
明日までしかキネカ大森で上映して無いので急いで観にきました。成人誌...
明日までしかキネカ大森で上映して無いので急いで観にきました。成人誌に配属されてしまった女性記者の成長が活き活きと描かれています。
大変楽しかったです。
雑誌文化の灯をともし続けて欲しい。
監督の舞台挨拶、主題歌を歌っているシンガーソングライターのナギサワカリンさんのミニライブつきとは知らずに映画館に。通常料金で得した気分です。
面白いけどストーリーをもう少しと思いきや、 95%実話だそうです。それなら良いです。
エロ雑誌じゃないけど、FMステーションなんかの廃刊のときを思い出しました。紙媒体の雑誌には雑誌の良さがあると思うのはノスタルジーでしょうか。
真面目な業界モノとして佳い映画でしたが、、、
男性向青年雑誌、と漢字で書くと仰々しいですが、砕けて言えばエロ本。エロ本出版業界をテーマにした作品。出版不況が言われて久しいですが、特に厳しいのが雑誌。その中でもエロ本は「お・も・て・な・し」の浄化作戦で大手コンビニから一掃されてしまう。そんな窮地のエロ本出版に新卒で入社したヒロインの奮戦記が大雑把な流れです。
佳い映画です。脇役で出ている方は現役の女優さんだと思うし、エピソードとか職場の情景などもリアリティを感じます。で、雑誌やエロ業界の置かれている状況を「どげんかせんと」という作り手の想いがちゃんと伝わります。冒頭にYouTuberがコンビニから一掃されるエロ本を紹介するシーンがラストに繋がるとこなんて、上手いです。
初めの方に新人ヒロインと古株編集長とのやりとりにあった「エロとはなんぞ?」というサブテーマもちゃんとラストで回収してあり、凄く良く出来た作品です。
ただ、面白くするならば、もうちょっとデフォルメしてもよかったな〜。ラストでヒロインと元職場の妻子持ちイケメンが、ヤッちゃいそうになるところに、メンヘラ女房が包丁で乱入するんですね。ここがめっちゃ笑えるんですよ〜、で、気づいたのが、これって山本直樹マンガでありそうなシーン。この山本直樹風な感じで、もっとエロと不条理に振りきったら、面白かったな〜。
佳い映画と面白い映画は違うのだな、と改めて感じた良作でした。なぜ、単館でしかかからないかな〜。
2と3
終了間近だったので、劇場に滑り込んで観てきました。男性向け成人雑誌の編集たちの物語という着眼点に驚かされましたが、今までお仕事ムービーとしても完成度はかなり高かったです。真面目すぎてチョット…な部分もありましたが。
セックスやエロの定義が分からない主人公が奮闘する物語ですが、かなり耐性のない人にはキャー!となってしまう描写が多く盛り込まれています。最初は作り方が分からず困惑していますが、あっという間に慣れて後輩指導にも力が入るという変貌っぷり。テンポの良さが前半の面白さを引き出していました。
ただ、あまりにも真面目すぎる弊害が途中から出始めて、純粋にエロもお仕事も楽しめなくなったのが残念でした。製作側の伝えたいメッセージが強すぎてキャパオーバーしてしまった感じです。
終盤のナイフの切れ味からのセックスへの突入は狂気に満ちていて良かったです。かなり謎でしたが。
現役のAV女優の方々も出演しているので、もっと過激になっていればなぁとは思いましたが、自主制作で1館のみの上映から全国公開へとステップアップしていったこの作品の力はとても強いものだなと思いました。
鑑賞日 2/7
鑑賞時間 20:35〜22:25
座席 D-1
不要の必要性
ー2019年、東京オリンピックの開催に伴い、大手コンビニチェーン3社は成人向け雑誌の販売をやめた。
女性誌の編集を夢見てとある出版社に入社した詩織は、希望とは真逆の成人誌の部署へと配属される。
不本意ながら一生懸命頑張る彼女だったが、次第に時代の流れという残酷な現状が突きつけられる。
映画はジューン・ラブ・ジョイのYouTube風リポート動画から始まる。
ポップでキラキラ明るいその動画は、世界に誇るべき日本のエロ文化を世界に紹介するかのような作り。
しかし、この冒頭の明るさこそがこの物語の進むダークな一面を際立たせている。
