劇場公開日 2022年9月23日

「やや高度な知識が要求されそう…。」空気殺人 TOXIC yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5やや高度な知識が要求されそう…。

2022年9月24日
PCから投稿

今年279本目(合計554本目/今月(2022年9月度)22本目)。
映画の説明・特集などにある、史実…といっても30年ほど前になりますが…、加湿器をテーマにした事件を描いたものです。

日本では一見無関係なように見えるし、韓国の事件がもっぱら盛り上がっていたのは2011年で、2011年…は東日本大震災が起きた年ですが…、隣国でもありますので、「韓国の加湿器用除菌剤の回収についての情報提供」というリリースが出ています(一般国民向けには、一般に日本では使われていないはずだが、もし型番など見て該当するものだったらすぐに使用を中止しましょうなど)。この意味で「日本にも」波及はしたんです(映画内では一切でない)。

そうですね…。物理化学…というよりも生物や医学の知識が求められるかと思えば、民訴法・刑訴法の両方を知っていなければセリフが完全に理解できなくなるところなどあります。ただ、それは便宜上の話であって、特に民訴刑訴法なんて昼のドラマでしょっちゅうやっているでしょうから、ある程度の推測はつきます。

映画の最初に「この映画は史実を参考にしていますが一部改変などしたところがあります」などという記述が出ます。いくら罰を受けても、映画でまでたたかれなきゃいけないという「筋合い」はないからですね。

ただ、このことがかえって、「架空の企業」になっているために(ただし、史実にはそっくり)、特に民事、刑事についてどのような処分がくだされたか、くだされなかったのかという明確な描写が「妙に」薄いです。実際にこの事件は2021年(去年)でさえ逮捕者が出たり(あのような加湿器は、手を変え品を変えればどこでも作りえます)、一方で国レベルで「加湿器殺菌剤被害救済法」が成立している(2017年2月)というくらいです。ただ、映画内で架空の名称の企業は「そもそも存在しない」のでこういったことに入ってくる余地がまるでなく、映画をみても「韓国にはあんなムチャクチャな家電を作る企業があるのか…」と思われても仕方がないし、一方で刑事・民事ともに一応の決着がついている現状(2021~2022)なのは事実なので、映画「だけ」だとどうしてもわかりにくいです。パンフも少し説明不足かな…というところです。

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 (減点0.2/理解に支障をきたす字幕)
 「あなた、示談には応じたんですよね?」という部分が出ます。どちらでもよいし、意味が通じる限り映画においてもリアルにおいてもほぼ同じですが、あくまでも法廷で使われる以上は正しくは「和解」が正しいです(日本民法の695条。日韓共通)。
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yukispica