劇場公開日 2023年1月27日

「どうする 濃姫」レジェンド&バタフライ 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0どうする 濃姫

2023年2月3日
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 政争の駒として振る舞うしかない定めだとしても、自分なりに生きる。幸せのありかを探すことは、誰もが許されるよね?。
 太平記のお話です。奥方が大好きな武人がいました。ある日、執権北条氏を討伐する密書が届きます。大好きな貴女に、暫く逢えません、残念ですと伝えると、その奥方、実家に通報します。実は実家と北条氏は、縁ある家柄だったからです。乱世の嫁は、実家を採るか、嫁ぎ先を採るか、選択を迫られる優れた外交能力が要求されました。人権なんてありゃしない。信長さんの妹は、浅井家に嫁ぎました。その旦那は、信長さんに討たれました。伊達政宗の母親は、宿敵、最上家の者です。一説によると、政宗を毒殺しようとしたとか。どんな思いで、大名の嫁してたと思います?。
 当然、殿方も、嫁に心許すわけにはいきません。下手に本音を洩らすと、嫁の実家がどう出てくるか、分かったものではないからです。戦国大名がバイセクシャルだったのは、この辺りに原因がある気がします。

 稲葉山の城を陥した信長さん、山の麓に御殿を築いたそうです。発掘調査されています。その御殿に、希望に満ちた信長さん、いたのかしら。悩める信長さん、いたのかしら。そのそばで、濃姫姉様は何を想っていたのかしら。平手政秀しか諌めることができなかった、孤独な独裁者を癒すには、どうしたらいいの。遺構は発掘できます。でも、そこにいたヒトの想いは、想像、あるいは創造するしかない。それが、本作の存在意義です。

 これまでに何人の方が、信長さん、演じたのかしら。悩める信長さんを魅せたことで、キム兄さん、次のステップに踏み出せそうです。はるかちゃん、信長さん、大好きなの?。「本能寺ホテル」でも、会いましたけど。
 前半はNG。劇中の金平糖事件までは、違和感しかありません。でも、信長さんが、人間廃業したあたりから、いいですね。自らの狂気に恐怖する信長さん。観たことない気がします。麒麟を連れて来るヒトの、サイコパスぶりも、いい解釈です。明智の十兵衛さん、優れた統治者である一方、刑を科すに残忍だったそうです。終盤のタイタニックるパロディも、映画らしい、ほのかな笑いを誘います。
 「ボヘミアン・ラプソディー」で、フレディがソロ活動に行き詰まります。イエスマンしかいないと、仕事にならないようです。優れた指導者は、自分を叱ってくれる仲間を大切にするそうです。皮肉な話ですが、斎藤家の後ろ楯を失くしたことで、濃姫姉様は、信長さんと本当の家族になれたのかも。
 基本、信長といえば完全合理主義かメランコリックなキャラとして描かれますが、そんな信長さんが、最期に想うことは何だったのか?。皆様なら、どう描きますか?。

 どうする 信長
 どうする 濃姫
 どうする 皆様

 「清洲会議」
 先述のお市の方ですが、浅井家との同盟が破綻すると、実家に戻ります。親善大使としての役割が終わったからです。その後、織田家筆頭家老、柴田権六と再婚。そこに、対立する羽柴が軍事侵攻。この時点で、城を去るのが当時のしきたり。ところが彼女、娘達を逃がすと、自らは、権六と運命を共にします。何故かな?。そのきっかけを探す目的で、本作をご覧下さい。ちょっと違うドラマが垣間見えます。

機動戦士・チャングム