この映画でも取り上げられる、コンビニの成人誌の販売終了のニュース、当時かなり衝撃を受けたことを覚えている。
母親は「あんなの無い方がいいわよ」みたいなことを言っていた。
でもその言葉が子供ながらに引っかかった。
確かにエロ本なんてものは特に日常生活に必要ない。
というか、やはり無い方がいいものかもしれない。
ましてや子供や多くの人の目に触れるコンビニには明らかに相応しくないものだ。
でも、無くて良いものを本当に無くしてしまって良いのだろうか。
これは当時の自分が思春期真っ只中だったからではない。
悪いもの(あえてここではそう呼ぶ)はある程度存在すべきである、不必要こそ必要なのではないだろうか。
多分私がコンビニエロ本を知っているギリギリの世代だろう。
今はなき成人誌のあのコーナー。
ちょっと気になるけど見てはいけないその聖域。
トイレのついでに視線を何気なくそちらにやりながら通り過ぎたものだ。
そこにあるべきものがないと何か寂しい。
無くて良いもののはずなのに。
そんなエロ本がコンビニから消えたあの事件のその裏で何が起きていたのか、それがこの映画。
改名した杏花が新人編集者を好演。
クセの強いヤツらの裏のお仕事ムービーなのだと、最初いや途中まではそう思っていた。
物語は前述の通り、冒頭からは想像できない方向へと進んでいく。
売れない。仲間が残らない。報われない。認められない。成功がない。
決してフィクションのお仕事映画ではない。
これは正真正銘の社畜映画。
実話を元に作っているのだから尚更残酷。
最後の展開は少しやり過ぎに感じたけれど、ある意味ホラー映画。ちょっとレビュー書くのもしんどい。結構食らった。
少しもったいない部分も目立っていた。
せっかくセンセーショナルな話題で勝負しているのだから、テーマを一つに絞ってほしかった。
メインテーマは一体、エロ文化の美化なのか?業界の厳しさなのか?それとも社会の闇なのか?セックスの本質なのか?
色々やりたい言いたいこと詰め込み過ぎて言いたいことが矛盾したりブレブレだったりで定まらなかったのが非常に残念。
また、特に叫ぶシーンなどで役者さんが何を言っているか分からなかった。
誰か1人というわけで無くて全体的に聴き取りづらく、重要なセリフも聴こえづらい時があった。
エロ本は一度社会勉強のために買ったことがある。
AVやインターネットが発達した現在、若者にとってはさらに必要のないコンテンツなのかもしれない。
しかし、日本が誇るべきこのエロ文化を廃れさせてはいけない。
文章や構成を必死に考えて、身を削りながら必要とされるかも分からないものを作っている人がいる。
ちょっとエロ本を買ってあげたくなった。
〈追記〉
前から架乃ゆらが誰かに似ていると思っていたけれど杏花が結構似ている。
役柄的に少し被ることを見越してなのか。
2人でのシーンは所々姉妹のようだった。
最後はサイコホラー
中盤まではかなり面白く、特に10ヶ月で業界に染まりきる主人公の描写が素晴らしい。
普通なら成人向け雑誌に配属された時点で、そうでなくても志望していた雑誌が休刊した時点で退職する。
しかし、劣悪な職場環境ですら継続する性根の真面目さがあってこそ、あの変化が自然に感じられた。
更にそれを、華奢で小柄で、肌も白く綺麗で、清楚で可憐な杏花さんが演るギャップ。
脇を固めるのも、リアルで人間臭く、なおかつ濃いキャラばかり。
個人的には他人の仕事も引き受けて割を食う酒本くんにシンパシー。
しかし、後半からは散漫になる印象。
主人公との絡みがない羽賀のエピソードは別作品のようだし、徳山は叫んでるだけ。
群像劇と言えば聞こえはよいが、各キャラやエピソードが繋がっていない。
もちろん、それらもあって業界の実情や悲哀が表現されていたとは思うが、ひとつの作品としてのまとまりには欠けていた。
「エロとは」まではよかったが、最後はテーマを広げすぎた感もあり、もっと焦点を絞っていれば傑作たり得たと思う。
きみと歩美と上田操がキャスト欄にいたが、見つけられなかった。(上田操は声だけ?)
