「海外向け日本文化宣伝用映画」劇場版モノノ怪 唐傘 におにさんの映画レビュー(感想・評価)
海外向け日本文化宣伝用映画
まず
「モノノ怪」を冠しているのだから面白いに決まっている!
と事前の調査を怠った自分が悪いです。
とはいえ、私は素直に面白くなかったです。
TVアニメを観ていた方にお伝えしたいのは、これは壮大な二次創作であるという1点に尽きます。
近年巻き起こそうとされている「浮世絵ブーム」と掛け合わせた、海外向けのクールジャパンアピール映画みたいだなと思いました。
TVアニメ「モノノ怪」の面白さは
・話の重たさと一抹の爽やかさ
・間を取りつつもトータルで良いテンポ
・映像美(間ありき)
だと私は思っています。
「たっぷり間をとってゆったり話す薬売りが、核心に迫ると早口でハキハキ関係者を問い詰める」
という「間」の使い方の上手さが、TVアニメのテンポの良さ。
この映画には「間」がない。
緩急を無くして、ずっと急いでいるのでとても単調です。これは色彩もそうで、メリハリなくずーっと極彩色です。
「間」は観客の理解を促すものでもあるはずなので、絶え間なく情報を観せられ続けてとても疲れました……。
襖の演出も乱用されていて、話がブツ切り。
あの拍子木の音と襖の閉じる音が気持ちよく響かないことあるんだ、と驚きました。
「大奥」という規模の大きい愛憎渦巻くドロドロ舞台と、お話そのものが今ひとつ噛み合ってない。
あれは女のドロドロではなく、企業の抱えるパワハラモラハラ問題。
けど上司たちのやり方は悪いにしても、カメの就業態度がそもそも問題あり過ぎて私はあまり同情できなかった……。
キャラクターも多い割に本筋にほとんど関わらない。天子様もお中臈も、顔と名前は必要ない程度の出番。
「その他大勢」の表現は良かったので残念。
『「大奥」なら女同士の嫉妬や派閥争い、表も絡んだ壮大な政争とかかな?! いや「御水様」というのだし、TVアニメの「座敷童子」みたいに水子の話なのかも……そしたら「怪〜ayakashi〜」と「モノノ怪 化猫」みたいだな! 本歌取り! リスペクトじゃん!』
とか考えていたのですが……違いましたね!
勝手に変な期待して、勝手にガッカリしてすみませんでした。
TVアニメももう17年も前だし、美化し過ぎではないか、と不安になってきたので帰ってからTVアニメ観ました。
全12話あっという間でした。
めちゃくちゃ面白いので、映画が面白かった方にはTVアニメもご覧いただきたいですね!!
クラファンから公開にこぎつけた点と、薬売りさん含め声優さんたちは好演だったので星2つです。