劇場公開日 2023年1月27日

「素晴らしい。信長と濃姫のぶつかり合いと心に秘めた相手への思い。つい涙ぐんでしまった。」レジェンド&バタフライ M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0素晴らしい。信長と濃姫のぶつかり合いと心に秘めた相手への思い。つい涙ぐんでしまった。

2023年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

監督大友啓史は、「るろうに剣心」の監督でどの作品にも目を見張る面白さがあり、私のベスト5にも入れている。さすがに期待を裏切らない、新しい視点での歴史エンターテイメントに仕上がっている。

中でも濃姫役の綾瀬はるかのスーパーウーマン振りがとてつもなく凄い。もともとNHK大河ドラマ「八重の桜」で時代ものを主演しており、薙刀、銃も操っていたが、今回の剣さばきの素早さやキレの良さには驚いた。しかも、信長を恐れず、とても意思が強く頭の回転が早い。一方の信長役の木村拓哉は乱暴であるが濃姫に圧倒されっぱなしでやり込められる。それを木村拓哉がいい感じで演じている。その後、いくさの連続で非情な信長となっていくのだが、二人の関係にもヒビが入っていく。

もちろん史実に沿った出来事が時系列に出てくる。私は昨年、清州城、犬山城、安土城郭資料館、そして岐阜城(山の頂上に建つ天守から見た岐阜の町が印象的)を訪れ、その前年には比叡山にも行った。現地を訪れたことで、信長の足取りを肌感覚で実感でき、一つ一つのシーンが心に残った。今では安土城は城跡のみ残るが、映画では壮大な城が建っており、それは見ごたえがあった。
また、映画には出て来ないが信長はポルトガル宣教師のルイス・フロイスとも交流があり、実際、南蛮人との交流の形跡が映画の中でも出てくる。

世は戦国時代、多くの人が戦い死んでくのが当たり前。互いに政略結婚で夫婦となった二人。いがみ合ってきたが実はそれぞれが必要となっていき、口には出さないがそばにいてほしいと思う。
それだけにエンディングに向かっていく信長の本能寺の変での死の描き方が重要で、これまでにはなかった全く新しい物語がそこに映し出された。
それはとても感動的で心に残り涙ぐんでしまった。
歴史上の人物ではあるが、二人がとても「いとおしい」。

このような映画を作り出した脚本家の古沢良太、監督の大友啓史の想像力とそれを現実に映像として見せる「力」。そして主演の木村拓哉と綾瀬はるかの二人の配役がとても適任だったと思わせる映画である。それにしても綾瀬はるかは凄い。

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M.Joe