はじめ可笑しくやがて悲しい
新入社員が徐々に「業界」に染まっていく様子が絶妙に描かれて思わず笑ってしまいました。「業界」といっても前途絶望的な斜陽業界、はじめ可笑しくやがて悲くなっていきます。
TVでは無理で、映画でなければ作れない題材だと思います。
ただし、監督さんは「やがて悲しく」で終わらせたくはなかったのでしょう。
最後のところでいろいろとリカバーするのですが、これは余計だったかも。
成人雑誌の終焉は我々の敗北をも意味した
これは存続が厳しくなった成人雑誌の編集部で働く人々の葛藤を描いた群像劇の秀作。じんわりと感動した。鈍い痛みがあった。
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新卒の女子が憧れの出版社に就職したが、配属されたのは男性向け成人雑誌の編集部だった。
時は2018年春、成人雑誌が置かれた状況は厳しかった。そこから更に絶望的な方向に向かった。
電子出版の台頭によリ出版数が激減する中、東京五輪開催決定を受けてコンビニ大手4社から成人雑誌の撤退が決まった。
日本の恥部として目に触れる場所に置くわけにはいかんという世間の動向。絶望的な闘いだった。
観る自分は「がんばれ」と叫ぶしかなかった。
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エロいことを「善きこと」としてきた我々にとって、これはひとつの終焉を意味した。無常感とともに強い敗北感を覚えた。
多くの人にとって、どうでもいい話かも知れんが、、、
人はなぜそこで働くのか。
自主制作として話題になってる本作。とにかく脚本がめっちゃおもしろい。小汚い成人向け雑誌の編集部へ回された清楚系女子の詩織。入社当初こそ知らない誰かの裸体画像をシュレッダーで切り刻む日々に空しさを感じていたが、それが数ヵ月後には15文字の卑猥な見出しを恥ずかし気もなく連呼するその豹変ぶりには感動すら覚えました。
エロ雑誌に限らず紙の本が衰退してゆく中でも確かにある需要に対しどんな戦略で挑むのか。そして1つのミスで背負わされる余りに屈辱的な手打ち方法の衝撃さ。笑いあり、嫌ってほどの人間味もあり、見所も多くテンポもいいです。
意気揚々と独立した人がぶつかる出版業界の現実。立ち読み防止のテープがなければ中身で闘えたってセリフは本質を突いた印象的な一言だった。もはや絶望的な終わりを告げる中で、詩織が逞しかったのが嬉しかった。
今の子は可哀想だわ、編集が流れ作業で。昔はあったな、文化。
2019年。男性向け成人雑誌はコンビニから消えた。さらにそれ以前といえば、「どスケベ馬鹿カノジョ濃厚ナマ本番」、そんなタイトルが公然と本棚に並んでいた時代。そりゃそうだ、深夜テレビでは女性のおっぱいがポロリとでてたって問題がなかったくらいだもの、過激なタイトルなんて「普通」だった。それは今のコンプライアンスにはがっちりと引っかかる。それを「文化」と懐かしむ人もいれば、当時は「異常」だったのだと嫌悪する人もいる。だけどね、あの頃の方が、人間の煩悩に正直だったのは間違いない。そんな、今は廃れたエロ雑誌業界が崩れ果てていく悲哀を描く本作は、当時、エロをバカ真面目に活字と映像にしていた業界人へのレクイエムだ。
消えゆく文化の切なさ
面白そうな題材だったので上映館を探して鑑賞。
そういえば、エロ本って見かけなくなったなぁ〜。
