「しいて言うなら…」レジェンド&バタフライ にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)
しいて言うなら…
それなりに楽しめましたが、残念な映画でした。
信長映画にしたくなく、
戦国映画にしたくなく、
歴史映画にしたくなく、
純愛映画にしたくなく、
スター映画にしたくなく、
しいて言うなら…
長編漫画を映画化した感じ。
うーむ、違うな。
なんかしっくり来ない。
前半パートの濃姫と信長の”若者恋物語”は
それなりに楽しめた。
合戦シーンをあえて描かない手法は、私は賛。
歴史もの戦国もの信長ものを好きな人は否でしょうね。
中盤、上洛したあたりからダークサイドな展開も、私は賛。
純愛もの、スターものを好きな人は否でしょうね。
でも、城下町でのスラムとの格闘や、延暦寺焼き討ちなどは
ラストシーンへとつながる問題提起なので必要なシーンでした。
しかし、そここそがこの映画を”否”とする方が嫌いなシーン
になってしまうというカタルシス。
そして終盤、最も賛否が分かれるところ。私は賛。
こういう対策はハッピーエンドにしないとヒットしない。
と、分かった上であえてやった監督には拍手。
「信長は生きていた」的なハッピーエンドは
映画ファン、歴史ファンに総スカンを食らうと
分かってたからこそ、
一瞬”夢オチ⁉”と思わせるサービス精神も
持ち合わせている。
しかも「これは夢ではあるが、オチではないよ」
という作りにちゃんと仕上げている。
そして、いつ信長が「人間五十年~」って
舞を舞うのかなという歴史ファンの
溜飲も下げている。
ですが、残念なのがラストのセリフ。
「ずっと、好いておった」これはいらない。
冒頭から本能寺まで”ずっと好いておった”のは
ちゃんと伝わっているよ!
そういう映画づくりをしてきたんじゃん。
そこは、セリフじゃなく、キムタクの表情で
伝えないと!
蛇足ながら「なぜハッピーエンドにしなかったのか」の考察。
愛する人を守るためとはいえ、上洛後のスラム街で
貧民たちを虫けらのようになぎ倒す権力者とその妻。
天下布武のため、寺を焼き討ちし、女子供を皆殺しにした
”我人にあらず”魔王にまでなったダークサイド信長。
そんな人はハッピーなエンドを迎えさせてはいけない。
という映画人としてのメッセージ。
と、私は受け取りました。