劇場公開日 2023年1月27日

「新たな歴史が」レジェンド&バタフライ るいまーるさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0新たな歴史が

2023年1月20日
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鑑賞方法:試写会

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 どれほどかの有名な偉人でも人は1人では…。支え合って、競り合って。2位がどれほど心地良いか。トップになった瞬間の喪失感。信長&濃姫という誰よりも熱く、弱いお方だからこそ。でも等身大な部分も。時代に囚われない今の時代に重なる紙一重な人間模様が。
 火の存在。それはライフラインであり、心を映し出して。エキストラの方々と同じように今作に欠かせないもので。電気にはない情緒深さを醸し出していて。時にその灯火は災難を、でもそれさえも儚さ、優美さを何よりも演出していて。
 初めは分離させようと。でも別に木村拓哉、信長のどちらでも良いくらいとてつもなくカッコよすぎて。歳を重ねても新たな魅力を。シワとシワ合わせて幸せ。隅々まで大人のダンディさダダ漏れで。あの神のお声も信長という熱き男にピッタリとハマっている配役で。
 時代劇×綾瀬はるかは絶大的なものが。濃姫のドSだけど弱き心も抱くかなり難しい役どころをその繊細さで見事に。信長にあんなにも盾を突く存在は唯一無二。そこにはウザさよりも橘咲のような温かさが。何度いとおかしと心の中で叫んだか…。
 各務野も、中谷美紀というリアルもなんてお美しいこと。舞台挨拶でのここぞの時の暴露という一撃があったように劇中でも濃姫を見守る包容力が凄まじく。信長のぶきっちょな愛情だけでは姫は…。尽くして尽くしまくる。母や家政婦とは違うそれにホッとホッとに。
 伊藤英明さんの情の熱さがこれでもかと。舞台挨拶でのロングトークは岐阜での涙を思い出して。とにかく俳優人生を懸けた作品だと。各務野よりも時に厚かましい貞家。瞳にLOVEが見えるほどfor信長。助演で貞家、伊藤さんがいることの木村拓哉さんの安心感はきっと。
 押し倒されるシーンからインという染五郎さんの相当な重要度。凄い役をやってのけたと。確実に今後のオファー爆増な熱演。新選組のような圧倒的お姿。信長を一途に想う忠犬ハチ公のようなお世話係の域を超えたものが。信長のある行動に蘭丸への想いが滲み出て…。
 工さんの役の幅に驚かされて。最初誰ですかと。よくよく観ると工さん。完全に家康化。お主も悪よのうがこんなにも似合うとは。どの時代も弱肉強食。誰もが良とは。でも意地悪さがあるから優しさがコントラストに。そんな縁の下の力持ちに家康、工さんという男が。
 今の宮沢氷魚さんの勢いがそのまま明智に注ぎ込まれて。その行動が全て悪だとは…。世代交代、若者にその座を譲ることも大切なことだと。でもその塩梅がいつの時代もとてつもなく困難で。カッコ良いだけじゃない明智の秘めたる想いが爆発した先に見える未来とは。
 家にないと不安になってしまうのりたまのような音尾さんの存在感。挨拶でもその笑顔と話術に魅せられて。ヤンキーな音尾さんもいいけど…。歴史上の人物になるとなんだかその威厳さに背筋が真っ直ぐと。でもひまわりなニッコリにやっぱりこっちまで笑顔に。
 大国のヒーローや戦火の少女それぞれの重さの同じ尊ぶべき生命だから信長と濃姫の恋の行方も同じように儚くて。ネットがないを不自由と捉えるか。逢うことのかけがえのなさ。ZOOMで紡ぐことのできない縦と横。168分間は携帯、煩わしい人間関係をシャットダウンしてぜひ。

るいまーる