これだけネットが普及したら、もう役割はほぼ終わったということか。
ストーリーはそんなに面白いわけではなかったがリアリティがあったし、消えゆく文化の切なさや寂しさにそこはかとなく浸れる映画でした。
アオリを考えるシーンが最高
コンビニからエロ雑誌が消えて久しい。そもそも雑誌が売れていないのだからエロ雑誌だけが例外なんてことはありえない。でも、一部のエロ雑誌についてはコンビニ大手が撤退したことが大きな打撃となった。本作はそんなコンビニからエロ雑誌が消える直前から最近までの話。
雑誌の編集と言いながら、実際は付録のDVDのモザイクチェックがメインの仕事だったりするのは病みそうではある。営業と編集のバトルとか、モザイクがらみのペナルティとか、フィクションもだいぶ含まれているはずだが、相当リアルに感じた。
サブカル雑誌を作りたくて入社した女性が配属されたのはエロ雑誌の編集部。最初は戸惑うことだらけだったのに、しばらくするとエロ雑誌編集者らしくなっていく。後輩に雑誌のアオリの作り方を指南するシーンなんか最高だったし、最後のシーンなんて彼女のたくましさを感じるいいラストだった。万人にオススメできるわけではないが、一人の女性の成長物語として面白かった。
四谷のエロ系出版社というと…
本作は事実を基にしているが一部脚色している、といったテロップが最後に出る。会社の規模や取り扱うジャンルにより異なることも多いため、どこからどこまでが…とは言いづらいけど、自分も業界の端っこに棲息する人間なので、内情としてはリアルな描写も多く、身につまされるところもあった。撮影や演出は慣れた手つきで、たくさん★を付けたものの、ホントにおもしろいのかどうか冷静には判断しづらい。
エロ本業界ものとしては、全然内容覚えてないけど、末井昭の自叙伝を映画化した素敵なダイナマイトスキャンダルを同じテアトル新宿で数年前に観たが、あれは80年代のエロ本文化輝かしい?時代の話。こちらはコンビニからのエロ本撤去問題を絡める設定上、2018年からの話になっているけど、実際には雑誌自体はもっと前からオワコンになっていて、エロ本はさらにずっと以前からだ。
エロ本文化がなくならないでほしいというコメントが散見されるが、そういう人はもうエロ本買わないし、そもそも若い女性がレジ打ってる駅前の大型書店ではなく、商店街の隅でジジイが店番の本屋でみなエロ本を買っていた事実を出すまでもなく、人目に触れずいくらでも画像や漫画、動画が入手できるインターネットとエロとの高い親和性の前に、時代が後戻りすることは絶対ない。ネットができない高齢男性がエロ本の読者なのはまさに本作の通りだ。
そんなわけで業界もの・お仕事ものとしては個人的に楽しめたのだが、落ちてゆく状況の表面的描写の羅列にすぎなくもなく、終盤、なんでSEXするのか?のテツガク的課題が急に湧き上がるのは、強引にテーマをぶち込んできた感じでやや唐突感。もしや、最後の最後に詩織が向井とめっちゃ激しい濡れ場を演じて、男性観客を心からエロい気分にさせ、エロ本編集者の真髄を極めるというメタ的展開?と期待したのだが違った。本作PG12だった。残念。
その代わり、序盤からこの人ヤバいよヤバいよ〜という向井妻が狂気に走ったオチをつけてくれて、あの夫婦関係でこの先どうなっちゃうんだろう?というモヤモヤが晴れて安心した。
全50件中、1~20件目を表示