劇場公開日 2023年1月27日

「戦国ボーイ・ミーツ・ガールは軍配違い」レジェンド&バタフライ シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5戦国ボーイ・ミーツ・ガールは軍配違い

2023年2月7日
iPhoneアプリから投稿

信長と帰蝶が主人公の戦国もので、ストライクゾーン広げて結構期待してたんだけど、何か違うと言うか、もったいないと言うか、まあ残念な出来でした。夫婦の物語とは言え、合戦シーンが全くなく、合戦の結果や歴史上のトピックスを映像でなく、登場人物のセリフで説明しているので、長時間の作品を支える見せ場や盛り上がり所に欠けます。反目し合う二人が段々仲良くなってくるのはお約束だけど、魔王化していく信長や支えきれなくなる帰蝶の心境の変化が分かりにくく、エピソードが飛び飛びなんで、とても唐突な感じです。尾張の悪ガキが魔王にならざるを得ない葛藤なんかはすごく面白い着想だけど、比叡山焼き討ちの言い訳っぽいし、帰蝶の信長へのシンパシーも取ってつけた感があります。帰蝶との愛情豊かな生活と、過酷な現実への苦悩を無惨な合戦シーンをはさみながら,徐々に魔王化していくのを丁寧に描いて欲しかったです。剣心シリーズで抜群にキレのあるアクションで定評の大友啓史監督も出番なしで、結局は脚本の古沢良太の軍配ミスですね。主役二人は文句なしの熱演でイメージを新たにしました。木村拓哉が湖で亡霊を追いかけるシーンは鬼気迫るものがあるし、綾瀬はるかも強い女性像が新鮮でした。

シネマディクト