「橋本さんじゃダメだったのか」劇場版モノノ怪 唐傘 かもしださんの映画レビュー(感想・評価)
橋本さんじゃダメだったのか
「モノノ怪」の原型的な作品「怪~ayakashi~」の1篇「化猫」からキャラクターデザインを務め、ビジュアル全体を牽引した橋本敬史さんと主人公である薬売りを演じていた声優の櫻井孝宏さんが降板した事で公開前から問題になってしまった作品。
橋本さん自身は「自分が総作画監督として知人を率い、橋本軍団としてアクション作画監督、エフェクト作画監督、メインアニメーター作画監督補佐を何人も用意した」と書き込んでおりましたが、Y社長とのトラブルで全て反古に・・・。
更に橋本さんは「まあ、お粗末なものが出きると思うのでお楽しみに。ちなみに監督はビジュアルは頭のなかに一切なし、ワタシが作品の8割は構成してます、演技や立ち振舞い含め。他の人には無理なんですよねw」とも書き込んでおり、TVシリーズのファンである私からしたら大いにガッカリさせられてしまいました。
それでも観に行ってしまう程、本シリーズが好きなので覚悟して劇場入りしたのですが、やはり別物として扱うしかない作品になってました。
様々な違いが問題を孕んでしまっているのですが、最大の問題点は作品の魅力でもあるモノノ怪を退治する為に必要な「形、真、理」が巧く機能していない点でした。
モノノ怪が何故に顕現しようとするのかがきちんと見えてくるはずの真(事の有様)と理(心の有様)が、登場人物たちの物語にきちんと絡んでいるとは言えない中身になっておりました。
人によっては「モノノ怪が何をしたかったのか」がさっぱり分からないまま終わってしまう気がします。
この本作の要でもある「形、真、理」が明確に描かれていれば、個人的にももう少し評価できたと思います。
良かった点を挙げるとすれば、声優の神谷浩史さんが櫻井さんの薬売りに寄せて頑張っていた点。
やはりズハ抜けて巧い声優ですね。
とんでもない方です。
初見の方はどう感じるかは分からないですが、TVアニメを知っている人は明らかに違和感を感じると思われます。
観にいく際は、TVアニメとは関係ない作品を観るつもりで行く事をおすすめします。